【新ジャンル】「台詞系SS総合スレ」( ^ω^)at MITEMITE
【新ジャンル】「台詞系SS総合スレ」( ^ω^) - 暇つぶし2ch415:U
11/06/25 00:49:37.18 ESas8AOc

 ○女の部屋へ

女「遅いっつの」
男「悪い悪い、土産を渡してたんだよ。って、お前の部屋って和室かよ」
女「そうだ、いいだろ?」 
男「ああ、若干こじんまりしてるが悪くない」
女「……茶でも飲むか?」
男「そうだな、頼む」
女「ちょっと待ってろ」
男「……?(奥に入っていくが台所でもあるのか?)」

 …………。

女「準備できた。こっち来い」
男「……。突然和服に着替えて何やってんだ……?(ブロンドの髪と和服のミスマッチが物凄いな……)」
女「は? 飲みたいって言ったのテメエだろ」
男「(自室の隣に茶道部屋があるみたいだ。)……もしかしてお前が淹れるのか?」
女「そうだ、そこに直れ」
男「はいはい、座れ……ね。つかちゃんと淹れられんの?」
女「少し黙って見ていろ」

男「ふーん……。(結構まともに茶道やってるじゃないか。和服姿もこうして見ると意外と……)」

女「できたぞ、ほら」
男「おお、さんきゅ」
女「……結構なお手前で?」
男「それ俺のセリフ。というかまだ一口も飲んでねえ」


416:U
11/06/25 00:57:38.25 ESas8AOc


 ○封筒の謎

男「ふぁ、眠……。また今日も一日学校に拘束されるのか。休みてぇ……」
女「おす、男」
男「なんだ、女か……。おはよう、お前はいつも元気だな」
女「自慢じゃねーが、元気だけが取り柄だ」
男「確かに自慢にはならんよな」
女「んなことはどうでもいい。…ほらよ」
男「ん、なんだこの封筒?」
女「ちっ、黙って受け取れや……」
男「おーい……。(どっかいっちまった……) えーっと、中身は手紙か」

 男へ

 このまえのひるめしだい

 かえしてやるよ

男「短っ! っていうか字が汚ぇ!(喋れるくせに書く方は駄目なんだな……)」

友「よ、男」
男「ん、友か。おはよう」
友「なぁ、今、女からその封筒受け取ったろ。中に何が入ってるんだ?」
男「ああ、これか。別に面白いものじゃないから気にすんな」
友「なんだ、そうなのか。じゃあいいよ―と見せかけて!」
男「あ、コラ! 封筒返せ!」
友「まあまあ、そう怒るな。どれどれ……」
男「ったく……(仕方ないやつだ……)」

友「……男、見損なったぞ」

男「え?」

友「封筒に入ってたこの5枚の諭吉さんは一体何だ?」 
男「諭吉って……一万円?!(しかも五枚! 昼飯代500円だぞ、入れ過ぎ!)」

友「何を驚いた振りしてやがる、白々しい。この人間の屑が」

男「待て、友よ。お前は何か勘違いしている」

友「はっ、勘違いだと? 女に売春させてその上前を撥ねる、それ以外にこの状況をどう解釈しろと?」

男「いや、だからその、昼飯代がね?」

友「言い訳なんか聞きたくない。お前とはもう絶交だ、じゃあな」

男「ちょっ…………なんでこんなことになってんの?」



417:創る名無しに見る名無し
11/06/25 01:46:19.48 fBxZRC0j
友wwwww

418:創る名無しに見る名無し
11/07/20 08:54:13.71 VXY79KOK
___|ω・`)チラッ


419:創る名無しに見る名無し
11/07/23 21:59:41.21 uj/pbzVn
地の文ありのSSってどこで投下したらいいんだろうか

420:創る名無しに見る名無し
11/07/23 22:10:28.72 C2EA5PdT
そりゃ内容によりけりですがな

421:創る名無しに見る名無し
11/07/23 22:21:36.16 uj/pbzVn
ですよねえ
20~30レスくらいで終わる予定だしスレ立てるのはもったいないし、と思って
ここもまだ完結してないのかな

422:創る名無しに見る名無し
11/07/23 22:25:32.40 C2EA5PdT
もし二次創作なら、二次創作総合スレが便利
ただし、過疎ってて誰も見てない可能性も

423:創る名無しに見る名無し
11/07/23 22:29:04.41 uj/pbzVn
二次創作ってつまりハルヒとか唯とかまどかとか既存のキャラのやつ??
だったら違うなあ

姉スレでもないしバトルものでもないし
他に行き場所のない~とかに行ってみます

424:創る名無しに見る名無し
11/07/30 00:13:44.08 80xkBoJ5
SS速報VIPとか

425:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/08/04 20:11:02.79 3f/LQVrL
行き場所もあまりなかったので、やっぱりここお借りします

・地の文あり
・新ジャンルではなく普通のSS
・エロなし過剰な萌えなし

よろしくお願いします

426:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/08/04 20:14:10.93 3f/LQVrL
男「恋のABC」


427:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/08/04 20:17:48.55 3f/LQVrL

ABC欠乏症という病気をご存じだろうか。
最近世界を騒がせている厄介な病気だ。
その病気にかかった者は「ABC」が発音できなくなる。
まあ言うなれば失語症の一種だ。

人間が勝手に決めたアルファベットの通りに病状が進むなんて、ふざけた話だ。
おおかたどこかのマッドサイエンティストが作り出したウイルスかなにかが原因だろう。

女「…」モグモグ

僕の彼女もABC欠乏症にかかってしまった。

女「…おいしい」モグモグ

ちなみに今は食事中だ。



428:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/08/04 20:24:25.58 3f/LQVrL

この病気はカップルを中心に広がっているらしい。
僕たちにも災難が降りかかったが、もし付き合っていなければ逃れられたのだろうか。
何にせよ、理不尽な病気であることは間違いない。

この病気にかかると、始めはABCが発音できなくなる。
日本語で言うと、Aはつまり「あかさたなはまやらわ」だ。
いきなりハードルが高すぎやしないか??
「愛してる」も「会いたい」も「からあげ」も「刀」も言えないんだ。

女『あんっ…あ…あん…んっ』

みたいな喘ぎ声は、もう永久に聞けないわけだ。
まあそんなに激しく喘いでくれたことなんて、一度もないが。

女「…ニヨニヨしてる」ギロ

ほら、「ニヤニヤ」が言えない。
待て、僕はニヤニヤなんかしてない。

女「…エロス」

誰がエロスだ。



429:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/08/04 20:33:14.28 3f/LQVrL

わざわざ言うことでもないが僕は彼女に手を出していない。
Bまでだ。
Bって…言い方が古いな。でもまあ、そういう感じだ。

入れてしまうと、彼女を汚してしまうようで、なにかを失ってしまいそうで。
だから僕は彼女に手を出さない。
だけど、好きだ。大切だ。愛している。

女「…エロス」

顔赤くしちゃって。そんなにニヤニヤしてたかな??
エロスなことはしていない。
草食系紳士だ。自分で言ってりゃ世話ないな。



430:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/08/04 20:37:41.32 3f/LQVrL

Bは「ばびぶべぼ」だ。
「馬鹿」とか「ボケ」とかも言えない。
「バスガス爆発」なんて言おうとしたらえらいことになる。

ちなみに「ラブ」は言えないが「ラヴ」なら言えるんじゃないかと思ったんだが…

女「…」パクパク

「ら」も駄目だったんだな。忘れていた。

女「好き」

これだけは言ってくれる。可愛い奴め。



431:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/08/04 20:45:30.59 3f/LQVrL

Cは「ち」だ。
「地球」や「畜生」や「チュウ」も言えない。

女『おチ○ポください…』

も言ってくれない。
まあ言ってくれたことなんて一度もないが。

女「もう、エロス」ギロ

おっと、また睨まれた。
エロい妄想もほどほどにしないとすぐ見抜かれてしまう。困ったもんだ。



432:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/08/04 20:52:05.39 3f/LQVrL

女「…」カチャリ

食べ終わったみたいだ。
彼女は僕よりも食べるのが遅い。
だけど、食べている最中の彼女を見ているのが好きだから、僕はいつも待っている。

女「…」ペコリ

「ごちそうさま」が言えないもんだから、彼女はいつも手を合わせてお辞儀をする。
「いただきます」も言えないから、食べる前も同じようにする。

女「行こう」

会計はいつも僕がする。
彼女に払わせるわけにはいかない。男として。
でも、いつも払おうとしてくれるのが、たまらなく嬉しい。
いや、違うな。「僕が払うから」って制して会計をするのが、たまらなく嬉しいんだ。



433:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/08/04 20:57:54.71 3f/LQVrL

初めてこの病気を知ったとき、僕は信じられなかった。
誰だってそうだろう。

でも実際に言葉が消えていくのを知ったとき、文字通り「言葉を失った」ね。
今、うまいこと言った??

どうしても伝えたいことが言葉で伝えられないときは、文字を書く。
僕たちはそうしてきた。
でもよく顔を見ていれば、言いたいことは結構わかるもんだ。

女「…」

ほら、ガラスケースの向こうの服がほしいって、顔に書いてある。

女「…」

でも、お金に余裕がないのもわかってる。
だから彼女は無理に欲しがらない。
そんな彼女を喜ばしたくなるってのが、男の性だ。

…いや、高い、やっぱり無理だ。

女「…行こ」

ゴメン。



434:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/08/04 21:09:17.20 3f/LQVrL

彼女の症状はどんどんと進む。
周りの都合などお構いなしだ。

Dは「だぢづでど」だ。
正直「ぢ」と「じ」の違いはよくわからない。
「地震」は言えるのに「鼻血」や「耳血」が言えない。

ちなみに「痔」って「ぢ」だと思ってたんだけど「じ」なんだね。
言ってみてって催促したら嫌々ながら言ってくれたよ。

女「…痔」モジモジ

なに言わせてんだって怒られたけどね。
でも言えなくなる前にたくさんの声を、言葉を聞きたい。
それは普通のことだと思う。



435:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/08/04 21:19:28.22 3f/LQVrL

Eは「えけせてねへめえれえ」だ。
言いにくい…

母音が二つ言えなくなっちまった。
「エロス」も、もう言ってくれない。
あ段とえ段が言えないってことはあとは「い・う・お」の3つの段だけだ。

女「…好き」

まだ言ってくれてる。嬉しい。
僕も、愛してるよ。
だけど、君の言葉はもうすぐ消えてなくなる。
それが悲しい。

女「君は、いつも、ここに、いる」

ああ、いるよ。

女「…いいの??」

なにが??



436:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/08/04 21:35:10.48 3f/LQVrL

女「横にいてくれる??」

いるよ。
僕はこれでもかってくらい頷いた。

女「いいの??」

いいよ。それでいいよ。
一生君のそばにいる。

彼女はこの病気にかかってから、一人称が言えなくなった。
「私」と言えなくなったから。
少し違和感はあるけれど、仕方ない。

女「ふふふ」ニコニコ

彼女に内緒で進めている計画があるんだけど。
早く実現させたいもんだ。
おっと、こんなこと考えてると顔に出る。
僕はそっぽを向いた。



437:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/08/04 21:42:35.24 3f/LQVrL

女「押忍!!」

あいさつは「よう」か「押忍」かだ。
色気もクソもないな。

女「…」

はっは。
機嫌を悪くしないでくれよ。

女「コーヒー飲む」

ん、行こうか。
ほんとは彼女は紅茶が好きなのに。
でも僕に合わせているうちにコーヒーが好きになってしまったらしい。

僕もコーヒー派になって日は浅いんだけどね。



438:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/08/04 21:50:22.53 3f/LQVrL

僕は喫茶店で、借りたマンションの見取り図を見せた。

女「!!」

一緒に住みたい。そう言うと、彼女は戸惑って、でも嬉しそうに笑った。

女「どう…」

「同棲」って言いたいんだけど、言えないみたい。
でも伝わった。

女「…」ゴソゴソ

財布を出そうとする。
家賃を出すってことかな。
僕はそれを制した。家賃くらい僕が出すさ。
自分で出せる範囲の家を借りたんだから。
そのかわり、料理とか、してくれないかな。

女「料理…する!!」

家事とか洗濯とかも…

女「する!!」



439:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/08/04 21:58:18.86 3f/LQVrL

なんだかすごく嬉しそうだ。
言葉を失いつつある彼女は、一人で生きていくには大変だろう。

嬉しそうな彼女を見ていると、僕も嬉しくなった。
僕がずっとそばにいようと、誓った。

そうこうしているうちにFを失った。

もう「ふふふ」って笑ってくれない。
Fを失っただけで、彼女はほとんど笑わなくなった。



440:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/08/04 22:04:00.31 3f/LQVrL

そしてGを失った。
「がぎぐげご」だ。

「ゲルググ」も「グレゴリー」も「午後の紅茶」も言えない。
だけどこの頃にはもう、彼女はあまり話さなくなった。

女「…」

ボーっとしている彼女を見ていると切なくなる。
今、なにを考えているんだろう。

女「…」

彼女がこっちを見たが、その表情からはあまり読み取れなかった。



441:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/08/04 22:09:53.17 3f/LQVrL

沈んでいる彼女をピクニックに連れて行った。
風の気持ちいい日だった。
医者が言うには、この病気を止める手立てはないが、部屋で閉じこもっているとよくないそうだ。
だから少しでも気分が晴れるように外に連れていくことが多くなった。

女「…いい気持ち」

少しご機嫌になったみたいだ。
あれ、「ち」は言えないはずじゃ…

女「…」ニコ

「TI」ってことかな??
相変わらずこの病気の基準はよくわからない。



442:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/08/04 22:17:51.09 3f/LQVrL

女「いい気分♪」

これもなんだか発音があやしい。
「キヴン」みたいな発音だ。
「ヘヴン」とか、言わないかな。「ヘ」はもう言えないのか。

女「…」ニコ

今のは「ありがとう」かな??
だいぶ表情から彼女の考えていることがわかるようになってきた。



443:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/08/04 22:24:11.89 3f/LQVrL

部屋で発音の練習をした。

女「煮物、作る」

いいね、煮物は大好きだ。

女「ヒモ」

僕が??君が??
養っているとは言い難いが、僕はヒモじゃない。やめてくれ。

女「…」

今のは「ゴメン」かな。
まあ怒ってるわけじゃないけど。許す。



444:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/08/04 22:30:16.84 3f/LQVrL

女「ポリス」

頼むから警官の前でそんな言い方するなよ。
怒られるから。

女「プロポリス」

ん??警官はみんなプロだろ。
アマポリスなんているんだろうか。

女「…」ニヤニヤ

ニヤニヤしている。彼女のこういうところが時々よくわからない。



445:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/08/04 22:38:14.27 3f/LQVrL

女「ロリ」


なんだって??

