11/03/27 00:44:44.44 sGXBWXLK
さあ書け今書け
169:創る名無しに見る名無し
11/03/27 02:52:20.27 X4O+OLDK
擬人化だと思ったら妄想落ちって、何とも言えない読後感だな
170:創る名無しに見る名無し
11/03/27 08:43:14.63 bGFjPv/R
「まさか○○で魔王を倒すとは・・・」
○○=>>171
こんなのでもいいですか?
171:創る名無しに見る名無し
11/03/27 09:11:48.78 j7uYX74E
>>170
172:創る名無しに見る名無し
11/03/27 10:21:08.15 vYne/4ls
どういうこと?安価ってことかい?
173:創る名無しに見る名無し
11/03/27 11:54:04.25 J8laJpvd
今書いているやつが完成したらここに投下することにします
174:創る名無しに見る名無し
11/03/27 13:24:01.41 S3YPMMmI
>>171
それじゃつまんないじゃない
>>177やっちゃえ
175:創る名無しに見る名無し
11/03/27 19:07:03.71 wOtcLmgd
(´;ω;`)ブワッ
176:創る名無しに見る名無し
11/03/27 23:38:45.31 J8laJpvd
そういうのは流れの早いVIPとかでやらないと意味なさそうだね
177:創る名無しに見る名無し
11/03/28 02:42:56.15 QIEYb01D
創発安価鉄の掟三ヶ条
一.安価は一レス後へ
一.常に鬼畜
一.ペニス一郎
178:創る名無しに見る名無し
11/03/29 08:52:17.64 bndbFZs2
『「まさか○○で魔王を倒すとは・・・」』で魔王を倒すのですね
期待しています
179:創る名無しに見る名無し
11/03/30 19:07:27.35 5QV0UL9k
>>168
今更だがいい時間に書き込んでるな
180:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/05 19:37:22.92 UiRUtGWJ
ここ、お借りします
普段はVIPでセコセコ投下しているんですが、今回は一気に投下する時間がないので…
・基本台詞のみ
・新ジャンルではなく普通のSS
・エロなし過剰な萌えなし
ですが、よろしくお願いします
よろしければこちらもどうぞ
URLリンク(hamham278.blog76.fc2.com)
181:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/05 19:42:36.37 UiRUtGWJ
女『今歩いているこの道が、いつか懐かしくなるのかな』
182:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/05 19:46:53.64 UiRUtGWJ
男「うっし、引越しの荷物はこれで全部だな」
男「あー腰いてえ」
男「あとは…これだけ書斎に持ち込んでおくか」グイ
…
男「っと」ドサ
カチャン
男「ん??なんだこれ」
男「カセットテープ??」
183:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/05 19:51:33.83 UiRUtGWJ
【20××.3.20 17:00】
男「1年くらい前のテープか」
男「前に住んでた人の忘れものかなんかかな」
男「かけてみるか」
ガチャリ
男「再生…と」カチカチ
ザ…ザー…
女『あー、あー』
女『聞こえますか??』
男「ん??」
184:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/05 19:54:51.27 UiRUtGWJ
女『えーこんにちは』
男「はあ」
女『今日、この家に引っ越してきたものです』
女『新しい生活にわくわくしています』
男「なんだ、自分語りか。くだらねえ…」
女『あなたに聞いてもらいたくて、このカセットテープに吹き込んでいます』
男「え」
女『一人きり、新しい生活』
女『ペットも飼えないし、寂しいし』
185:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/05 20:00:41.75 UiRUtGWJ
女『あ、このテープは、私のさらに前の人のものみたいです』
男「あん??」
女『なんかミュージシャンの人だったみたいで、録音装置とかカセットが山ほど残ってて』
女『だから有効利用してみようかな、と思いまして』
男「はは、ヒマなやつだな」
女『次の入居者さんに向けて、私のお喋りを録音します』
女『これから毎日、一本ずつ録音していきたいと思います』
男「おいおい」
女『だってめちゃくちゃいっぱいあるんだもん、テープ』
186:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/05 20:05:08.91 UiRUtGWJ
女『この書斎を私の生活スペースにしようかな、と思います』
女『ここなら録音も読書もできるし、音楽も聞けるし』
男「ん、確かにいい部屋だな」
女『窓も大きいし』
男「…防音じゃねえのかな」
男「窓がある録音室ってどうなんだ」
女『このテープ、片面10分なんで、一日10分だけのお喋り』
女『B面は使いません』
男「お喋りって言っても…おれの声は聞こえないだろうよ」
187:創る名無しに見る名無し
11/05/05 20:06:28.28 m9ELelly
188:創る名無しに見る名無し
11/05/05 20:06:40.27 m9ELelly
189:創る名無しに見る名無し
11/05/05 20:07:17.56 m9ELelly
190:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/05 20:08:44.24 UiRUtGWJ
女『という訳で、明日も聞いてくれますか??』
男「…」
女『…聞いてくれたら、いいな』
男「…」
女『あ、これを1年後の同じ日に聞いてるとは限らないですよね』
男「うん」
男「今日は…3月24日だし」
女『今日の分まで、一気に聞いちゃってください』
女『それで、次の日から一日一本!!』
男「栄養ドリンクみたいだな」
女『どうでしょう??』
男「どうでしょうって言われても」
女『先のテープは、まだ聞いちゃダメですからね!!』
191:創る名無しに見る名無し
11/05/05 20:10:32.53 m9ELelly