女「ロリ!!」

誰だ、そんな言葉を教えたのは。
僕か。

女「スク水!!」

ああもう、やめてくれ。
好きだけどさあ。

女「クスコ!!」

もう黙りなさい。
僕は疲れた。



446:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/08/04 22:47:18.76 3f/LQVrL

女「男好き」

ああもう、ろくな言葉がないじゃないか。
それに僕は男好きじゃない!!

女「ホモ」

ええい!!うるさい!!

女「…許す」

君はそういう趣味があったのですか、そうですか。BL好きですか。
悪いけど男には興味持てないし、許してもらうこともないからね。

女「…」ニヤニヤ

楽しんでる。くそ。



447:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/08/04 22:52:17.41 3f/LQVrL

女「…」スッ

ん??どこに行くんだ。
台所??

女「…水」コトッ

うん、水だね。
で、これをどうしろと。

女「!!」バシャッ

うおお!!こぼすな!!
ズボンが濡れちゃったじゃないか。

女「雑巾!!」

雑巾、雑巾、どこやったっけ。
ていうかそれ言いたかっただけじゃないか。

女「雑巾♪雑巾♪」

なんでご機嫌なんだ。

女「布♪布♪」クイクイ

服を引っ張るな!!
それ雑巾じゃないから。



448:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/08/04 23:07:10.00 3f/LQVrL

なんてバカなことをやっていたのも束の間。
HとIを立て続けに失った。

彼女はもうほとんど喋らなくなった。
「好き」も言ってくれなくなった。

女「…」シュン

そのかわり僕は毎日彼女に好きだということを伝え続けた。
少しだけ彼女の顔は晴れるが、すぐに寂しそうな顔になる。
僕にできることはないのかな…



449:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/08/04 23:15:46.98 3f/LQVrL

JやLはいつ失ったかよくわからない。
特に変化はなかった。

僕がブタの絵のプリントTシャツを着ていると嬉しそうに

女「トントン♪」

なんて言っていた。
でも、それも言わなくなった。
NとOも失ったのだろう。

定期的に医者に通ったが、もう治る見込みがないどころか症状が加速する一方だそうだ。



450:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/08/04 23:21:16.46 3f/LQVrL

ついにUまで失った。
母音のすべてとNが発音できない以上、彼女はもう喋ることができない。

女「…」ボー

僕が顔を覗き込んでも上の空だ。
声を失う実感が湧きあがっているのか。
もう諦めきってしまっているのか。

女「…」スッ

ベッドを指さす。
寝たいの??

女「…」コクン

生活感がなくなっていく。
僕は明日の朝食の準備だけ済ませ、ベッドに戻った。



451:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/08/04 23:25:21.86 3f/LQVrL

女「zzz」

はっは。Zはまだ発音できるんだ。
なんだかよくわからないけれど、笑ってしまった。
もう最後かな。君の声を聞くのは。
たった一つのアルファベットだけれど。君の声には違いない。
可愛いいびきを聞きながら、僕もベッドにもぐりこんだ。

君はどんな気持ちだった??
頭をなでながら、寝顔を見つめる。

女「zzz」

僕は今、名残惜しい気持ちと愛しい気持ちが入り混じっている。
君もこんな気持ちだったのかな。
最後の君の声を聞きながら、僕も眠りに引き込まれていった。



452:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/08/04 23:35:52.79 3f/LQVrL

目が覚めた。
なんだか頭がぼーっとしている。

彼女は隣で笑っている。
笑っている??

女『おはよう』

!!
なぜ、声が出せるんだ。

女『やっと、私も追いつけたね』

何を言ってるのかよくわからない。
追いつけたって、なにに。



453:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/08/04 23:40:37.96 3f/LQVrL

女『君が声を出せなくなってから、ずいぶん待たせちゃったね』

そうだ…
この声は、彼女の口からではなく、頭の奥から聞こえる。

女『君の声も、私にはちゃんと聞こえていたのよ』

本当に!?

女『うん、本当だよ』

僕の声も、同じように彼女には伝わっていたのか。
君の頭の中に、僕の声はあったのか。

女『うん、君は声を失ってしまっていたけど、私の頭の中にはあったよ』

女『でも、うまく説明ができなくて…』

女『でもこれで、やっと話せるね』



454:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/08/04 23:46:20.69 3f/LQVrL

言葉は失っても、会話はできる。

男『じゃあ、ずっと言えなかった言葉を言いたい』

女『なあに??』

男『愛してる』

女『ふふふ。ずっと聞こえてたけどね!!』

女『でも、ありがとう』

★おしまい★


455:創る名無しに見る名無し
11/08/05 00:26:03.03 xyrGV8jv

いいアイディアだなw
面白かった!

456:創る名無しに見る名無し
11/08/05 01:04:31.80 p+9WdaFK
乙!楽しかったよ。
GJです

457:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/08/05 17:33:26.09 +gwUOYdX
読んでいただきありがとうございました

もし発音できないはずの言葉を喋っているとか、
ここわかりにくいとか、指摘があれば遠慮なく言ってくださいね

458:創る名無しに見る名無し
11/08/26 14:07:47.13 UIquROW1
いいなこれ

459:創る名無しに見る名無し
11/09/24 13:18:51.92 U+7MIjxq
.

460:創る名無しに見る名無し
11/09/25 17:34:54.32 0YTBEfSv
>>457
素敵なお話でした。GJ!!

461:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/09/26 22:51:52.08 WLqvjZzW
ブログの方で忠告いただいたのですが
「E」を発音できなくなった直後に「れ」を発音してました
すみませんwww

462:創る名無しに見る名無し
11/10/18 22:18:41.81 LWbHm5QW
久しぶりに来たら良い話が投下されてた

463:創る名無しに見る名無し
11/11/17 08:07:22.99 9muQbZSE
     _ ―- ‐- 、    「 ageてみるか 」
    (r/ -─二:.:.:ヽ
    7''´ ̄ヽ-─<:.:.',                  __
.   〈t<  く=r‐、\:く       _ ...-::‐::¬::::: ̄:::::::::::::::::::::::::::::::
   ∠j ` / ,j={_/ヽヽr'       >:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
.    っ Y _/ ヽ了       /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
.    し イ --─¬       /::::::/:/|:::/::∧:::∧:::::::::::::::::::::::::::::::::::
      f: :_: : :_:_:_└ 、     |/f|/|/ .|/ |/ ∨ ヽ|\:::::::::::::::::::::::::
     /-ー/: : : : : : :\      {            ヘ:::::::::::::::::::::
    /7: : : :r: : : : : : : : : }     ',  .j /     }   .}::::::::::::::::::::
   /: : : : : :.|: :j: : : :\: : j      } /_       ミ   ヘ::::::::::::::::::
  /: : : : : : : j: ヘ、: : : : \|    /く<l´::<ニ二 ̄`>   ミ:::::::::/
 ./: : : : : : : \::::ヘ: : : : : : :ヽ    {::ア{:::::::}厂¨,`_______j:::::://
 {: : : : : : : : : : ヘ:::ヘ: : : : : : :',    V ヘ::::ノ` ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ .{::::|ヽ
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  ',: : : : : : : :::::::::::::::::::〉: :_:_.r--―く   >ヽ      /   _ノ::::{ _/
  '; : : : :.::::::::::::::::::::::r</ :.:..   `ー¬\__        /::::/
  〈: : : : :ー---‐‐r―'´  :.:.:.  ヘ: .  ヽ . . }ー、    ./::::<   「 ああ 」
  〈: : : : : : : : : : 〈r-‐、:.:.:.:ヘ.:.:.:.:.  ', : :  ',: . .|: : 〉  /:::::::/

464:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/12/03 17:32:12.82 1Cj7bgUJ
一本投下します
前の話とよく似てますが…

・地の文あり
・新ジャンルではなく普通のSS
・エロなし過剰な萌えなし



男「あの頃の僕らにはもう戻れない」


465:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/12/03 17:37:14.99 1Cj7bgUJ
「おはよう」

彼女が起きだしてきた。

「おはよう」

僕は笑顔で彼女を迎えるが、口の端が不自然になってしまった。

「お腹すいた」

よし、気付かれなかったようだ。
テーブルに向かう彼女を横目に、焦げついたフライパンをこっそり洗う。
また目玉焼きに失敗した。
何がサニーサイドアップだ。黒点しかないじゃないか。
部屋の中は焦げくさいにおいでいっぱいだが、彼女は気づかない。

そういう病気なんだ。



466:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/12/03 17:42:40.91 1Cj7bgUJ
ソラニンという名前の病気が流行り出したのは、年号が変わって間もなくの頃だった。
僕は当時、彼女との同棲生活をスタートさせたばかりだったこともあり
TVをつける余裕もなく自分のことで精いっぱいだった。

初めは珍しい症例として時々取り上げられるだけだったが、僕がその病気を知る頃には
国民の5%近くが感染していた。

今ではもう20%の国民が感染しているらしく、大きく取り上げられることも減った。
そのかわり、社会は大混乱で、日本はもうどうしようもないところまで来た。
海外のニュースでは大騒ぎらしいが、日本もそれどころではない。

国民の20%だ。5人に一人は感染者だ。
僕も、彼女も、それに感染しないなんて、誰が断言できるだろう。



467:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/12/03 17:47:35.85 1Cj7bgUJ
ソラニンは脳の病気だ。
脳の中から芽を出し、脳を侵す。
脳をスキャンすれば、まるでジャガイモのように芽を出した影がくっきり映るそうだ。

人から人へはうつらないらしい。
原因不明の治癒不能。
医学の発達でかろうじて進行は遅らせられるものの、今のところ治る手立てはないそうだ。

人から人へうつらないのになぜ感染者が膨れ上がったのか。
最初の感染者は誰なのか。
治す手立ては発見されるのか。
神も仏もいないのか。

なにもかもわかっていない。
僕も、国も。



468:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/12/03 17:52:56.51 1Cj7bgUJ
ソラニンに感染すると、なにかを失う。
それは、聴覚だったり、視覚だったり、言語だったり。
記憶だったり、運動能力だったり。

人によってさまざまだそうだ。
ある一定期間の記憶だけを失った人もいれば、昨日の記憶もない人もいる。
下半身だけが動かなくなった人もいるし、右目だけ見えない人もいる。
日本語だけを忘れ、カタコトの英語で話すようになった人もいるらしい。

病気が進行すれば、さらに失うものが増える。
生ける屍になる。いつかは。

恐ろしい。



469:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/12/03 18:01:11.86 1Cj7bgUJ
彼女の異変に気付いたのは、1カ月ほど前だった。

仕事から家に帰ると、どうも家の中が焦げくさい。
カレーを焦がしたようだ。

「ただいま」

「おかえり」

「どうしたん、焦げてるよ」

「え??」

彼女はニコニコ笑いながら、なべの底をお玉でかき混ぜていた。
笑いながら、何を言ってるのかわからない、といった顔をした。
ぐるぐる、ぐるぐる、鍋をかき混ぜる。



470:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/12/03 18:06:26.41 1Cj7bgUJ
「焦げてるって」

僕は慌ててガスを止めたが、彼女はまだ理解できないようだった。
換気扇を回し、鍋の中身を別の鍋に移している僕を、奇妙な目で見ていた。

鍋の底で黒く固まるコゲを見てようやく、彼女も変だと気づいたらしい。

「鼻、詰まったのかな」

グスグスと鼻を鳴らし、呟く。
でも僕は、そんな、風邪とかそんなもので片付く話じゃないと予感していた。

やはり彼女は感染していた。
嗅覚を、失っていた。



471:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/12/03 18:35:26.65 1Cj7bgUJ
病院で見せられた、脳のスキャン。
見事に芽が、咲いていた。

その晩、彼女は僕の胸に顔をうずめて泣いた。
涙が出なくなるまで泣いた。

「においが、しない…」

「あなたのにおいが、わからない…」

そう言って、何度も泣いた。
僕はどうすることもできず、ただ抱きしめて頭を撫でた。

ごめん。なにもできない僕で、ごめん。



472:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/12/03 18:40:23.61 1Cj7bgUJ
それからというもの、彼女は嗅覚のない生活を送ることになった。

僕は、最初は鼻づまりの延長のようなものとして考えていた。
だけど、そんな程度ではないようだ。

「これ、シチューみたいな味がする」

カレーを食べながら、彼女が言った。

「辛くないの??カレーだよ、これ」

「舌がピリってするけど、辛さが、わからないの」

だそうだ。それから彼女はカレーを作ってくれなくなった。



473:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/12/03 19:04:11.00 1Cj7bgUJ
というか、辛いもの全般が食卓に出なくなった。
舌がピリピリするだけで美味しくないのだそうだ。