192:創る名無しに見る名無し
11/05/05 20:10:44.00 m9ELelly
193:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/05 20:13:42.17 UiRUtGWJ
女『それじゃあ、また明日』
ガチャリ
男「…」
男「10分ってあっという間なんだな」
男「ま、することもないし、次のやつ聞いてやるか」
【20××.3.21 17:00】
女『えっと、昨日と同じ時間に録音してみました』
女『これを聞いてくれてるってことは、私のお喋り、聞いてくれる気になったんですね』
男「…」
女『うれしい!!』
男「…はは、お気楽な子だな」
194:創る名無しに見る名無し
11/05/05 20:16:40.61 m9ELelly
195:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/05 20:16:51.68 UiRUtGWJ
女『私、この春から異動してきたんですよ』
男「移動??」
女『まだ新米だから勉強も必要だって言われて』
女『町の広告代理店に、明後日から出勤なんです』
男「ああ、『異動』か」
女『楽しみなような、不安なような…』
女『でもここになら、不安をぶちまけることができそうだし、ちょっとこのテープ、頼りにしてます』
男「おれは一方的にぶちまけられるだけかい」
女『あなたの悩みも、時々聞きますよ♪』
男「聞こえねーだろwww」
196:創る名無しに見る名無し
11/05/05 20:16:53.38 m9ELelly
197:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/05 20:21:04.14 UiRUtGWJ
女『ここ、すっごく交通に不便ですよね』
女『なにしろ町までバイクで30分!!』
男「じゃあなんでここ選んだんだよ」
女『伯父の紹介で、すごく安かったんですよ』
男「お」
女『まだ貯金も全然ないし、安さに勝る優先条件はないですよね』
男「なんか、今、会話みたいになったな」
女『だからここに決めたんです』
男「ちょっと面白いかも、な」
198:創る名無しに見る名無し
11/05/05 20:22:48.93 m9ELelly
199:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/05 20:25:41.70 UiRUtGWJ
女『とりあえずは1年ちょいの契約』
女『こっちの会社での研修期間も1年なんです』
男「短いな、研修」
女『早く研修終わって、一人前になりたいけど』
女『この家に1年しかいないっていうのはもったいない気がします』
男「だよな」
女『でも次の入居者さんももう決まってるっていうし、仕方ないですね』
男「ん??それっておれのことかな」
男「家決めたのって、いつだっけかなあ」
男「だいぶ前から目はつけてたけど…」
200:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/05 20:30:49.93 UiRUtGWJ
女『明日はちょっと町へ出てみようかと思います』
男「去年22日は、休みの日だっけ」
女『色々と買い物もしなくっちゃね』
男「おお、参考にしようかな」
女『あなたも引っ越してきたばかりなら、参考にしてくださいね』
男「はは、見透かされてんな」
女『それじゃあ今日はこの辺で』
男「…早いな」
女『おやすみなさい』
男「早いだろ」
ガチャリ
201:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/05 20:39:35.21 UiRUtGWJ
【20××.3.22 19:00】
女『今日はちょっとしたハプニングが』
男「おお、いきなりどうした」
女『町に着いた途端ガス欠になったんですよ』
男「あ、はは、遠いしなあ」
女『ガソリンスタンドを探すのに手間取って、あんまり満足にお買い物できませんでした』
男「あーあ」
女『ていうか、バイクって重いんですね』
男「ずっと押してるとそう思うよな」
男「乗ってるだけだと気づかないもんだ」
202:創る名無しに見る名無し
11/05/05 20:40:25.80 m9ELelly
203:創る名無しに見る名無し
11/05/05 20:40:38.72 m9ELelly
204:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/05 20:44:25.83 UiRUtGWJ
女『でも、良い発見もあったんです』
女『町への一本道、途中に桜並木道があるんですよ!!』
女『ちょっとだけ、咲き始めてましたよ!!』
女『満開がすっごい楽しみです!!』
男「へえー」
女『あなたも、満開の頃にぜひ見に行ってみてくださいね』
男「いいな、それ」
女『絶対ですよ!!』
男「はいはい」
205:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/05 21:19:15.11 UiRUtGWJ
女『あなたがどんな人なのか、興味があります』
男「お」
女『何歳くらいかな』
女『男の人かな、女の人かな』
女『どんなお仕事してるのかな』
女『ってね』
男「おれは…20代のしがない小説書きだよ」
女『当ててみましょうか』
男「はは、やってみな」
女『小説家の人でしょう』
男「!!」
206:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/05 21:27:05.61 UiRUtGWJ
女『はは、びっくりしましたか??』
男「う、うお、え」
男「嘘だろ」
女『なーんて』
男「は??」
女『当てずっぽうじゃないですよ』
女『不動産屋さんに、聞いてたんです、次に住む人のこと』
男「な、なんだ、驚いたわ、くそ」
207:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/05 21:34:04.08 UiRUtGWJ
女『まあ詳しいことはもちろん聞いてませんけどね』
男「プライバシーというものがあるからな」
女『いいな、私も小説好きなんです』
男「へえ、そりゃあいいことだ」
女『私の知ってる作家さんだったりして』
男「ないない、超無名だから」
男「ていうか去年の今頃だと一冊しか書いてないから」
女『想像すると楽しいですよね』
女『名前、言っちゃダメですよ』