明太子とかワサビとか、好きなんだけどなあ。
彼女のためだ。仕方ない。
どうしても食べたいときは、自分で買ってきて食べることにする。

そうしているうちに、いつの間にか夏になっていた。
外に出るのは億劫だけど、この部屋も蒸し暑い。
遠くでセミが鳴く声がする。

室外機が唸りをあげて夏に対抗しようとしている。
静かなのに、うるさい。



474:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/12/04 17:39:51.34 4WiWrzXq
ベランダから外を見ると、真っ青な空が広がっていた。
雲が並んで、千切れて、広がって、飛んでいる。

ベランダの下では向日葵が花を広げようとしている。
一階は大家さんの敷地だ。
花の綺麗さを話題にしようと思ったが、彼女は花の匂いも嗅げないんだ。

少し考えて、その話題を振るのはやめにした。

「ねえ、去年の冬のこと、覚えてる??」

突然話題を振られた。

「ん…覚えてるよ、いろいろと」

そう、いろいろあった。



475:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/12/04 17:50:37.92 4WiWrzXq
「あのとき、別れないで、本当によかった」

「…」

そう、僕たちは一度だけ、一週間だけ、他人になった。
よくある話だ。
いわゆる倦怠期。
僕たちもそれにかかった。

「ねえ、あなたは??」

「うん、僕も、別れないでよかったと、本当に思う」

元に戻れて、本当によかった。
そう思う。
あのときの一人寂しい夜とか、君が最後に編んでくれたマフラーとか、一人の年越しとか。
思い出して寂しくなってきた。

「本当に??」

「本当」

「嘘」



476:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/12/04 18:22:56.01 4WiWrzXq
嘘じゃない、と言おうとした僕よりも先に、彼女は堰を切ったように喋り出した。

「私が、ソラニンにかかって、私のこと、重荷になってる」

「あのとき別れてれば、あなたはそれを知らず、きっと幸せだったわ」

「辛いもの好きだったのにね」

「お香も焚かなくなったもんね」

「花も飾らなくなったよね」

「それもこれも、私が…」

あとは、言葉にならなかった。
また彼女は泣いた。
僕はどうすることもできず、ただ抱きしめて頭を撫でた。



477:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/12/04 19:40:00.45 4WiWrzXq
「失うものは、人によって違うんだってさ」

僕は、頭の中で整理する前に言葉にした。

「ソラニンで失うものは、自分自身が決めるんだってさ」

「それ、誰が言ってたの」

「テレビに出てた、偉い学者さん」

「…」

言葉は続く。
それが彼女を慰めるのか、傷つけるのか、判断できないまま。

「君は、嗅覚を失うことを、望んだ??」



478:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/12/04 19:53:28.32 4WiWrzXq
「…」

長い沈黙。
こんな言い方でよかったのか。
いや、そもそもこんな不確定な話を聞かせて、僕はなにがしたいんだろう。

「望んでない」

彼女はきっぱり言い切った。

「ほんの少しの、心の声で、失うこともあるんだって」

「…覚えてない」

においを拒絶するとしたら、僕の体臭がきつかった、とか、そんな理由だろうか。
そうだとしたら、少々ショックだ。
いやかなりショックです。



479:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/12/04 20:01:31.45 4WiWrzXq
もし、そうだとしたら、絶対に喧嘩はしたくない。

僕のことを忘れられたら、と思うと、怖くて。

「僕のこと、忘れないでくれよ」

「…うん」

届いたかな。
真夏だって言うのに、少し寒さを感じた。
悪寒でないことを祈ろう。

「さ、夕食の食材でも買いに行こうか」

「うん」

「今はなにが旬かな」

「…夏野菜のカレー、食べたい??」

「…うん」

「じゃあ、それ、作ろ」



480:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/12/04 20:09:20.21 4WiWrzXq
「カレーは嫌じゃないの」

「いいの」

「辛くなくてもいいからね」

「…うん」

甘口と中辛の間に決めて、僕らは近所のスーパーにでかけた。
なんだか少しだけ距離が近づいた、気がした。

遠くなかったはずなのに。

不思議だ。

手をつないでスーパーまで歩いて行った。
影が伸びる伸びる。なんてことない光景だけど、笑えてきた。



481:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/12/04 20:15:50.62 4WiWrzXq
「ね、ナスは入れようね」

彼女はポイポイとナスをかごに投入する。

「オクラは??」

「サラダも作ろうね」

彼女はポイポイとジャガイモやトマトをかごに投入する。
却下されたようだ。なんでだ。

「お、牛肉が安い」

「夏野菜カレーなら鶏肉だよね」

彼女はポイポイと鶏肉をかごに投入する。
僕の意見はどこに行った。



482:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/12/05 22:13:18.15 z8pEIGOt
「パプリカもいいよね」

彼女はポイポイとパプリカをかごに…

「いや、これ嫌いなんだ」

投入する前に、僕が止めた。

「なんで??」

「色が嫌い」

「きれいじゃん」

「でも形はピーマンじゃん」

緑色じゃないピーマンは変だ。
ピーマンは食べられる。小学生じゃないんだから。
でもパプリカは無理。生理的に無理。



483:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/12/05 22:19:52.37 z8pEIGOt
「むう」

彼女はちょっと不機嫌になったけど、なんとかパプリカは阻止した。
そのかわりピーマンで手を打った。

…ピーマンって夏野菜じゃないよな。
まあいいや。

「お腹すいた」

袋の中のジャガイモは、ソラニンを思い出すからあんまり好きじゃないけれど。
でもカレーにもサラダにも必要だ。

そう、ジャガイモに罪はない。



484:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/12/05 22:26:37.71 z8pEIGOt
結果から言うと、カレーは旨かった。

久しぶりの味だ。

彼女も嬉しそうだった。

それが僕を安心させた。

そして、一緒に皿を洗って、一緒にドラマを見て、シャワーを浴びて、寝た。

「おやすみ」

「おやすみ」

どこかで「さよなら」と聞こえた気がした。



485:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/12/05 22:33:41.76 z8pEIGOt
次の日、僕は目をこすりながら、白い天井を見上げていた。

なんだか変だ。
でも、知っている天井だった。
なんだろう、この違和感は。

窓の外を見ると、今日は天気が悪いのか、空は一面曇っていた。
こういう朝は気分が悪い。
スカッとした青空が見たいのに。

なんだかのどの調子が少し悪い。
そういえば昨日は冷房をかけっぱなしにしてしまった気がする。



486:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/12/05 22:41:15.92 z8pEIGOt
「おはよう」

彼女が先に起きていた。
声に元気がない。
顔色も悪いようだ。

「夏風邪、引いちゃったかも」

鼻をすする音がする。

「熱は??」

僕は彼女のおでこに手をあてる。

「…手、冷たい」

彼女が笑う。
違う、君が熱いんだ。



487:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/12/05 22:50:12.98 z8pEIGOt
「熱あるよ。もうちょっと寝てな」

薬を探そうと棚を漁りながら、また違和感を感じた。

顔色が悪いだって??

もう一度彼女に近づいて頬を手で挟む。

「冷たいよ」

違う、君が熱いんだ。
君の頬は熱いんだ。
なのになぜ、君の顔色はそんなに悪いんだ。
なぜそんなに青白いんだ。

…白い。白すぎる。
まるで人形のように。
死人のように。



488:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/12/05 22:59:03.26 z8pEIGOt
急に気分が悪くなり、流し台に吐いた。
口からは胃液しか出ない。
昨日、なにを食べたっけ。

横を見ると昨日の鍋があった。
ああそうか、カレーを食べたんだ。

蓋を取って中を覗くと、真っ黒な液体が入っていた。

「なんだ、これ…」

彼女が心配そうに、僕の背中を撫でてくれる。

「これ、なに…」

「昨日のカレーじゃん」

「焦げてる…」

「焦げてないよ」



489:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/12/05 23:06:35.88 z8pEIGOt
脳が鈍く回転を始める。
昨日のカレー。
昨日は焦げていなかったのに今日は真っ黒だ。

訳がわからない。
僕は頭を振る。
ひじがガラスのコップにあたり、床でガラスの割れる音がした。

「あらあら、危ないから、ほらどいて」

彼女が片付けようとしゃがみこむ。
僕もしゃがみこんで、ガラスを拾おうと…

「痛っ」

「あらあら、大丈夫??」

指先を切ってしまった。
指先から墨汁が流れ出す。



490:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/12/05 23:15:27.35 z8pEIGOt
遠くでテレビの音がする。

「今日は全国的に快晴です」

アナウンサーが天気予報を告げる。
フラフラとベランダへ向かう。

「ねえ、どうしたの??本当に大丈夫??」

彼女の声が後ろで聞こえる。
君こそ、熱があるんだから早く寝なさい。
そう言おうとしたが声にならない。

空を見上げると真っ白な曇り空だった。

下を見下ろすと真っ白な向日葵が僕を見上げていた。

僕はようやく理解し、声をあげて泣いた。

★おしまい★


491:創る名無しに見る名無し
11/12/06 11:34:04.34 RiiAW2SD
おつ

492:創る名無しに見る名無し
11/12/06 18:48:01.10 iP1lgJLr
オチが理解できない
誰か説明よろ

493:創る名無しに見る名無し
11/12/06 21:53:19.02 mZ/l2Vbf
投下乙です。胸のあたりが重苦しくなるような怖さが印象的でした
>>492
色覚を失ったって事かと。
理由は…前日パプリカの色が嫌いとかやってたあたり?

494:創る名無しに見る名無し
11/12/13 02:46:10.79 zrKW3E2Q
.

495:創る名無しに見る名無し
11/12/24 07:52:03.36 gZlpaSDq
乙です
純愛と少しの不気味さがたまらないな

496:創る名無しに見る名無し
12/01/08 07:03:49.10 YEkMYmKs
age

497:創る名無しに見る名無し
12/02/01 04:37:34.03 kiXA1REa


498:創る名無しに見る名無し
12/02/06 21:25:32.39 2baFQ1FB
age
vipは今書ける環境じゃないねえ

499:創る名無しに見る名無し
12/02/19 22:18:41.26 Nk34kw9y
兄「ただいま」

妹「おかえりー。卒業式なのに帰ってくるの早いね」

兄「クラスの奴らにカラオケ行誘われたけど、断って帰ってきた」

妹「そっか。制服のボタンが全て無事な事と関係があるのかと思った」

兄「はいはい俺はモテねぇよ。後期試験対策で明日も学校行くからな。遅くまで付き合いたくなかっただけだ」

妹「あれ、それじゃ明日も普通に制服で行くの? お母さんが制服クリーニングに出すって」

兄「小論文書いたの見せに行くだけだし、先生にも私服でいいって言われた」

妹「なんだ。んじゃ着替えたらちょうだい。渡しておくから」

兄「おう、悪いな」


妹「はい、お兄ちゃんの制服持ってきたよ」

母「ありがとう。あら、第二ボタンなくなってる。まだこんな習慣続いてるのね」

妹「……物好きもいるんだね」

母「そう? 美男子だけがモテるって訳でもないのよ……何、にやにやして」

妹「し、してないし!」

500:創る名無しに見る名無し
12/02/19 22:22:17.21 Nk34kw9y
兄妹物の場合、直接的なエロじゃなくてこういうのが良いと思うんだ

501:創る名無しに見る名無し
12/02/19 23:25:42.22 j5VY8i6X
うむ、いいかもしんない

502:創る名無しに見る名無し
12/02/21 21:28:15.51 Rv42F5S3




ワイが聞いた情報によると、もうじき中国はバブルがはじけて昔の貧乏な中国に戻るらしいで
もう経済は破綻してて、取り戻すのは無理なんだそうや


その世界ではごっつい有名な政府関係者筋から聞いた確かな情報やで

まあお前ら頭の良い連中には、今さらなくらいのネタやな、
お前らからすればもう常識的なくらいの知識やろ?
2ちゃんねるやってるやつならこの情報でもう大儲けしてるしな♪






503:創る名無しに見る名無し
12/02/22 03:56:32.60 f0i3wAY4
【友】

1「おー、元気そうじゃん」

2「そっちもな」

1「今何してんの」

2「呼吸」

1「そういうのいらねーから」

504:創る名無しに見る名無し
12/02/22 03:57:15.49 f0i3wAY4
2「お前は?」

1「えー適当に。バイトしてる」

2「相変わらずだな。定職つかねーの?」

1「まあそれは後々。やりてーことあるし」

2「やりたいことって何よ」

1「なんでもいいじゃん」

2「そう言われると尚更気になる」

505:創る名無しに見る名無し
12/02/22 03:57:52.06 f0i3wAY4
1「ん、あれだよあれ。世界一周」

2「は?」

1「だから、世界一周」

2「なんで?」

1「いや、色々見ときたいじゃん」

2「ほー」

1「なんだよ」

2「いや、なんかお前らしいけどな」

1「そうか?」

2「んー、衝動的というか奔放な感じが」

1「それ誉めてんの?」

2「まあ羨ましくはあるけど、真似したくはない」

1「まあそうだよな(笑)」

506:創る名無しに見る名無し
12/02/22 03:58:17.51 f0i3wAY4
2「お前いつもそうだな」

1「なにが?」

2「今いるところに執着心がない」

1「そうか?そんなことないぞ」

2「すぐふらっとどっか行くし」

1「んー」

2「ひとつのところに留まった試しがない」

1「まあ、そうかもだけど」

2「部活もころころ変えてたし今は仕事も」

1「あー。すまん」

2「なんで謝る」

1「なんとなく」

507:創る名無しに見る名無し
12/02/22 03:58:41.27 f0i3wAY4
2「責任感とかないのか」

1「それなりにはあるつもりだけどな」

2「そういうとこ本当嫌いだわ」

1「知ってる」

2「そういうところもな」

1「ごめん(笑)」

2「まあ良いけど」

508:創る名無しに見る名無し
12/02/22 03:59:23.22 f0i3wAY4
1「俺だって執着心無い訳じゃないぞ」

2「へぇ」

1「変わらない物があるから俺は自由にやれる」

2「変わらないもの?」

1「うまく言えないけど、友達とか?」

2「人は変わるもんだぞ」

1「お前は何年経ってもお前だ」

2「俺だって変わった」

1「ちょっと老けたな(笑)」

2「そういうのいらねーから」

1「(笑)」

509:創る名無しに見る名無し
12/02/22 03:59:50.78 f0i3wAY4
2「お前は本当変わらないよな」

1「ちょっとだけカッコよくなったろ」

2「気のせいだ」

1「お前は」

2「は?」

1「お前はなにしてんの」

2「ああ。普通に社畜」

1「社畜か」

2「社畜だ。お前と違って堅実派なんでな」

510:創る名無しに見る名無し
12/02/22 04:00:23.13 f0i3wAY4
1「お前らしいな」

2「どうも」

1「お前の夢、まだ覚えてるぞ」

2「忘れろ」

1「でっかい男になってでっかい事をする」

2「忘れろって(笑)」

1「あんまり大きくはなってないな。身長的な意味で」

2「身長の事は言うな。お前は無駄にでっかくなりやがって」

1「牛乳飲んでたからな」

2「俺だって飲んでたわ」

511:創る名無しに見る名無し
12/02/22 04:00:57.19 f0i3wAY4
1「将来は一流企業の社長か(笑)」

2「まあ、後々な」

1「お前ならなれる気がする」

2「どーも。俺も覚えてるぞお前の夢」

1「へ?」

2「おっきくなる」

1「ああ。おっきくなれたな(笑)」

2「分けろバカ」

1「牛乳が足んねーんだよ」

512:創る名無しに見る名無し
12/02/22 04:03:49.75 f0i3wAY4
2「アホか」

1「じゃあ気合いが足らん」

2「うるさい。で?」

1「ん?」

2「次の夢は?」

1「次の夢?んー世界各国に愛人を作るとか」

2「アホ」

1「夢はでっかく。だろ」

2「本当にやりかねないから怖いな」

1「やるんだよ」

2「ハーレムでも作る気か」

1「それも良いな」

513:創る名無しに見る名無し
12/02/22 04:04:46.80 f0i3wAY4
2「他にはなんか無いのか」

1「他?何だろうな」

2「色々あるだろ」

1「んー例えば?」

2「えー家を建てるとか有名になるとか金持ちになるとか」

1「それも良いかもなー」

2「適当だな」

514:創る名無しに見る名無し
12/02/22 04:05:17.85 f0i3wAY4
1「そうか?」

2「お前って欲があるんだか無いんだかわからん」

1「普通にあると思うけど」

2「実はあまり興味無いだろ」

1「なんで?」

2「なんとなく」

1「そうか」

515:創る名無しに見る名無し
12/02/22 06:49:56.59 f0i3wAY4
2「見つかると良いな」

1「ん?」

2「生きがい」

1「生きがいか」

2「俺は変わらないで待ってるから」

1「そうだな」

2「ああ」

1「ハゲてたら笑うからな」

2「ハゲねーよ」

1「ハゲましてくれてありがとう(笑)」

2「うるせーバカ」

516:創る名無しに見る名無し
12/02/27 02:39:50.40 YloicEog
女「男よ、今日の配給だ」
男「またおにぎり一つか…これいつまで続くんだろな」
女「おにぎりがあれば幸せじゃないか」
男「食えるだけ有り難いとは思うが…」
女「おにぎりがあって君がいる、私には何の不満もないぞ」
男「///」
女「おにぎりがあって良かった」
男「…」



被災してた時に書いたSS

517:創る名無しに見る名無し
12/02/27 23:46:23.05 L922xphC
男「もう陽が落ちるな」

女「また、夜が来るんだね」

男「怖い??」

女「怖いよ…でも…」

男「でも??」

女「君といれば、少しは平気」

男「そっか」

男「おれもだ」

女「夜怖いんだ」

男「そっちじゃねえよ」

女「私といると、怖くないんだ」

男「そうだよ、わかってるなら言うなよ」

女「えへへ」


518:創る名無しに見る名無し
12/02/28 22:50:11.37 i6owpL/Y
兄「おい、くりぃむレモンのビデオ見ようぜ」
妹「いやだよ」
兄「いいじゃん。お前、特等席で見ろよ。俺の膝の上」
妹「おい、触るなよ」
兄「いいだろ。兄妹なんだしぃ」
妹「イヤだって言ってるだろ。ハゲ!」
兄「なんだと? お前だって無毛じゃないか!」
妹「無毛のどこが悪いんだよ。ハゲよりは需要があるぜ」
兄「ねーよ」
妹「あるって言ってるだろ包茎!」

母「まあまあ仲がよろしいこと。もう少し盗み聞きしましょ。新たなる展開を期待して……」

519:創る名無しに見る名無し
12/03/08 04:09:04.88 /pZi7U5/
a

520:創る名無しに見る名無し
12/03/11 17:49:05.43 rcUeQBeu
流れ切って申し訳ないんだけど、地の文が多いタイプのブーン系なんかは何処でやればいいんだ?

521:創る名無しに見る名無し
12/03/11 18:04:51.55 P+oA5RfK
ここでかまわんと思うが。↓とかも

他に行き場所の無い作品を投稿するスレ4
スレリンク(mitemite板)l50

522:創る名無しに見る名無し
12/03/11 18:04:53.44 lLu5md1o
ここか行き場のないスレじゃない?

523:創る名無しに見る名無し
12/03/11 18:29:25.88 rcUeQBeu
>>521 >>522
成る程サンクス

524:創る名無しに見る名無し
12/03/12 04:37:00.68 aWqttZUX
なんでこんなつまらないゴミばっか投稿されてるのか不思議
センスも欠片もない奴が集まってんのか?

525:創る名無しに見る名無し
12/03/13 01:42:01.92 093AgQDr
そういうこというなよ
ヘタクソ達が傷なめあってるんだから

526:創る名無しに見る名無し
12/03/30 18:38:10.17 WzCU9cSW
age

527:1/28
12/04/16 00:51:40.92 J9GmMEEf
勇者「あんま悪いことしとったらあかんでほんま」

勇者「分かってんの?」

魔王「はい……」

勇者「ほんま?」

魔王「はい……」

勇者「……分かってへんやろ」

魔王「はい……」

勇者「はい、ちゃうわ!」

528:2/28
12/04/16 00:52:48.53 J9GmMEEf
勇者「自分なんでこんなことしたん?」

魔王「世界征服、カッコええやん」

勇者「あーなるほどなるほど」

勇者「ってアホか!」

魔王「人生を賭けるのに値するのは夢だけやと思わへん?」

勇者「自分魔族やん!」

529:3/28
12/04/16 00:53:17.39 J9GmMEEf
魔王「しかしあんたも立派やね」

勇者「なにが」

魔王「まだ16やろ?」

魔王「若いのに世界の命運委ねられてるなんて」

魔王「めっちゃ凄いやん」

勇者「お前のせいや!」

530:4/28
12/04/16 00:53:54.42 J9GmMEEf
魔王「怒鳴らんといてよもー」

勇者「自分退治されんのわかっとんの?」

魔王「えー、ほんまー? 怖ー」

勇者「なめとんのかボケ!」

魔王「君カルシウム足りてへんのちゃう?」

勇者「なんで魔王に栄養の偏り指摘されなあかんねん!」

魔王「あ、やっぱ足りてへんねや」

531:5/28
12/04/16 00:54:26.75 J9GmMEEf
勇者「はー・・・」

勇者「もうええ、行くで」

魔王「どこに?」

勇者「王国や」

魔王「ここで倒さへんのかい」

勇者「それでもええねんけどな」

勇者「お前倒したらどうせ消えるやん?」

魔王「そらそうや、倒されたら消えるのが悪の美学や」

勇者「それめっちゃ困んねん」

532:6/28
12/04/16 00:54:57.54 J9GmMEEf
勇者「正直な、手ぶらで帰っても儲けになれへんのや」

魔王「そんなんゆうても、うちだけ生首なんの嫌や」

勇者「せやから王国で倒すねん」

魔王「ええんかそれ?」

勇者「なにが?」

魔王「魔王を王国に招き入れてええんか?」

533:7/28
12/04/16 00:55:30.55 J9GmMEEf
勇者「ちゃうよ」

魔王「?」

勇者「お前が押しかけてくんねん」

魔王「意味分からん」

勇者「自分頭悪いなー」

魔王「うっさいボケ」

534:8/28
12/04/16 00:55:59.46 J9GmMEEf
勇者「王国の近くで二手に別れんねん」

魔王「うんうん」

勇者「ほんでお前王国に攻め込む!」

勇者「やばい! 王国の危機! その時勇者が帰ってきた!」

勇者「ほんでお前のことしばいてめでたしめでたし」

魔王「うわー、うちよりアホな奴おったわー」

勇者「一発どついたろか」

535:10/28
12/04/16 00:56:36.23 J9GmMEEf
魔王「ええよ、面白そうやし」

魔王「どうせ一度あんたに倒された身や」

勇者「よっしゃありがとう!」

魔王「あんた変な奴やなー」

勇者「ほな行くで」

魔王「れっつごー!」

勇者「忍!」ドロン

536:11/28
12/04/16 00:57:09.27 J9GmMEEf
勇者「着いたで」

魔王「なんで忍者式やねん」

勇者「ええやんなんでも」

魔王「うわー、うち魔王やのに忍者に倒されてもーたー」

魔王「ってなるやんか」

勇者「信長みたいでええやん」

魔王「信長は忍者に倒されてへん!」

537:12/28
12/04/16 00:58:20.83 14uV3D0A
勇者「作戦はこうや」

勇者「俺はもう出発する、お前は少ししてから来い」

勇者「以上」

魔王「うわー頭悪い説明やなー」

勇者「お前徐々に調子乗り出しとんな」

勇者「まあええ、行ってくるわ」

魔王「ほなな」

勇者「日が沈んだ辺りで来いやー」

538:13/28
12/04/16 00:59:00.82 14uV3D0A
魔王「少しってどんくらい待つんやろ」

魔王「暇やなー」

魔王「あかん、眠なってきた」

魔王「寝たらあかん寝たらあかん寝たらあかん寝たらやかん」

魔王「ちゃうちゃう、やかんやのうてあかんや」

魔王「あははー」

魔王「zz」

539:14/28
12/04/16 00:59:35.94 14uV3D0A
勇者「おい」

魔王「うちだし巻き卵は塩辛派ゆーてるやんかー」

魔王「甘いのは嫌やー」

勇者「起きんかいボケ」

魔王「あと5分・・・」

勇者「永眠させたろか」

魔王「・・・んー?」

魔王「ゆ、勇者! ふはは、よく来たな!」

勇者「もうそのくだり終わってんねん!」

魔王「痛い痛い! 思い出しました思い出しました! だからつねらんといて!」

魔王「もー、うちなんもしてへんのにつねることないやんかー」

勇者「なんもしてへんからや!」

540:15/28
12/04/16 01:00:04.52 14uV3D0A
勇者「せめて逃げろや!」

魔王「ええの?」

勇者「あかんわ!」

魔王「どないやねんな」

魔王「今までなにしてたん」

勇者「日の出って間違えてゆうたかなー」

勇者「とか考えてさっきまで向こうで待機しとった」

魔王「うわーご苦労様やなー」

勇者「しばいたろか!」

魔王「今から行こか?」

勇者「朝に行ったら雰囲気出えへんやろ!」

魔王「細かいなー」

541:16/28
12/04/16 01:00:40.20 J9GmMEEf
翌日

勇者「あとで宿代半額出しや」

魔王「うわーケチくさ!」

勇者「今度こそきちんと来いや」

魔王「分かってるって」

勇者「ほんまやな?」

魔王「ほんまや」

勇者「ほんまにほんまやな?」

魔王「ほんまにほんまや」

勇者「ほんまにほんまにほんまやな?」

魔王「はよ行きや」

542:17/28
12/04/16 01:01:09.57 J9GmMEEf
勇者「心配やなー」

勇者「あいつまた寝てへんやろな」

勇者「見にいこかな?」

勇者「あかんあかん、甘やかしたらあかんわ」

勇者「まだかー?」

勇者「・・・お?」

勇者「来た」

543:18/28
12/04/16 01:01:51.71 J9GmMEEf
魔王「ガオー」

兵士A「うわああああああああ」

兵士B「て、敵襲ー! 敵襲ー!」

兵士C「なんなんだこいつは! 一体どこから!」

兵士D「ど、ドラゴンなのか?」

魔王「魔王やでー」

兵士D「ま、魔王だー!」

兵士E「ひいいい! お助け!」

魔王「ガオー」

544:19/28
12/04/16 01:02:57.01 J9GmMEEf
魔王「ガオー」

チュドーン

魔王「ガオー」

チュドーン

魔王「んんー?」

魔王「あれなんか眠・・・」

魔王「zz」シュルシュルシュル

賢者「催眠魔法が効いて助かったわ・・・」

545:20/28
12/04/16 01:03:29.41 J9GmMEEf
勇者「うおー! みんな無事かー・・・ん?」

兵士A「いやー賢者様がいてくださって助かったな」

兵士B「まさか魔王を倒されるとは」

兵士C「まったくそれに比べて勇者ときたら」

兵士D「魔王を倒すことしか取り柄がないくせにな」

兵士E「まさかおめおめ王国に帰ってくることはないだろうな」

兵士「わはははは」

勇者「・・・あかん」

546:21/28
12/04/16 01:04:11.11 J9GmMEEf
魔王「んー?」

魔王「ここどこやー?」

賢者「お目覚めみたいね」

賢者「ここは王国よ」

賢者「ついでに言うと牢屋よ、それも結界がいくつも張られたね」

魔王「が、ガビーン!」

賢者「もうあなたはそこから出られないわ、死ぬまでね」

魔王「な、なんやて・・・!?」

547:22/28
12/04/16 01:04:45.86 J9GmMEEf
魔王「んなアホな話があるかい!」

魔王「ふんっ!」

魔王「・・・」

魔王「・・・あかん」

賢者「無駄な真似はしないことね」

賢者「精々死ぬまでそこで悔い改めなさい」

賢者「また後で来るわね」

魔王「アホー、一昨日来やがれー」

賢者(なんでゆーくんと同じ訛り方なんだろ)