男「言っても聞こえねーだろ」
208:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/05 21:38:53.12 UiRUtGWJ
女『じゃあ、今日はこの辺で』
男「おう」
女『あ、歳が近いってこともチラッと聞いたんで、明日から、敬語やめようと思います』
男「不動産屋の親父…口軽くねえ??」
女『なんか敬語だと、堅苦しくて…』
女『じゃあ、また明日』
男「ふぅ…やれやれ」
ガチャリ
男「あと2本か」
男「一気に聞いちまうかなあ」
209:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/05 21:44:01.51 UiRUtGWJ
【20××.3.23 20:00】
女『こんばんは』
男「はい、こんばんは」
男「こっちはまだ夕方ですが」
女『さっきお料理失敗して、家の中が焦げくさいの』
男「なにやってんだ」
女『いやあ、油断した』
男「なに作ってたんだよ」
女『ロールキャベツって、簡単だと思ってたんだけどなあ』
男「ロールキャベツ焦がせるって、それすごくね??才能??」
210:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/05 21:49:03.36 UiRUtGWJ
女『今日は仕事始めだったんだけど、そっちの方は、まあ無事終了!!』
男「おお、もう始まったのか」
女『優しい先輩がいてくれて、色々と教えてくれたの』
男「そりゃあ、よかった」
女『私、偏頭痛持ちで心配だったんだけど、ここのところ調子もいいみたい』
女『一回痛くなり始めると、大変なの』
男「へえ」
男「なったことないからわからないけど、普通の頭痛よりも痛いもんなのかな」
女『あと、格好いい上司の人もいたの♪』
男「おお…ちょっと妬けるな」
211:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/05 22:00:50.83 UiRUtGWJ
【20××.3.24 19:00】
女『やっほー』
男「お、テンション高いな」
女『今日も快調ー』
女『先輩も格好いいしー』
女『マキさんも優しいしー』
男「はは、順調だね」
男「おれも明日からそうなるといいんだけど…」
女『今週の金曜日に歓迎会してくれるっていうから、楽しみ!!』
男「おお、いいじゃん」
男「おれも酒飲みたくなってきたな…」
女『うふふ』
男「ビールでも開けるか」
212:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/05 22:06:39.70 UiRUtGWJ
プシッ
ゴクゴク
男「っくぁー!!うめえ」
男「さ、続き続き」
カチャリ
女『始めてまだ少しだけど、私のことばっかり話してるね』
男「ふぅ…」
男「そりゃ、まあ、君のテープだし」
女『あなたの話も聞きたいな』
213:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/05 22:14:08.25 UiRUtGWJ
男「あなたの話もって…」
男「聞こえるのか??」
女『聞こえるよ』
男「…」
男「え??」
女『多分』
男「…」
女『聞こえたら、いいな、ってね!!』
男「ああ、そういうことか」
男「時々シンクロして、びっくりするわ」
214:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/05 22:18:25.94 UiRUtGWJ
女『小説は、進みそう??』
男「ん、まだ取りかかってないしな」
男「これから、これから」
女『どんな小説が好きなの??』
男「ん、読むなら推理小説かな」
男「おれが書いてるのはちょっと違うけど」
女『私はね、ミステリーが好き』
女『ちょっとした日常のおかしさとか、そういうの』
男「へえ」
女『本格的な推理小説は頭がこんがらがるし』
女『かといって恋愛ものもちょっとね』
男「女の子にはそっちの方が好きって子が多いんじゃないか」
女『周りの友だちは恋愛小説ばっかり進めてくるんだけどね』
男「うん、だろうね」
215:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/05 22:25:57.18 UiRUtGWJ
男「気分転換しながら、まあゆっくり書いていくさ」
男「君が好きそうな小説も、いつか書けたらいいな」
女『楽しみにしてるよ』
女『あなたの小説を、読む日を』
男「…」
女『うふふ』
男「はは」
女『ジャンルが違いすぎたら、どうしようって思うけど』
男「ホラーとか??」
女『ホラーとか、ね』
男「はは」
216:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/05 22:40:21.58 UiRUtGWJ
女『じゃあ、また明日』
男「ん、おやすみ」
女『おやすみ、またね』
ガチャリ
男「次は明日か…」
男「明日は何時だろ」
カチャカチャ
男「夜か…」
男「…」
男「とりあえず、飯作るか」
217:創る名無しに見る名無し
11/05/05 22:48:36.62 0Y1Hjink
支援
218:創る名無しに見る名無し
11/05/06 22:52:55.54 CQEGLhS6
支援
219:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/07 01:24:10.37 1Nsk0KyZ
【20××.3.25 22:30】
女『ごめんね、今日はちょっと遅くなったわ』
女『仕事は早く帰れたんだけど…』
男「ん??」
女『頭痛が出ちゃってね、仕事にならなかったんだ』
男「おいおい大丈夫か」
女『心配してくれてる??』
男「ん、まあ、な」
女『ありがと』
男「はは」
男「じゃあ今日はゆっくり休みなよ」
女『薬がまだ残ってるから平気よ』
女『ちょっとボーっとしちゃうけどね』
220:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/07 01:28:29.37 1Nsk0KyZ
女『私の頭痛はいきなりガッときて、何ごともなかったようにすっと治まるの』
男「へえ、大変だな」
女『薬がなくなる前に、町でいいお医者さんを見つけなきゃね』
男「…」
女『ま、大丈夫、大丈夫』
女『明日にはきっとケロッとしてるんだから』
男「そうだといいな」