548:23/28
12/04/16 01:07:27.63 J9GmMEEf
魔王「むー」

魔王「どないしよ」

魔王「それもこれもあのアホが早く現れへんからや・・・」

勇者「・・・やっと行きよったか」

魔王「ゆ、勇者!?」

魔王「こらー!」

魔王「なんで倒しに来なかったんや!」

魔王「うちはあんたやから倒されるゆうたんや!」

勇者「いや魔王として状態異常にかかるのはどうなん・・・?」カチャカチャ

魔王「お茶目や!」

勇者「アホか」カチャカチャ

549:24/28
12/04/16 01:08:51.70 J9GmMEEf
魔王「さっきからなにしとんの?」

勇者「結界壊しとんねん」カチャカチャ

魔王「・・・なにしとんの?」

勇者「助けたるゆうてんねん」カチャカチャ

魔王「・・・アホちゃう?」

勇者「アホちゃうわ!」

勇者「このままじゃ貧乏くじ引いただけや!」カチャカチャ

勇者「俺はなんとしても儲ける側に回ったんねん」カチャカチャ

勇者「心配せんでもお前を倒すのは俺や」

魔王「・・・バカ」

550:25/28
12/04/16 01:10:59.39 J9GmMEEf
勇者「よっしゃ、ほな行くで」

勇者「忍!」ドロン

パキーン

魔王「おお、やるやん忍者」

勇者「朝飯前や」

魔王「ほんまに朝飯前やな」

勇者「腹減ったわー」

賢者「朝食は食べてくの?」

魔王「あははー、そんなんしたら見つかるやんかあほやなー」

勇者「アホはお前や」

魔王「・・・?」

魔王「げげっ」



551:26/28
12/04/16 01:12:24.99 14uV3D0A
賢者「ゆーくん久しぶり」

勇者「久しぶりやな賢者」

賢者「今なら見なかったことにしてあげられる」

勇者「ほな頼むわ」

賢者「魔王は置いていって」

勇者「それは無理な話やな」

賢者「じゃあ見過ごせないわね」

魔王「ドキドキ」

552:27/28
12/04/16 01:13:31.07 14uV3D0A
勇者「お前のことはあんま傷付けたくないんや」

賢者「そう」

賢者「じゃあ私か・・・らっ!?」ゴンッ

勇者「でもどうせ傷付けるんなら早いうちに済ませとくわ」

賢者「きゅー・・・」

勇者「行こか」

魔王「あんたむっちゃ悪い奴やなー」

勇者「魔王に言われたないわ!」

553:28/28
12/04/16 01:15:10.77 14uV3D0A
魔王「ガオー」

チュドーン

兵士E「うわー!」

兵士C「な、なんで魔王が!?」

兵士B「て、敵襲ー! 敵襲ー!」

勇者「わはは、ざまーみさらせ!」

兵士A「だ、誰か乗ってるぞ!」

魔王「隠れてなあかんよ」

勇者「ええんや」

勇者「人影は見せとかなあかんねん」

魔王「? ガオー」

チュドーン

554:29/28
12/04/16 01:15:52.31 14uV3D0A
数日後

魔王「魔王を解放した謎の男、その正体やいかに!?」

魔王「やてー、賢者さんちくらへんかったんや」

勇者「やっぱな」

魔王「これからどないする?」

勇者「今考え中や」

魔王「折角勇者も魔王も休業中やし、どっか別の大陸行ってみいへん?」

勇者「そうやなー」

勇者「あ」

魔王「決まったん?」

勇者「そういや宿代!」

魔王「ケチくさ!」


555:創る名無しに見る名無し
12/04/16 01:17:21.65 14uV3D0A
おしまい

かっとなって書いた
反省はしている、後悔はしていない
番号は間違えた

556:創る名無しに見る名無し
12/04/16 01:50:14.98 YjIDPlmV
なんかごっつええあたりで脳内再生されたw
そして賢者がなんかかわいい。乙です

557:創る名無しに見る名無し
12/04/16 17:02:58.68 VXqkHrxR
確認だけどスレタイの「SS」てのはショートストーリーなの?
てっきりサイドストーリーだと思ってた

558:創る名無しに見る名無し
12/04/19 17:01:02.34 DNGnA6it
>>557
URLリンク(dic.nicomoba.jp)

559:557
12/04/19 18:35:35.67 nsqOrslX
>>558
ごめんそういうことじゃない。
「SS」て言葉にショートストーリーとサイドストーリーの
2つの意味があることはわかってるんだ。
このスレッドではそれをどちらの意味で使っているのかってこと。
つまりこのスレッドは何を投下するためのものなのか確認したい。

560:創る名無しに見る名無し
12/04/19 19:31:59.94 Csq5hQga
>>559
>>2の説明は不十分? セリフ系なら何でもいーんでねーすか(こんな適当な答えじゃダメかなw)

いちおうこういうのもありますが・・・

二次創作総合スレ
スレリンク(mitemite板)

擬人化総合スレ2
スレリンク(mitemite板)

その前に、貴方が何をせんとしているのか?
それを伝えていただいた方が的を射た答えが出やすいのでは

ついでにいうとこういうスレも

スレを立てるまでもない質問スレin創発板2
スレリンク(mitemite板)

【雑談】 スレを立てるまでもない相談・雑談スレ3
スレリンク(mitemite板)

561:557
12/04/19 20:46:14.47 nsqOrslX
>>560
現在下書き中の「相生祐子の憂鬱」(「日常」のサイドストーリー)てのがあって
これをどこで投下しようかと。
SSがサイドストーリーの意味であれば問題なく投下できるが
ショートストーリーの意味であった場合、この作品は長すぎないだろうか。
(たぶん1000行以上になると思う)
個別のスレッドにかかわることは当該スレッドで質問したほうが確実だと思ったので

ちなみに擬人化でもクロスでもない
二次創作総合はあまりに過疎なので避けたい(投下経験あり)

562:創る名無しに見る名無し
12/04/19 21:06:39.03 A2+d3z55
反応が欲しいなら

SS速報vip
URLリンク(ex14.vip2ch.com)

SS深夜vip
URLリンク(jbbs.livedoor.jp)

が良いんじゃないかな
気軽にスレ立てて好きなだけ使える

完全な台本形式二次創作のウケはここじゃ良くないみたいだし

563:創る名無しに見る名無し
12/04/19 21:08:57.92 Csq5hQga
セリフ系ならここでいいんじゃないかな
あまりに長くて1000レス行きそうなら別だけど
ちなみに多少は地の文あってもいいみたい(そこまで厳密じゃない)

ていうか
>あまりに過疎なので避けたい

ちょwww それ言ったらこの板自体が(ry www
反応欲しければVIPおすすめ。いや出てけっていう意味でなくマジに
あとはSS速報? よう知らんけど

お気に召さないかもだけど、いちおうこういうスレもあります(創発コンシェルかw)

【評価】創作物の批評依頼所【批判】
スレリンク(mitemite板)

【mitemiteだし】感想を付けてもらうスレ 2
スレリンク(mitemite板)

【褒めて】優しい感想を付けて貰うスレ【伸びるよ】
スレリンク(mitemite板)

564:創る名無しに見る名無し
12/04/19 21:25:02.68 a2Ep8ALw
2ちゃんだとサイドストーリーをSSとは略さないんじゃね?混同するし

>あまりに過疎なので避けたい


               _,.-‐一――‐--、_
             ,.‐''"              `゙''‐、
           /                    \
          /´      ,,,,xwiiiiiillll|||||||lllllliiiiiwx,,,   `、
         /      /iiiilllllllllllllllll||||||||||||lllllllllllliiiii   ', 
        ,'      /llllllllll!!!''''""~~~~~~~~~~~~~~~~\.  ',
        i      // |!!''"~/ ヽ      ! i ヽ  ヽ  |
       .|     〃 | | / ∥ .ll ヽ    .l l  }lヾヽヽ |
       |     !   | ∥ / ! /  ヽ  ../ ,,,,;;::'''''ヽ \ノ |
       i     !    / ,,,,!/::::::::::::: \/    __  ! |  |    過疎を耐え抜く精神力がある人でないと
       |     ゝ |/ .| "   __ ::::   '"ゞ'-' .| |  |    (創発板を使うのは)難しい
       |      ! .|. |  - '"-ゞ'-' ::::::..      | |  |
       |      ∨ .|         ...:::::::     .| |  |
       |      ::::|. |        ( ,-、 ,:‐、   | |  |
       |     :::::::.| |                 | /::::. |
       |    :::::::::::| |        __,-'ニニニヽ.  |/::::.  |
..       |   ::::::::::::::::| |ヽ        ヾニ二ン" /::::::::..  |
       |  :::::::::::::::::::::::ヽ\             /::::::::::... │
       |  :::::::::::::::::::::::::l  `ー-::、_       ,,..'|ヽ:::::::::....  |
       |  :::::::::::::::::::::::人      `ー―'''''  / ヽ::::....  |
       |; :;:;:;;:;:;::::_/  `ー-、          ,.-'"  \ー-、
       |  ::::::,.-'"  \:      \      .,.-''"     |
       | :::/.     \        ~>、,.-''"      |
    ,,..-‐'''""        ヾ    ,.-''"|    /――、/

565:557
12/04/19 22:43:41.04 merhjQ3Q
確かに創発板は過疎だけど
創発板でも普通は投下完了から二週間も経てば何かしらの反応はあるでしょ。
二週間経って完全無反応は創発板の中でも特に過疎だと思う


566:創る名無しに見る名無し
12/04/19 22:46:06.32 a2Ep8ALw
そら投下終了後にあんな事言うのがわるいやん

567:創る名無しに見る名無し
12/04/19 22:56:23.47 Csq5hQga
自分でも投下したこと忘れた頃についてるレスを発見するのが楽しいのにww

>>562で提示されてるのに、何故ここでの反応にこだわる? 

568:557
12/04/19 23:19:39.08 merhjQ3Q
VIPのレベルの反応だと
なんか催促されてる気がしてプレッシャーになりそう
このスレッドくらいが丁度いい
元々自分は2日に一回位しか閲覧しないので


569:557
12/04/19 23:22:10.28 merhjQ3Q
VIPのレベルの反応だと
なんか催促されてる気がしてプレッシャーになりそう
このスレッドくらいが丁度いい
元々自分は2日に一回位しか閲覧しないので


570:創る名無しに見る名無し
12/04/19 23:25:57.08 A2+d3z55
猿もないし>>562のどっちかでスレ立てて一気に投下しちゃえば反応貰えて一石二鳥じゃない?

ここの過疎が気に入ったのに感想が絶対貰えないと嫌だっていうのはちょっとおかしい気がしなくもない

571:557
12/04/20 06:54:34.02 eGgJ/zGQ
一回質問して一時間以内に3レス付くようなら
俺にとっては全然過疎じゃないと思う

572:557
12/04/20 08:17:02.03 eGgJ/zGQ
連投失礼
俺は別に反応が欲しいわけじゃないんだ
読んで欲しいだけだ

元々ある程度の反応のあるスレッドで無反応なら
それは作品が面白くないってことで納得できる
でも反応の全くないスレッドで無反応は
読んでる人がいないってことだと思う

あとクッキー使えないのが痛い
一応は使える設定になってはいるが
ウィルスバスターを入れてるので
月1で自動消去される
それを超えるほどの投下能力は俺には無い

573:創る名無しに見る名無し
12/04/20 08:35:38.54 hiQLw5IQ
今反応してるのは質問が来て答えてるからであってさぁ
このスレだってそこまで人いるスレではないし
前でも言われてるけどこの板は版権物二次創作はあまり流行ってないから
その元ネタの作品知らないと反応できない事が多々


574:557
12/04/20 08:47:17.37 eGgJ/zGQ
ごめん・・・やっぱりそうなんだよね。
なんか錯覚してたみたい
改めて見返すとこれまでの作品もそんなにレス付いてなかった

でもクッキー使えないからVIPは無理だと思う
だからこの板で投下させて
無反応でもいいから

575:557
12/04/20 18:14:31.45 yupko1o+
どうやら根本的に勘違いしてたみたい
SS速報vip(URLリンク(ex14.vip2ch.com) )は
そもそも2chのサイトではないことに今気づいた
さっきは携帯だったからページが表示できなかったんだ

2chでないならcookieとか忍法帖とか一切関係ないから
問題なく投下できるわけだ
あと投下のテンポも思ったほど早くなかったし

やっぱりSS速報vipで投下することにしよう
投下専用スレでこんな駄論してすまなかった

576:創る名無しに見る名無し
12/05/22 19:30:23.64 zpFq4f7X
a

577:創る名無しに見る名無し
12/06/10 20:55:54.99 JE74m1sR
二ヶ月前、他スレに冒頭部分を投下したことがあるのだが、ここに全文書き込んでみる。
①マルチポスト ②長すぎる! という事だったら、どうかご容赦を。

   地獄百景
      芥川龍之介+埴谷雄高風に

 或る日の事でございます。御釈迦様は …違った …閻魔様は、二匹の鬼を供に連れて血の池地獄の淵を、
せかせかと通り過ぎようとしていらっしゃいました。
「やい、てめえら。モタモタしてんじゃねえ。さっさと歩かねえかい。」
《は?》
「だからよ。とっとと歩けってんだよ。このノロマの唐変木の木偶の坊の新入りめ。」
《ひ?》《ふ?》《へ?》
「なにハモってんだよ。トンチキめ、テンテンテレツクテンツクめ。それに、(ほ)はどうした?」
「ドンツクめ、ドンドンドロツクドンツクめ。(ほ)は風待ちです。」
「チャンシチリン、チヤンチャンシチリンチャンシチリン。得手に帆揚げて一目散髄徳寺と行きたいとこだけど、
ここは地獄のどんづまり。」
「ほー、合わせるじゃねえか。さてはおめえらお笑いだな?」
「漫画家でーす」
「漫画描きでゴザイマス。お客様は神様、お釈迦様は仏様でゴザイマス。」
「出来損ないの三波春夫みたいなこと言ってんじゃねえよ。あ、三匹のほうか、一匹足んねえけど。
それに釈迦だの仏だの平気で口にするとは、場所柄を弁えろってんだよ。分かったか、あーん? 
おめえたちの名めえはなんてえの?」
「山根赤鬼でーす。」
「山根青鬼でゴザイマス。」
「またかよ。ピーヨコちゃんだって三回が限度なんだぞ。ましておめえたちだ、それ以上は野暮ってもんだぜ。」
「しかし、青鬼よ。」
「なんだ、赤鬼よ。」
「べらんめえの閻魔様って違和感あるなあ。」
「全く以って、激しく同意。」
「なんだと、今なんて言ったんだ、このやろう。」
「あれ、聞こえちゃいました?」
「地獄耳だ。」
「あのー、馬鹿な質問だと怒らないでください。操縦できるんですか、機長? …じゃなかった、あなたはほんとに閻魔様ですか?」
「操縦? できないよ、全然、と言いつつここで思いっきり急ブレーキをかける、って乗せるんじゃねえ。おや、するってえと何か、
てめえら俺にアヤつけるために、わざわざこの地獄くんだりまでやって来たってえ訳かい? 上等じゃねえか。」
と言いながら、閻魔様はまた忙しなく歩きだしたのでございます。二匹の鬼も後に続きます。
「ひいふうみい …、ひいふうみい …。」
「楽しそうに針の山で針の数勘定してるのがいますけど、あれは誰ですか。」
「山根一二三だ。おめえらのダチだろうが。」
「あっちで笑いながらサボテンに抱きついてるのは?」
「馬場のぼるだよ。」
「うわっ、甘ったるい匂いがしてきましたね。」
「アップルジャムの池だからな。」
「池んなかで、体中ベタベタになって転がり回ってる阿呆がいますよ。」
「杉浦茂だ。奴は娑婆にいた頃からぶっ飛んでただろ。」
「向うで、竹刀と十手で立ち回りしてるおやじ二人はなんですか。いい年してみっともない。」
「しょうがねえ。赤胴つけて竹刀振り回してるのが武内つなよしで、朱房の十手がうしおそうじだ。」
「両手を横に突きだしてブーンて言いながら飛び回ってる奴は、あれは蜂のつもりなんでしょうかね。」
「胸に〈隼〉のロゴ入ったTシャツの野郎だろ、わちさんぺいだな。」
「柔道着着たイガグリ頭のおっさんがいますね。」
「福井英一だってばよ。」
「イガグリがベレー帽にメガネの弱そうな男を『へっぽこ藪医者』って言いながら投げ飛ばしましたよ。」
「投げられたのは、手塚治虫だっちゅうの。」

578:創る名無しに見る名無し
12/06/10 21:00:47.47 JE74m1sR
「どうしてこんなに漫画家がいるんですか?」
「そこよ。娑婆の奴ら、漫画家なんて子供のためにならねえ役立たずの厄介者だってんで、みんなまとめて送り込んできやがって、
まったくどうしようもねえ。」
「えっ、地獄送りを決めるのは閻魔様じゃないんですか?」
「地獄の沙汰も娑婆の評判次第ってことよ。とは言うものの俺も漫画家どもにゃ弱ってんだよ。あいつら地獄の風紀を乱しっぱなしだからな。」
「そりゃまたどうしてですか?」
「どうしてって、今見たばっかりだろ。どいつもこいつも地獄を楽しんじゃってんだもんよ。俺の立場がねえじゃねえか。」
「はあ、そういうもんですか。」
「そういうもんだよ。なんせここんとこ不景気でな。めっきり地獄に来る奴が減っちまって。こんな奴らでも入れねえことには、
こちとらの商売あがったりだからな。はぁああ、頭が痛えよ。」
「商売って …、なにか手を打たなかったんですか?」
「やったさ。」
「どんな手を?」
「いやな。亡者候補が減った一番の原因ってのを付きとめたら、信濃の善光寺だってことが分かったのよ。血脈の印の功徳なんてのを売りものに、
布施をふんだくって金出した奴みんな極楽へ、ということらしい。まったくふてえ坊主どもだ。が、と分かりゃあ話は早いや。細工は流々ってな。」
「どうしたんですか?」
「あっは、知れたことよ。泥棒を送り込んでその血脈の印とやらをガメちまおうって寸法だ。なんせここは地獄だからな。盗っ人の人材にゃ事欠かねえさ。」
「なるほど、さすが閻魔様。」
「おだてるねい。で、泥的の人選に入ったと思いねえ。」
「へえ、思いました。」
「さあ、そこで困った。」
「なんでです?」
「悪党が多すぎるんだよ。誰にしていいか迷う迷う。いずれがあやめか杜若、違うか。どいつも兄たり難く弟たり難し。」
「それもなんか違うと思いますけど。」
「まあ、こまけえことはいいんだよ。こうやって指折ってみるとな、日本駄右衛門、弁天小僧菊之助、忠信利平、赤星十三、南郷力丸。」
「まんま、白浪五人男じゃあーりませんか。」
「袴垂保輔、熊坂長範なんてのもいるし、鼠小僧次郎吉も捨てたもんじゃねえし。」
「ずいぶん時代があっちこっちしますね。」
「そん時にな、花道をつつつーと滑り出てきた奴がいてよ。」
「花道!」
「そいつが言うんだ。『元締めお待ちなせえ。』ってな。」
「元締め!」
「おめえは京唄子か。いちいち煩えな。」


579:創る名無しに見る名無し
12/06/10 21:05:16.34 JE74m1sR
「分かった。白井権八ですね。」
「おう、こっちのおめえは話が分かるな。ところがどっこいザァーンネンでした。ぴよぴよ大学。」
「誰だったんですか?」
「そいつが、『肝心なのを一人忘れてやぁいませんか。』ときたもんだ。」
「森の石松だ。」
「いけそうな奴だと思ったのにがっかりさせやがる。なんで石松なんだよ。話の流れ的にありえねえだろ。」
「だってその科白は …。」
「人の話は最後まで聞けってんだよ。慌てるこ○きは貰いが少ねえぞ。」
「閻魔様が伏字?」
「そりゃ、おめえ、ポリティカル・コレクトネスだあな。めったなことは言えねえよ。」
「ああいう言葉狩りの奴らこそ地獄送りだと思うんですけどねえ。」
「おめえ度胸あんなあ、気に入ったぜ。ところでと、どこまで話したっけ。そうだ、そいつが『寺が舞台ならあっしにお任せを。』
で、俺が『ぶふい! そういうおめえは忘れようとして思い出せねえ石川の五右衛門じゃねえか。こいつはドンピシャだ。』即決まりよ。」
「お頭、それで事の首尾は?」
「しーっ、鯉が高い …、って違うだろうが。そりゃ、大成功さ。なんたって超A級のプロだからな。」
「ゴルゴ13みたいですね。」
「うん、奴も早くここへ来ねえかな。楽しみにしてるんだ。」
「やっぱりあいつは地獄ですかね。」
「あたりき、しゃりき、車引き。あんだけ人を殺めておいて地獄以外のどこに居場所があるってんだ。 …待てよ。」
「なんです?」
「奴は金持ってるかんなあ。下手すりゃ善光寺まるごと買い込んじまうかもしれねえな。」
「そうそう、善光寺。五右衛門派遣の顛末はどうなりました?」
「それがな、情ねえことに …、 俺としたことが、ああ畜生 …。」
「ど、どうしちゃったんですか閻魔様?」
「あれを盗ったまでは良かったんだがな。そのまますんなり戻って来りゃあいいものを、野郎、そこで芝居っ気出しゃあがって、
『まんまと偸みとったる血脈の印、やれありがてえかっちけねえ。』ってんで見得切って戴ちまったもんだから堪らねえやな。
そのまますーっと極楽へ行っちまったのよ。」
「それはそれは、なんともはや、べけんやでげすな。」
「五右衛門、寺、舞台、こんだけキーワード揃ってて、あの展開が読めねえとは、俺も焼きが回ったもんだとガックリきちまってよ。」
「でも、そもそも花道から登場でしたよね。」
「おめえ、上役に嫌われるタイプだっただろ?」

580:創る名無しに見る名無し
12/06/10 21:10:04.56 JE74m1sR
そこへ、古株の鬼が数匹息せき切って駆けつけて参りました。
「親分、て、てえへんだ。」
「なにがどうした、だっふんだ。」
「また毛唐組がうちのシマ荒してますぜ。」
「こんどこそ勘弁ならねえ。」
「喧嘩〔でいり〕仕度は出来てやす。」
閻魔様は鬼達が口々に喚き立てるのを制しながら、徐に傍らの電話機から受話器を採り上げたのでございます。
「おう、東の地獄のもんだが、おめえんとこのサタンはいるかい? なに、出張中だと。おめえは誰だ? 代貸しのダンテだって? 
あの口の達者な野郎か。格下だがしょうがねえ、そんじゃ言っとくがな、おめえんとこの三下がうちのシマでちょろちょろしてやがるようだ。
この前の約定違反だぜ。さっさと引き上げさせな。この件はおめえが挨拶に出向いてきたらチャラにしてやる。サタンまで来いとは言わねえ。
それほどの事じゃねえしな。ただ、仔細はきっちり伝えとけよ。分かったな? じゃ、切るぜ。」
「閻魔様、カッコイイ!」
「むふふ、それほどでもねえけどよ。」
〔その電話は何ですか?」
「東と西の地獄を繋ぐホットラインだ。」
「こんな事しょっちゅうあるんですかね?」
「昔はそりゃあ酷いもんだった。だからこのホットラインを設置したんだ。つまらねえ小競り合いが大事にならねえようにってな。」
「へー、魂消た、高下駄、日和下駄。」
「地獄もこれでなかなかどうして、ちったあ進歩してるんだぜ。」
「恐れ入谷の鬼子母神。約定っていうのはどんなものなんでしょう?」
「ま、言ってみりゃあ停戦協定だな。けどよ、あいつら腹の底じゃそんなもの守る気なんかねえよ。」
「どうして分かるんです?」
「こないだちょいと派手に揉めた時によ。中立地帯で停戦交渉してる時の話だ。奴らが、権利がどうのこうの平等が滑ったの機会均等が転んだの
なんてほざきやがるから、俺は言ってやったのよ。『おめえさんたち、ちっと了見違いをしてやしねえかい。土地々々の流儀ってもんが
あるだろう。お互いに地獄者の仁義は守ろうじゃねえか。』ってな。」
「ヒヤヒヤ。」
「よっ、大統領っ。」
「馬鹿野郎。俺は大王だ、大統領じゃねえ。ま、そんなこたぁどうでも井伊家の赤備え。なっ、おめえたちもそう思うだろう? 
ところがだ、あん畜生どもの返答がいいや。なんて抜かしがったと思う? 『グローバルスタンダード』だとよ、くそったれめ。」
「そいつを錦の御旗に、いずれは天下布武という魂胆は丸見えですね。」
「だろ? もっとも協定約定なんてものは所詮そんなものさ。しかしだからこそってえか、そいつが有効なうちは守らなくちゃならねえ。
破った時のペナルティを定めてるのはそのためなんだしよ。以上、地獄大学法学部国際法講義終り。ここ、試験に出るからな。」
「えー、試験があるんですか?」
「当たり前田のクラッカー。お楽しみはこれからだ。呵々。」
鬼たちもどっと笑い声を上げたのでございます。
こうして今日も稚気に満ち、痴気に溢れた地獄の一日が終ろうとしているのでございましょう。