女『明日は歓迎会もあるんだから、絶対行かなくちゃ』
男「無理すんなよー」
221:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/07 01:34:16.17 1Nsk0KyZ
【20××.3.26 23:00】
女『今日は快調でありました!!』
男「おう、えらく遅かったな、今日は」
女『先輩に送ってもらっちゃったーうふふ』
男「こんな場所までかよ」
男「先輩、ご苦労さんですね」
女『隣の席でーいっぱい喋ったのーいえー』
男「酔っ払ってるなあ」
男「ていうか、この状態でよく録音できてるなwww」
女『いえー』
222:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/07 01:39:05.19 1Nsk0KyZ
女『ワイン美味しかったー』
男「ワインかーおれは苦手なんだよなあ」
女『あとねえ、上司の人が飲んでた熱燗もちょっともらったの』
男「ああ、アレも無理だわ」
女『あとねえ、ビールも飲んだし、梅酒も美味しかったよう』
男「そんなに色々飲んで大丈夫かよ…」
女『うーん、ちょっと眠い』
男「早く寝なさい」
女『あははははは!!』
男「いきなりハイになるな!!」
223:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/07 01:44:46.93 1Nsk0KyZ
男「…」
女『…』
男「ん??」
女『ちょ、気持ち悪い…』
男「え」
女『お、おえ』
男「おいおいおいおい」
女『おえろろろろろろろろ』
男「ぎゃああああああああ」
女『あうー』
男「おいおいおいおい、大丈夫かよ」
女『…おやすみ…』
男「片付けろよ…」
男「ていうか撮りなおせよ…」
224:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/07 01:50:13.14 1Nsk0KyZ
【20××.3.27 11:00】
女『おはよう』
男「ん、おはよう」
男「珍しく早いな」
女『昨日、私、なに喋ってたのかな』
男「覚えてないのか」
女『床も、その、汚れてた、し…』
男「あー」
女『あ、あはは』
女『ごめんね』
男「謝らなくてもいいけど」
女『うう』
225:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/07 01:56:12.58 1Nsk0KyZ
男「あんまり酒飲んだことないのか??」
女『お酒、そんなに強くないの』
男「それなのにいっぱい飲むから」
女『それなのに昨日は飲みすぎちゃった…』
男「しかもチャンポンで」
女『もうしばらく先輩の前では飲まないことにする』
男「そうしな」
女『ああーなんか失礼なこと言わなかったかなー』
男「んーどうだろ」
女『あああ~』
226:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/07 02:01:42.03 1Nsk0KyZ
…
男「ははは」
女『うふふ』
女『はあ、なんか色々喋ったら、すっきりしちゃった』
男「昨日吐いてるからじゃね??」
女『ありがとう』
男「おれはなにもしてねえよ」
女『じゃ、またね』
男「おう、またな」
ガチャリ
男「ふふふ…」
男「さて、明日のは何時かなっと」
ゴソゴソ
227:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/07 20:24:04.59 1Nsk0KyZ
―20××.3.28―
男「ふああ~」
男「眠いな」
男「つうか筆が進まねえ」
男「あ~あ」
編集「あ、あの」
男「おぅわあ!!」
編集「す、すみません」
編集「何回もチャイム鳴らしたんですけどお出にならないものだから…」
男「あ、ああ、今日、来る日でしたっけ」
編集「ええ、お久しぶりですね」
男「そうですね」
228:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/07 20:29:26.73 1Nsk0KyZ
男「コーヒーとか、どうです??」
編集「あ、いただきます♪」
男「まあインスタントですけどね」
編集「うふふ」
編集「この辺、お店も家も少ないようですけど…不便じゃありません??」
男「はは、まあ、たまーに町に出て買い物するのも楽しいものですよ」
編集「へえ~」
男「まあ男一匹、気ままなもんです」
編集「結婚はされないんですか??」
男「予定がないもんでwww」
編集「そ、そうですか」
229:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/07 20:36:00.26 1Nsk0KyZ
編集「新作、売り上げが少しずつ伸びてます」
男「え、本当に」
編集「ええ、口コミから広がって。発行部数増やそうと上に掛け合ってるところです」
男「うわ、うわ、嬉しいな」
男「君がいつもかけまわってくれるおかげで、僕は小説で食べていけるんです」
男「ほんと、いつも、ありがとう」
編集「い、いえ、そんな…」
編集「先生の作品にもともと魅力があるからですよ」
男「いやいや、そんなことないって」
230:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/07 20:40:27.71 1Nsk0KyZ
編集「それで、次の作品にも注目が集まっているんですが…」
男「あ、ああ、そうだよね」
男「今あんまり進んでなくて、ね」
編集「そうですか…」
編集「でも、いい環境じゃないですか」
編集「きっといいインスピレーションが湧いてきますよ」
男「うん、そうだといいね」
編集「で、雑誌の方での読者の反響なんですが…」
…
231:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/07 20:52:44.14 1Nsk0KyZ
編集「で、ここの数字を…」
男「うん」ソワソワ
編集「あれ、どうしました??」
男「あ、いや、別に」ソワソワ
編集「はあ…」
男「あとやっとく事は、これだけですか」
編集「あ、そうですね」
編集「また来週あたり、取りに来させてもらいます」
男「ああ、はい、よろしくお願いします」
編集「それじゃ、そろそろ帰りますね」
編集「長居して申し訳ありませんでした」
男「いやいや、そんなことないですよ」
編集「では、失礼します」
232:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/07 21:04:38.98 1Nsk0KyZ
男「いかん、ちょっと時間が過ぎてしまった」
【20××.3.28 15:00】
女『こんにちは』
男「ほい、ちょっと遅れた、ごめん」
女『今日も町に出てみたよ』
男「ほほう」
女『いい感じの商店街を見つけたので、あなたも行ってみて』
女『お肉屋さんがサービスしてくれるし』
男「それは君だからじゃないか??」
…
女『じゃあ、またね』
ガチャリ
男「うーん」
男「知らず知らずのうちに楽しみになってしまっているな、このテープ」
233:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/07 21:10:43.33 1Nsk0KyZ
【20××.4.1 20:00】
女『…こんばんは』
男「ん、暗いな」
男「どうしたの」
女『最近頭が痛いって、言ってたじゃない』
男「あ、ああ」
女『偏頭痛だって、思ってたの』
男「??」
女『今日ね、町で大きめのお医者さんを見つけたから、帰りに寄ったの』
男「へえ」
234:創る名無しに見る名無し
11/05/07 21:20:18.14 /98mG+bv
おい……これは……
235:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/07 21:23:15.75 1Nsk0KyZ
女『また頭痛薬もらっておこうと思ったんだけど、お医者さんが変なこと言ったの』
男「あん??」
女『念のためレントゲンとっておきましょうか、って』
男「レントゲンって胸じゃねえの」
女『あ、レントゲンみたいなものを、って言ってたの』
女『MRI??そんな感じの横文字のやつね』
女『とにかく、詳しく検査した方がいいとか言われて』
男「はあ」
女『偏頭痛って、なにも映らないらしいの、本当は』
男「え」
女『でも、なにか、映ってたの、頭の中に』
男「…」
236:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/07 21:31:41.51 1Nsk0KyZ
女『私にはわかんないけど』
女『お医者さんも、気にするほどのものじゃありませんよ、って笑ってたけど』
男「…」
女『怖いの』
男「…」
女『頭の中にね、影があるんだよ』
女『腫瘍とか、そういうのだったらどうしようって思った』
男「…」
女『今までもらってた薬と、違うものも渡されたし』
男「…」
女『突然死んだら、どうしよう』
男「っ!!」
237:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/07 21:39:00.93 1Nsk0KyZ
女『あなたに話しかける、この時間が、私の楽しみだったのに』
男「…」
女『今日は、ちょっと、楽しくないや、ごめんね』
男「…」
女『気にしなくていいって言われたから、気にしないことにする』
男「でも」
女『ごめんね、変な話しちゃった』
女『明日からはまた、普通のテンションで、ね』
男「…」
女『じゃあ、おやすみ、またね』
男「…」
ガチャリ
238:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/07 21:48:37.60 1Nsk0KyZ
男「…」
男「いきなり、そんなこと言われたって…」
男「テープはずっと先まであるじゃないか…」
女『先のテープは、まだ聞いちゃダメですからね!!』
男「突然死んだり、しないよな、な」
男「…」
男「頼むから」
男「…」
男「はは、テープはもう止まってるってのに、誰に話しかけてるんだ、おれは」
男「寝るか…」
239:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/07 22:00:02.52 1Nsk0KyZ
【20××.4.2 19:00】
女『おいっす!!』
男「おいおい、テンション高いな」
女『今日はね、雨が降っちゃって』
男「おお」
女『春雨!!』
男「お、おお」
女『いやー30分雨にうたれながらの通勤ってのは最悪ですね!!』
男「その割には嬉しそうだな」
女『先輩が優しくココア入れてくれたし…』
女『それに、先輩のタオル借りちゃった♪』
男「ああ、それでか」
女『帰りには雨もあがってたし、30分頑張った甲斐があったわ』
男「はは」
240:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/07 22:08:20.74 1Nsk0KyZ
…
女『このテープがあなたのもとに届くまでに、1年間かかるわけじゃない??』
男「うん」
女『それって、なんだか不思議だなって、思ったの』
男「どういうこと??」
女『私の今を、あなたは1年後に同じように共有してくれるわけじゃない』
女『あなたにとっての私は過去だけど、私にとってのあなたは未来なの』
男「はあ…まあ、そういうことだな」
女『1年間だけ時空を超える、タイムカプセルなのよ、このテープは』
男「はは、幻想的だな」
女『それも10分間だけの、ね』
241:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/07 22:15:08.50 1Nsk0KyZ
男「10分間だけ、か」
男「インスタントだな」
女『インスタント・タイムカプセルよ』
男「…」
男「お、おお」
女『素敵よね』
男「君の発案だろ??」
女『さすが私!!』
男「ははは」
242:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/07 22:21:34.16 1Nsk0KyZ
【20××.4.3 13:00】
女『おやすみイエーイ!!』
男「…」
女『イエーイ!!』
男「…」
女『イエーイ!!』
男「うるせえよ」
女『今日もお昼ごはんをつくるの失敗したよ!!』
男「イエーイじゃねえじゃん」
女『はっはっは、笑っとけ笑っとけ』
男「おいおい」
男「ま、元気でなによりです」
243:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/07 22:26:28.19 1Nsk0KyZ
男「今日はなにを失敗したんだよ」
女『パスタをアルデンテにしようとしたら固すぎたの』
男「…それでよく一人暮らししようと思ったな」
女『もっかい茹でたら味がなくなったの』
男「馬鹿すぎるだろ」
女『だから今日は塩パスタだったの…』
男「…」