581:創る名無しに見る名無し
12/06/11 15:14:19.49 RiMWM/8D
退屈すぎ
つまんねえから死ねよ

582:創る名無しに見る名無し
12/06/13 21:22:39.63 9xp62Kxf
ほう

583:創る名無しに見る名無し
12/06/28 02:43:20.19 LG/2AXs8
ほけきょ

584:創る名無しに見る名無し
12/07/04 17:35:00.90 pD0Lfnb1
けきょけきょ

585:使い回しですが
12/07/11 23:30:37.64 2PT9rI9D
【博士と助手】


助手「ハカセ、生活費が足りません」

博士「むむ、そうか」

助手「このままだと来週には食糧が底をつきます」

助手「せっかく色々な発明品作ってるんだから、売れるものがあるはずです」

博士「むむむ、しかし最近は作ってないよ」

助手「昔のやつ!! 引っ張り出してくださいよ」



586:創る名無しに見る名無し
12/07/11 23:37:20.29 2PT9rI9D
博士「じゃ、じゃあこれなんかどうじゃ」

助手「はあ」

博士「ジャカジャン!!」

助手「そのテンションいらない」

博士「手乗り犬!!」

手乗り犬「きゅーん」

助手「わーお、可愛い!!」

博士「あ、でもこれはダメ、可愛いから売れない」

助手「飼ってもいいわよ!!」



587:創る名無しに見る名無し
12/07/11 23:43:30.49 2PT9rI9D
助手「ハカセ、生活費がさらに苦しく」

博士「むむむ、では次じゃ」

助手「ジャカジャンはいりませんよ」

博士「ジャ……っ」

博士「勝手にお掃除ロボ!!」

助手「おお、実用的じゃないですか」

博士「スイッチを入れると勝手にお掃除をしてくれます」カチッ

お掃除ロボ「……」ウイーン

助手「早速ゴミ袋を片付け始めましたよ」

博士「ハエもたかってたしね、最近ね」



588:創る名無しに見る名無し
12/07/11 23:48:38.20 2PT9rI9D
お掃除ロボ「……」ウイーン

助手「次はハカセの部屋に向かいましたよ」

博士「言い忘れていたが、ロボは自動的に汚いところを察知するんじゃ」

博士「最も汚いところを優先的に」

助手「つまりハカセの部屋がこの研究所で一番汚いと」

博士「そういうことになるのう」

助手「……」

お掃除ロボ「……」ウイーン



589:創る名無しに見る名無し
12/07/11 23:53:27.49 2PT9rI9D
お掃除ロボ「……」ウイーン

助手「ベッドの下に向かいましたね」

博士「ああ!! ダメ!! そこはダメ!!」

助手「なんですか、まさかいい歳してベッドの下にエロ本とか隠してあるんですか」

お掃除ロボ「……」ウイーン

博士「ダメ!! その本だけは!!」

助手「この研究所で最も汚い本なんですね」

お掃除ロボ「……」ウイーン

シュボボボボ

博士「燃やされたー!!」

助手「無慈悲ですねえ」

博士「明日からワシどうしたらいいの!!」



590:創る名無しに見る名無し
12/07/11 23:58:43.52 2PT9rI9D
助手「危なっかしいですね、あれは、売れませんね」

博士「ワシの秘蔵本が……」

助手「元気出してください」

博士「じゃあ君が本の代わ……」

ドゲシッ

助手「いいことありますって」

博士「け、蹴りに対するコメントが一言もない……だと……」



591:創る名無しに見る名無し
12/07/12 00:05:17.80 sGMXopEm
――後日――

博士「パ、パソコンの中身まで掃除されてる!!」

助手「良かったじゃないですか」

博士「助手君の恥ずかしい写真フォルダとか!!」

ドゲシッ

博士「人妻の18禁サイトのアドレスとか!!」

助手「な、効いていない……」

博士「ち、ちくしょおおおおおお」

助手「ハカセの発明品じゃないですか」

博士「あ、あれ、『ウイルスを消去しました』だって」

助手「いいことありましたね」


【博士と助手】おわり



592:創る名無しに見る名無し
12/07/12 00:11:36.54 uN881YNB
>>585
乙です!
4コマ漫画的ほのぼのだなあw

593:創る名無しに見る名無し
12/07/12 21:28:46.14 OcFFdEHY
ども
とりあえずストックぽつぽつ投下しときます

594:創る名無しに見る名無し
12/07/12 21:33:57.70 OcFFdEHY
【博士と助手 2】


博士「じめじめするのう」

助手「梅雨ですからね」

博士「じゃあ今日のテーマは梅雨じゃ」

助手「テーマってなんですか」

博士「じめじめすると食欲もなくなる、そこで!!」

博士「ジャカジャン!! カタツムリ調理機!!」

助手「うわあ……」

博士「これを使えば食費も抑えられます」



595:創る名無しに見る名無し
12/07/12 21:39:38.02 OcFFdEHY
助手「ハカセが先に食べてくださいね」

博士「むう、冷たいな」

モグモグ

助手「どうですか」

博士「じゃりじゃりする」

助手「殻は取れ!!」



596:創る名無しに見る名無し
12/07/12 21:45:06.78 OcFFdEHY
博士「カタツムリは高級食材と聞いたが」

助手「日本の野生はダメでしょ」

博士「食べる??」

助手「いりません」

博士「ちぇ……」

助手「使えませんね」

博士「なんの、まだまだ!!」

博士「ジャカジャン!! 第二弾!! ナメクジ調理機!!」

助手「懲りろ!!」

博士「ナメクジなら殻もないよ」

助手「そういう問題じゃありません!!」



597:創る名無しに見る名無し
12/07/12 21:50:52.38 OcFFdEHY
博士「……」ニュルニュル

助手「食べるんだ……」

博士「じゃりじゃりしない」

助手「そういうのはもういいですから、問題は味ですよ」

博士「結構いけるよ」

助手「マジですか」

博士「これで食費はしばらく安泰だね!!」

助手「え、梅雨の間ずっとこれ食べるの……??」



598:創る名無しに見る名無し
12/07/12 22:01:42.57 UGVKpnL4
なごむ

599:創る名無しに見る名無し
12/07/12 22:04:47.27 OcFFdEHY
博士「梅雨といえば、紫陽花だね」

助手「ええ」

博士「綺麗だよねえ……紫色でさ……」

助手「そうですね」

博士「……」

助手「……」

博士「で、どうかな、カタツムリ調理機売れないかな」

助手「え、紫陽花は!?」

博士「好きだよ」

助手「そういうことじゃなくて!!」



600:創る名無しに見る名無し
12/07/12 22:10:59.12 OcFFdEHY
博士「じめじめすると寝苦しい!! そんなときに!!」

助手「ジャカジャン!!」

博士「ジャ……っ、ちょっと!!」

助手「なんですか」

博士「台詞とらないでよ」

助手「いいから」

博士「安眠マスク!!」

助手「マスク??」

博士「こう……目につけます」

助手「アイマスクとどう違うんですか」

博士「なんかこう……デザイン??」



601:創る名無しに見る名無し
12/07/12 22:19:24.75 OcFFdEHY
助手「……」

博士「おお……ひんやり……する……ような……」

助手「曖昧なんですか」

博士「おやすみ」

助手「おやすみなさい」

博士「……」

助手「……」

博士「ダメだやっぱ暑い」ベシッ

助手「白衣着て寝るからですよ」



602:創る名無しに見る名無し
12/07/12 22:31:48.49 OcFFdEHY
博士「ええい!! 最終兵器!!」

助手「ここまでロクなの出てませんけどね」

博士「ジャカナ……っ」

助手「噛みましたね」

博士「わーお!! 季節変換マシーン!!」

助手「はい??」

博士「これを使えば、季節を進められるよ!!」

助手「え……それってすごいんじゃ」

博士「そーれ」カチッ

むわっ

助手「……」

博士「……」

 『あっつ!!』


【博士と助手 2】おわり



603:創る名無しに見る名無し
12/07/13 21:46:14.16 KoCzFuki
【博士と助手 3】

博士「いやー最近さー発明品売るためにはネーミングも大事って気付いたんだよねー」

助手「なんなんですか、そのエセ若者口調は」

博士「やっぱりー時代のー先端をーみたいな??」

助手「周回遅れ感が半端ないですね」

博士「という訳でえー今日の発明品はこちら!!」

助手「テレフォンショッピングみたいなノリやめてください」

博士「パッパラー!! ホンネデール!!」

助手「効果音が変わった!?」

助手「ていうかネーミング微妙!!」

博士「ウエエーイ」ドンドコドンドコ

助手「ハカセ、突っ込みきれません!!」



604:創る名無しに見る名無し
12/07/13 22:01:39.90 KoCzFuki
助手「で、これはなんなんですか」

助手「なんか光線銃みたいな形ですが」

博士「このビームに当たった者は、本音が出るという……」

助手「なんだ、そういう意味なんですか」

博士「ん??」

助手「私はてっきりホネが飛び出る破壊光線でも発射されるのかと」

博士「怖いこと言うね君」

助手「それなら喜んで引き金を引くんですけど」

博士「え?? あれ?? ワシのホネが見たいの??」ブルブル



605:創る名無しに見る名無し
12/07/13 22:09:35.00 KoCzFuki
助手「とりあえず試してみましょう」

ビビビ

博士「……」

助手「どうですか」

博士「あー助手君の乳首が見たいなあー」

ドゲシッ

助手「ちょ、それが博士の本音ですか!! ここ辞めさせてもらいますよ!!」

博士「『おっぱい』と言わないとこにこだわりを感じ取ってほしいなあー」

助手「そんなクソみたいなこだわりは捨ててください!!」

博士「クソって君……そんな言葉遣い……」

助手「ハカセに言われたくありません!!」



606:創る名無しに見る名無し
12/07/13 22:36:56.55 KoCzFuki
博士「助手君の本音も聞きたいなー」

ビビビ

助手「っちょ!!」

博士「ふっふっふ……」

助手「……」

博士「む、口を開かないつもりかな」

助手「……」

博士「助手君の最近の悩みはなに??」

助手「べ、便秘です」

博士「ほうほう」

助手「いやー!! なに言わせてるんですか!!」



607:創る名無しに見る名無し
12/07/13 22:44:48.55 KoCzFuki
博士「そんなあなたに!! ペッペケペー!!」

助手「また効果音が変わった!?」

博士「ツライ便秘もすっきり!! ホントデール!!」

助手「ネーミングかぶってますよ!!」

博士「ほら、これ飲んですっきり出しといで」

助手「は、はあ」

ゴクン



608:創る名無しに見る名無し
12/07/13 22:57:33.95 KoCzFuki
ジャー

ガチャ

博士「で、どうだった??」

助手「た、大漁でしたよ」

博士「具体的には??」

助手「あ、アトミック砲、みたいな……」

博士「ほうほう」ニヤニヤ

助手「いやー!! もういや!!」

博士「うむうむ、助手君がすっきりしているのを見ると気分がいいよ」

助手「私は嬉しさと恥ずかしさでもどかしいです」



609:創る名無しに見る名無し
12/07/13 23:03:37.26 KoCzFuki
助手「ハカセひどいですよねー」ナデナデ

手乗り犬「きゅーん」

博士「ああ、助手君が現実逃避を始めてしまった」

助手「手乗り犬可愛いなあー」ナデナデ

手乗り犬「くんくん」

博士「そ、そんなロボット犬より、ワシのほうが……」

助手「ワシの方が……なんですか??」

博士「か、かわっ……」

博士「役にた……っ」

博士「ダメじゃ、嘘は言えん」

助手「嘘っていう自覚あるんですか」



610:創る名無しに見る名無し
12/07/13 23:11:34.49 KoCzFuki
助手「ていうか、ホントデールってただの便秘薬じゃないですか」

助手「発明品って言うほどでもないですね」フン

博士「むむ、言ってくれるね」

博士「次はこれ!! オッペケペー!!」

助手「もう突っ込みませんからね」

博士「モギトレール!!」

助手「な、なにが、なにがもぎ取れるというんですか!?」



611:創る名無しに見る名無し
12/07/13 23:20:45.47 KoCzFuki
博士「これを飲むと、その人の最も『不要な部分』がもぎ取れるらしい……」

助手「伝承なんですか!? 不確定なんですか!?」

博士「どうかね、飲んでみるかね」

助手「怖すぎますよ!! どこがもぎ取れるかわからないとか!!」

博士「もぎ取れるほどの容量はなさそ」

ドゲシッ

博士「ど、どこがとは言ってないのに……」

助手「言わなくてもわかりますよ!!」

博士「おっぱ」

ドゲシッ



612:創る名無しに見る名無し
12/07/13 23:25:36.01 KoCzFuki
助手「これは危険すぎます!! お蔵入りです!!」

博士「ううむ、仕方ない、最終兵器じゃ」

助手「今回もロクなものが出てませんが……」

博士「ジャカジャン!! ジバクスール!!」

助手「また効果音が戻った!! なんか懐かしい!!」

助手「って、え?? ちょ、自爆??」

博士「このビームを浴びたものは問答無用で自爆するのじゃ」

助手「怖い怖い怖い!! なに作ってんですか!!」

博士「ふっふっふ、誰を自爆させようかなー」

助手「これさっき言ってた破壊光線よりも危険ですよね!?」

博士「ん??」

助手「こっち向けるな!!」



613:創る名無しに見る名無し
12/07/13 23:30:58.05 KoCzFuki
博士「そーれ」

ビビビ

助手「ぎゃー!! ちょっと!! 少しぐらいためらってくださいよ!!」ビリビリビリ

博士「……」

助手「……」

博士「あれ、そうか、自爆機能がある人にしか効かないんじゃった」

助手「そんな人類いるんですか!?」

博士「なんじゃ、残念」

助手「心臓止まるかと思いましたよ、もう」



614:創る名無しに見る名無し
12/07/13 23:36:52.71 KoCzFuki
博士「ちぇー」

ビビビ

助手「ちょっと、振り回さないでください」

博士「うひょー」

ビビビ

手乗り犬「きゅーん!!」ビリビリビリ

助手「あ、手乗り犬が!!」

ピピピピピピピピピピ

ズガーン!!!!!!!!!

博士「……」

助手「……」

 『て、手乗り犬ぅー!!』


【博士と助手 3】おわり



615:創る名無しに見る名無し
12/07/13 23:40:19.67 mMoO7utL
手乗り犬…いい奴だった…

616:創る名無しに見る名無し
12/07/14 23:47:15.54 d3MiqfGV
これおもろいわw
乙です!