女『…イエーイ』
男「悲しい」
244:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/07 22:30:44.45 1Nsk0KyZ
【20××.4.4 15:00】
女『おやすみイエーイ!!』
男「それは昨日も聞いた」
女『あれ??聞こえないよ??』
女『イエーイ!!』
男「…イエーイ」
女『声が小さいぞー』
男「聞こえねーだろw」
女『イエーイ』
男「はいはい、イエーイ」
男「なんだこのノリは」
245:創る名無しに見る名無し
11/05/07 23:44:23.67 p9NNi91f
この企画なんだか楽しそうだなw
246:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/08 17:32:50.95 vkC7YS3H
【20××.4.9 18:00】
女『今日はとても残念なお知らせがあります』
男「あん??」
女『先輩に彼女がいました…』
男「お、おう、そっか」
女『仕事をする気力が起きません』
男「…」
男「なんでそれがわかったんだ」
女『今日、思い切って、晩御飯を誘ったら、彼女と予定があるって』
男「…」
女『うう…』
男「ま、まあ、気を落とすなよ」
女『ブルー』
女『マジブルー』
247:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/08 17:36:46.43 vkC7YS3H
女『マジレンジャー!!ブルー!!』
男「そんな特撮ありそうだな」
女『マジレッドはいつも充血してるの』
男「は??」
女『マジイエローはいつもシャツが黄色いの、洗ってないから』
男「お前はなにを言っているんだ」
女『マジピンクは淫乱だけど処女なの』
男「おい!!その口閉じろ!!」
女『ちょっと今日は調子が悪いな…』
男「絶好調じゃね」
248:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/08 17:56:48.88 vkC7YS3H
【20××.4.12 20:00】
女『今日は、続、残念なお知らせです』
男「またか」
女『先輩の彼女って言うのはマキさんのことでした』
男「…おおう」
女『マジブルーです』
男「マジブルーはどういう特性なの」
女『マジブルーは結婚を間近に控えた鬱気味のOLです』
男「マリッジブルーじゃねえか」
女『姑さんに早速目の前で愚痴を言われまくったんです』
男「重いよ」
249:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/08 18:04:06.08 vkC7YS3H
女『でもね、もういいの』
女『新しい恋を探して頑張るの』
男「前向きだな」
女『先輩の名前って、言ったことあったっけ』
男「いや、知らない」
女『伊達先輩って言うの』
男「伊達さんね」
女『マキさんと結婚したら…』ププ
男「…」
女『伊達巻き!!』ブフゥ
男「おうふ」ブフゥ
250:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/08 18:10:35.23 vkC7YS3H
女『って思ったら、すっきりしちゃった』
男「楽天家でいいね、君は」
女『でもまあ、しばらくは頑張って仕事に打ち込んで、忘れようと思う』
男「ん、頑張れ」
女『あなたはお仕事進んでる??』
男「ぼちぼちかな」
女『インスタント・タイムカプセルを題材にしてくれたら、読むからね』
男「…ん」
女『うふふ』
251:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/08 18:16:23.41 vkC7YS3H
男「…そっか、失恋か」
女『新しい恋を探して頑張るの』
男「…」
男「あれ、なんでおれ、ホッとしてるんだろう」
男「応援してるつもりだったのに…」
男「…」
男「まあいいや、寝よ寝よ」
252:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/08 18:25:01.53 vkC7YS3H
【20××.4.14 8:00】
女『おはよう』ハァハァ
男「去年の今日って平日じゃないのか」
男「なんで8時??」
女『今日…バイクが…壊れましたあ…』ハァハァ
男「おいおい」
女『だからね、会社に電話してね、今バイク押してます』ハァハァ
男「なにやってんだよ」
女『ただ歩くだけじゃしんどいから、ポータブルのやつ使って録音しながら、出勤』ハァハァ
男「無理して喋るなよw」
253:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/08 18:32:19.33 vkC7YS3H
女『今ね、桜の木が満開なの』
男「へえ」
女『前に話したよね、並木道の話』
男「ああ」
女『ほんと、きれいなの』
男「…今日は町に出てみるか」
女『今歩いているこの道が、いつか懐かしくなるのかな』
男「…」
女『そんなふうに、いつか振り返れたら、いいな』
男「…」
254:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/08 18:40:34.16 vkC7YS3H
女『あなたの今には、私はその家にいないんだよね』
男「そうだな」
女『実家に戻ってるのかな』
男「実家どこなんだろう」
女『それとも研修が長引いていて、まだ近くに住んでるかな』
男「…」
女『想像できないけれど、今を懐かしく振り返れてる人生なら、いいな』
男「…」
女『病院とかだったら、やだな』
男「やめろって」
女『えへへ、冗談冗談』
男「笑えないんだよ」
255:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/08 18:46:49.30 vkC7YS3H
…
男「お、いらっしゃい」
編集「またチャイム鳴りませんでしたよ」
男「ははは、直そうと思わなくって」
編集「どうしてですか、不便ですよ」
男「君くらいしか来ないからね」
編集「…」
男「はっはっは」
編集「毎回毎回不法侵入してる気分の私の身にもなってくださいよw」
男「はっはっは」
256:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/08 18:52:21.31 vkC7YS3H
男「今書いている短編が終わったら、次に書きたいものがあるんですが」
編集「お!!いいですね!!」