617:創る名無しに見る名無し
12/07/15 18:39:11.06 4pCIzbY9
【博士と助手 4】


博士「正月は餅がおいしいよね」

助手「ええ」

助手「……季節感ゼロですね」

博士「そういうことは気にするな」

助手「まあ、いいですけど」

博士「あけおめー」

助手「うわあ、やりづらい」



618:創る名無しに見る名無し
12/07/15 18:50:35.56 4pCIzbY9
博士「助手君は餅にはなにをつける派??」

助手「私はきなこですね、王道ですね」

博士「ふふん、甘いな」

助手「む、ハカセこそどうなんですか」

博士「ワシはあれじゃよ、バター醤油と海苔じゃよ」

助手「砂糖は??」

博士「ナシじゃ」

助手「珍しいですね」

博士「ふふん」

助手「糖尿病ですか??」

博士「違う!!」



619:創る名無しに見る名無し
12/07/15 19:03:24.54 4pCIzbY9
助手「でもお餅を喉に詰めて亡くなる人が毎年いますよねえ」

博士「うむ、特に老人にな」

助手「ハカセ、大丈夫ですか??」

博士「ちょ、ワシまだ若いよ!!」

助手「ワシとか言ってたら老人にしか見えませんって」

博士「髪の毛も……まだあるし……」

助手「フサフサとは言わないんですね」

博士「嘘はイカンからの」



620:創る名無しに見る名無し
12/07/15 19:11:18.36 4pCIzbY9
助手「そういうときの発明品はないんですか」

博士「もちろんあるぞ」

博士「あ、餅だけに」

助手「ああ、いらない一言が……」

博士「ジャカジャン!!」

助手「あ、新年でもその効果音なんですね」

博士「餅取り機!!」

助手「響きがトリモチみたいですね」

博士「今どきの若い人はトリモチだなんて言ってもわからんぞ」

助手「や、やだなあハカセ、私もまだ若いですってば!!」



621:創る名無しに見る名無し
12/07/15 19:31:22.76 4pCIzbY9
博士「餅を喉に詰まらせた人がいれば、これでガッポガッポと……」

助手「吸い出すと」

博士「うむ」

助手「……」

助手「あれ?? 発明品は??」

博士「これじゃが」

助手「これ、ホームセンターで似たようなのを見ましたが」

博士「そ、そう」

助手「……」

博士「すまん、本当は既製品を買ってきました」

助手「ていうかこれ、本来便器用ですよね」



622:創る名無しに見る名無し
12/07/15 19:39:25.91 4pCIzbY9
助手「まあ、スランプくらいありますって」

博士「ううむ」

助手「お正月くらい気楽にいきましょう」

博士「そ、そうじゃな」

助手「いただきまーす」

博士「うむ、旨そうじゃ」

モチャモチャ

助手「ぱふっ」

博士「はっはっは、きなこを食べてると、時々そうなるのう」

助手「ゴホゴホ」

博士「大丈夫??」

助手「え、ええ、ちょっと急に食べすぎました」



623:創る名無しに見る名無し
12/07/15 19:48:02.14 4pCIzbY9
博士「まったく……」

モチャモチャ

助手「うーん、美味しい♪」

博士「んぐっ」

助手「もう一個食べちゃお♪」

博士「んん、んぐぐ、ぐぐ」

助手「うひー、太っちゃう♪」

博士「む、む、むぐぐ……」

助手「あれ、ハカセ、どうしたんですか??」

博士「んぐんぐぐぐ」



624:創る名無しに見る名無し
12/07/15 19:55:16.01 4pCIzbY9
助手「のどぼとけを??」

博士「ぬぐぬぐうう」ペチペチ

助手「叩いたら??」

博士「んぐんぐうう」バタバタ

助手「世界が変わった??」

助手「なに言ってんですか、ハカセ」

博士「んんんんんんんんん!!」

助手「冗談ですよ」

ガッポガッポ

博士「ぶはぁっ」

助手「早速役立ちましたね、餅取り機」



625:創る名無しに見る名無し
12/07/15 20:16:28.96 4pCIzbY9
博士「助手君、ちょっと、焦らしすぎ……」ゼエゼエ

助手「すみません」

助手「ちなみにこれ、新品ですか??」

博士「ん?? ああ」

助手「そうですか」

博士「え、なに?? 便器に使ったあとでした、みたいなオチ??」

助手「いや、そのオチは今ハカセが否定したじゃないですか」

博士「あ、ああ、そうか、そうだな」



626:創る名無しに見る名無し
12/07/15 20:26:02.41 4pCIzbY9
助手「ま、いいや、ハカセももう一個食べます??」

博士「ん、ワシはもういいかな」

助手「また詰まったら、困りますもんね」

博士「うむ」

博士「しかし、助手君よく食べるね」

助手「えっへっへ、今日だけはもう、カロリーとか気にすんのやめようかな、と」

博士「太ってるようには見えないけどなあ」

助手「見えないところが太ってるんですよ」



627:創る名無しに見る名無し
12/07/15 20:32:23.65 4pCIzbY9
助手「ううん、やっぱりきなこ最高です♪」

モチャモチャ

助手「んぐっ」

博士「ん、どうした助手君」

助手「んぐんぐんぐうう」

博士「ほうほう、喉に、餅が、詰まったと」

助手「んんぐ、ぐ、ううん」コクコク

博士「つまりガッポンしてほしいんだね、ワシが使ったあとの餅取り機で」

助手「んぐ、ううん、ぐううう」フルフル

博士「そーれ」

助手「んんんんんんんんん!!」フルフル

ガッポン


【博士と助手 4】おわり



628:創る名無しに見る名無し
12/07/19 21:07:14.80 E5hCWJT0
【博士と助手 5】


助手「ハカセ、髪伸びましたね」

博士「うむ、少し暑苦しいな」

助手「切ってあげましょうか」

博士「お、助手君、髪切れるんだ」

助手「ええ、まあ、多少なりとは」

博士「じゃあお願いしようかな」



629:創る名無しに見る名無し
12/07/19 21:13:08.81 E5hCWJT0
助手「ハカセの髪、真っ白で綺麗ですねえ」チョキチョキ

博士「ふふふ、そうかい」

助手「紫に染めたら綺麗でしょうねえ」チョキチョキ

博士「え、ちょっと、ダメ……」

助手「大阪のババ……マダムみたいに綺麗に染まるでしょうねえ」チョキチョキ

博士「助手君、ババアなんて言葉を使うんじゃないよ」

助手「なんとか踏みとどまりましたよ」チョキチョキ

博士「言ったも同然だけどね」



630:創る名無しに見る名無し
12/07/19 21:29:28.40 E5hCWJT0
博士「~♪」

助手「(あれ、てっぺんが薄い??)」

博士「~♪」

助手「(言った方がいいかな、気付かないふりした方がいいかな)」

博士「~♪」

助手「ハ、ハカセ」

博士「うん??」

助手「て、てっぺんがハゲてきています」

博士「ちょっと直球すぎるよね!?」

博士「もう少しオブラートに包もうね!?」



631:創る名無しに見る名無し
12/07/19 21:37:21.26 E5hCWJT0
助手「最近の森林破壊の進行は恐ろしい勢いですよねえ」

博士「うん、え??」

博士「さっきのはナシの方向なのかしら」

助手「砂漠化現象も問題ですよねえ」

博士「……」

助手「ところでハカセ、ハカセの頭髪も破壊されています」

博士「よりひどくなってるよね!?」

助手「森林に囲まれた砂漠が見えてきました」

博士「それ地肌だからね!? むき出しにしないでね!?」



632:創る名無しに見る名無し
12/07/19 21:49:04.84 E5hCWJT0
助手「お、オアシスが見えてきています」

博士「それ蜃気楼だね」

博士「うん、ワシもなに言ってるか分からなくなってきたね」

助手「で、ハカセ、どうしましょうこの砂漠」

博士「砂漠って言うな」

助手「どうしましょうこの地肌」

博士「うむむ……そんなときには!!」

博士「薄毛の人に朗報!! ジャカジャン!! ハゲカクレール!!」

博士「誰が薄毛だ!!」

助手「私でないことは確かです」



633:創る名無しに見る名無し
12/07/19 21:54:33.83 E5hCWJT0
博士「このハゲカクレールは、薄毛地帯に塗ることで髪の毛のように膨らむ」

博士「薄毛地帯をこれで覆い、錯覚を起こさせるのじゃ」

助手「つまり誤魔化しですね??」

博士「……ま、まあ」

助手「今の時代、インチキくさいのも含めて発毛剤が山ほど発明されているんですよ」

助手「ハカセならもっとすごい発明が作れるはずです!!」

博士「ふふふ、ワシの発明がこれだけで済むはずがなかろう」

助手「や、やっぱりあるんですか、すごいのが」

博士「駆け引きが上手な策士は、まず捨て案を見せ、それから自信作を見せるのじゃ」

博士「ジャカジャン!! ジンルイミナハゲール!!」

助手「ほうほう、なんだか壮大な名前ですね」



634:創る名無しに見る名無し
12/07/19 22:05:04.31 E5hCWJT0
助手「って、え??」

博士「これを川に流せば、たちまち雨となって降り注ぎ、人類みなハゲるのじゃ!!」

助手「ちょ、ちょっと!! なんてもの発明してるんですか!!」

助手「ヤバめの毒物じゃないですか!!」

博士「ふふふ……髪を切ってもらったら、その辺の川にすいっと流してこようかな」

助手「ここら辺一体、みんなハゲちゃいますよ!!」

博士「いやいや、まずは川の下流に流れていくから」

助手「そういう問題じゃありません!!」



635:創る名無しに見る名無し
12/07/19 22:15:02.88 E5hCWJT0
助手「問題解決になってませんよハカセ」

博士「だって、毛が生える薬は作れなかったんだもん……」

助手「だからって周りみんなハゲさせることはないじゃないですか」

博士「家から出なかったら平気だよ」

助手「引きこもりだけフサフサの世界になっちゃいますよ!!」

博士「しかし社会復帰して家から出たらハゲる、と」

助手「最悪ですね」

博士「誰も家から出ない世界に……」

助手「恐ろしすぎます」



636:創る名無しに見る名無し
12/07/19 22:20:00.15 E5hCWJT0
博士「ダメかな」

助手「却下です、却下すぎますよ」

助手「今度フサフサなカツラでも発明してください」

博士「か、カツラ……」

博士「それじゃ!! 助手君天才じゃ!!」

助手「え」

博士「天才少女じゃ!!」

助手「え、そうですか」テレテレ

博士「あ、少女っていう歳でもなかっ」

ドゲシッ



637:創る名無しに見る名無し
12/07/19 22:35:10.05 E5hCWJT0
助手「これ捨てときますからね、ジンルイミナハゲール」

博士「ううむ、惜しい」

助手「はいはい、あ、ハカセの髪はもうとっくに切り終わってますからね」

博士「うむ、心なしか頭が軽くなったようじゃ」

助手「結構切りましたからね」スタスタ

博士「あ、ちょっと、それどこに捨て……」

ジャー

助手「え??」

博士「え??」

助手「す、水道で流しましたけれど……」

博士「……」

助手「まずかったですかね」

博士「なかったことにしよう」


【博士と助手 5】おわり



638:創る名無しに見る名無し
12/08/01 21:12:12.63 GXTz+mkz
【博士と助手 6】


助手「ハカセ、なに作ってんですか」

博士「む、これはな、次の発明の試作品じゃ」

助手「へえ」キョロキョロ

博士「うむ、もうすぐ完成じゃ」

助手「っていう割には、試作で終わってるものがゴロゴロ転がってませんか」

博士「う、痛いところを突くね」

助手「最後まで作ってくださいよう」

博士「ううむ」



639:創る名無しに見る名無し
12/08/01 21:33:46.75 GXTz+mkz
助手「たとえば、これとか、なんですか」

博士「あ、それは次元転換装置……」

助手「え、次元転換!?」

博士「の失敗作じゃ」

助手「なあんだ」

博士「あと一歩なんだけどなあ」

助手「すごいじゃないですか」

博士「予算が……」

助手「ああ、うち、貧しいですからね」

博士「貧しいって言うな!!」



640:創る名無しに見る名無し
12/08/01 21:38:57.81 GXTz+mkz
助手「なんかこう、すごい発明のアイデアみたいなのはないんですか」

博士「たくさんあるよ」

助手「実現できそうなものも??」

博士「もちろん」

助手「え、じゃあたとえば??」

博士「たとえば、そうじゃなあ」

助手「わくわく」



641:創る名無しに見る名無し
12/08/01 21:43:04.09 GXTz+mkz
博士「インターネットができて、テレビが見れて、録画もできて、買い物もできる……」

助手「ほうほう」

博士「電話とか」

助手「……」

助手「ありますね、それね」

博士「あるの!?」

助手「ていうか持ってますね、それね」スイッ

博士「持ってるの!?」



642:創る名無しに見る名無し
12/08/01 21:50:24.17 GXTz+mkz
助手「ハカセ、ちょっと時代に取り残されてませんか」

博士「マジで……」

博士「やべーマジやベー」

助手「取り残されてますね、確実に、ええ」

博士「やべー言葉他に思いつかねー」

助手「チョベリバとか言い出さないでくださいね、お願いですから」

博士「ほ、他にも思いついた発明はあるんだけど」

助手「ええ、ええ、聞きましょう」



643:創る名無しに見る名無し
12/08/01 21:59:19.66 GXTz+mkz
博士「そこに乗るだけで、体重と身長が同時に測れちゃう……」

助手「ありますね、それも」

博士「待って待って最後まで聞いて」

博士「それでいて体脂肪率や身体年齢も測れちゃう……」

助手「だからありますね、それ」

博士「あるの!?」

助手「実家でお母さんが使ってました」

博士「マジかよー」

助手「だいぶ前からありますからね」

博士「マジかよーやられたわー」

助手「ハカセのをパクったみたいに言わないでください」




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