男「お互いに顔も知らない同士の二人が、カセットテープでつながる話なんです」
編集「ほうほう」
男「仮タイトルはインスタント・タイムカプセルで」
編集「ノリノリじゃないですか!!」
編集「なんですか、いいインスピレーションが湧いたんですか」
男「ええまあ」
257:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/08 19:06:50.62 vkC7YS3H
編集「なんだか生き生きしてますよ、先生」
男「そうですか??」
編集「なんだか顔色もとってもいい感じ」
男「ふだん顔色悪いんですか、僕」
編集「あああ、いや、いや、そういうことではなくて」
男「ははは」
編集「あはは」
男「今度までにプロット作っておきますから」
編集「はい、楽しみにしてます」
編集「でも、今書いてるものを落とすことはしないでくださいよ」
男「はいはい」
258:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/08 19:13:37.81 vkC7YS3H
編集「では、また来ます」
男「はーい」
編集「あ、あの、先生」
男「ん??」
編集「あの、この間素敵なイタリア料理のお店を見つけたんです」
男「ふうん」
編集「で、ですね、今度ご一緒に行きませんか??」
男「え」
編集「あああ、もちろん、お暇でしたら、ですけど」
男「ああ、いいですね」
男「僕、町の方あまり知らないし、案内してくださいよ」
編集「はっ、はい!!喜んで!!」
259:創る名無しに見る名無し
11/05/08 19:23:21.30 1/GhzcIX
編集これは……
260:創る名無しに見る名無し
11/05/08 21:55:09.22 53z/Tz1o
四円
261:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/08 22:49:00.66 vkC7YS3H
【20××.4.29 16:00】
女『今日はマキさんとランチしてきたよ♪』
男「おう、祝日か、今日は」
女『おいしーいイタリアンのランチ♪』
男「イタリアンねえ」
男「そういやあれから編集さんと具体的な約束してないな」
女『マキさんが、先輩に告白したお店なんだって』
男「…へえ」
女『そういう成功したカップルがたくさんいるんだって、ネットで紹介されてるお店らしいの』
男「…へ、へえ」
女『その話はちょっとつらかったけど、私もいつかこのお店で告白とかしてみたいなあ』
262:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/08 22:56:02.11 vkC7YS3H
男「…」
女『だってね、すっごく素敵な雰囲気なのよ』
男「…」
女『男の人も入りやすそうだし、だけどムードもあるし』
女『ランチでもディナーでもいい感じのお店だったよ』
女『あなたも是非、行ってみてね』
男「…」
女『あ、そういえば、あなたはいい人がいるの??』
男「ん…」
女『知らないな、そういう話』
男「どうかな」
男「わからない」
263:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/08 23:04:18.22 vkC7YS3H
女『実を言うとね、私、まだ会ったこともないのに』
女『あなたが、ちょっと、気になるの』
男「!!」
女『えへへ、変だよね』
男「…」
男「おれも…かな」
男「変だよな」
女『色んな想像を、毎日してるの』
女『あなたはどんな人なのかなあって、ね』
男「…」
男「おれもだよ、多分」
264:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/08 23:11:18.34 vkC7YS3H
男「毎日想像してる、気がする」
女『失恋したばっかだけど、いや、だからこそかな』
女『気になっちゃうんだなあ』
男「へえ」
女『みつを』
男「はあ??」
女『なーんて、ね』
男「あん??」
女『気にしないで、ただの戯言よ』
男「はいはい」
男「いい人、かあ」
男「具体的な約束、しようかな、早いとこ」
265:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/08 23:20:15.77 vkC7YS3H
【20××.5.5 11:00】
女『おはよう!!』
男「おう、おはよう」
女『子どもの日だね』
男「そうだな」
女『ああ…ゴールデンウイークが終わっちゃうね…』
男「君はずっと遊んでたじゃないか」
女『仕事がまた始まるなあ…』
男「嫌なのか」
女『五月病かな』
男「嘘吐け」
女『やっぱイケてるOLとしては、流行りものには手を出しとかないとね!!』
男「そんな五月病患者があるか」
266:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/08 23:30:55.84 vkC7YS3H
女『ゴールデンウイークは楽しかった??』
男「おれの仕事に祝日はあまり関係がないからなあ」
女『あ、作家さんにはあまり関係ないか』
男「そういうこと」
女『なにもなかった??』
男「昨日編集の人とご飯食べに行ったよ」
女『…』
男「そんで、告白された」
女『…』
267:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/08 23:37:28.02 vkC7YS3H
男「…」
女『私は、特になかったかな』
男「遊んでたろ」
女『さ、明日からは切り替えて、頑張るからね!!』
男「全然五月病じゃないじゃん」
女『あ、そういえばね』
…
男「君には話したいけど」
男「おれの声は届かないんだよなあ」
女『でね…』
男「はあ…」
268:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/08 23:45:33.94 vkC7YS3H
女『じゃあ、また明日ね』
男「ん、また明日」
ガチャリ
男「…」
男「返事、どうすっかなあ」
女『あなたはいい人がいるの??』
男「いい人、なのかなあ」
男「どうすればいい??」
女『…』
男「おれが決めること、だよな」
269:創る名無しに見る名無し
11/05/09 17:36:45.83 iqSH0ORA
盛り上がってきたな。
支援
270:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/09 19:59:51.98 tZMQn1+g
【20××.5.6 19:00】
男「今日、編集さんに、ごめんなさいって言った」
男「…」
男「あれで、よかったのかな」
男「わからない」
男「だけど、今は、彼女のことを考える余裕がない」
男「悲しませるだけだと思うから」
男「言い訳だな、結局」
ガチャリ
女『おいすー気分はどう??』
男「ぼちぼちだ」
女『そりゃあよかった』
男「ぼちぼちだっつったろ」
271:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/09 20:04:32.29 tZMQn1+g
【20××.6.11 21:00】
女『明日ね、大学のときの友だちが結婚するから、結婚式に行ってくる』
男「おう、行ってらっしゃい」
女『羨ましいなー』
男「いいじゃん、そのうちできるさ」
男「…おれと違って、な」
女『デキ婚らしいんだけど』
男「じゃあダメだろ」
女『でも…いいな…結婚』
272:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/09 20:10:40.36 tZMQn1+g
男「ジューンブライドってやつだな」
女『ジューンブライドってやつよ』
男「…」
男「最近一層シンクロするようになったな」
女『雨降らないかな、心配』
男「去年の天気なんかわかんねえよ」
女『テルテル坊主、あなたも作っといてくれない??』
男「一年前にさかのぼって効果あるのか」
女『お願い』
男「…仕方ねえなあ」
273:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/09 20:16:34.06 tZMQn1+g
【20××.6.12 23:00】
女『晴れたよ!!ありがとう!!』
男「ほんとかいな」
女『あなたがテルテル坊主作ってくれたおかげよ』
男「どうだろなw」
女『結婚式、楽しかった♪』
女『プチ同窓会の気分だったわ』
男「よかったな」
女『あ、それに旦那さんなかなか格好よかったよ♪』
…
女『じゃあ、おやすみ、またね』
男「ん、またね」
ガチャリ
男「お勤めご苦労さん、テルテル坊主」
274:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/09 20:27:33.74 tZMQn1+g
【20××.7.15 19:00】
女『クーラーが壊れたあ!!』
男「おいおい、マジか」
女『暑いよー』
男「まだ暑くないだろ」
男「ていうかクーラー付けるの早くないか」
女『死ぬー』
男「ああ、まあこの部屋は日当たりがいいしなあ」
女『土曜日さっそく修理に来てもらうことにしました』
男「行動も早いな」
女『この家にしては、おんぼろじゃない??このクーラー』
男「そうかな」
275:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/09 20:32:46.37 tZMQn1+g
女『直ったらいいな』
女『新しいの買う余裕はないもんね』
男「今は、直ってんのかな」
男「えっと、リモコンはどこだろ」
女『私暑いの苦手なんだ』
男「お、あったあった」
女『寒いのも苦手だけど』
男「ん??あれ??」カチカチ
女『あなたはどっち??』
男「どっちも平気」
男「…クーラー付かないじゃんよ」
276:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/09 20:39:28.04 tZMQn1+g
男「直ってねえぞー」
女『今日は窓開けて寝ることにする』
男「直ってねえって」
女『修理のお兄さん、電話では気前がよさそうだったから、安くしてもらえないかなあ』
男「…おれも修理頼むことにするかなあ」
男「でも、君の修理結果を聞いてからにしようかな」
女『あー早く直したい!!』
男「ええい、うるさい」
女『ちゃんとしっかり直しておいてもらうからねー』
男「一年でまた壊れてるぞ畜生!!」
277:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/09 21:06:27.47 tZMQn1+g
【20××.7.17 13:00】
女『クーラー復!!活!!』
男「おお、よかったね」
女『でも高かった…』
男「ドンマイ」
女『やっぱ型が古いらしくって、ガタが来てるって言われちゃった』
男「でも、その修理も一年持たなかったんだよなあ」
女『今日から快適よ』
男「おし、おれも修理してもらおうかな」
278:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/09 21:11:44.90 tZMQn1+g
…
修理人「あーやっぱりガタが来てますねえ」
男「はは、そうですか」
修理人「新しいのに替えませんか」
男「いや、でも、これがいいです」
修理人「愛着でもあるんですか」
男「ええまあ、そういう感じで」
修理人「いやーしかし…確か…」
男「??」
修理人「去年も僕ここに修理に来た覚えがあるんですけどねえ」
男「!!」
279:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/09 21:36:34.73 tZMQn1+g
修理人「勘違いかな…」
男「あ、去年は、別の女の人が住んでいたはずなんですが」
修理人「ああ、そうそう、女の人でしたね」
修理人「ちょうど一年くらい前ですかねえ」
男「ど、どんな人でした!?」
修理人「どんなって…いたって普通でしたよ。可愛らしい感じで」
男「げ、元気そうでしたか」
修理人「ええ、ニコニコしてて、元気そうな子でしたよ、確か」
男「そうですか…良かった」
修理人「??」
280:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/11 20:04:41.07 5dsozEwN
【20××.7.23 21:00】
女『明日、プールに行ってくるよ!!』
男「お、いいね」
女『今年初水着だよ!!』
男「ほほう」
女『…見たい??』
男「見れないから」
女『うふふ、見たいでしょう』
男「見れないっつってんだろ」
281:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/11 20:11:25.21 5dsozEwN
女『私のナイスバデーを明日晒してくるわん』
男「ナイスなのか」
女『…』
男「本当にナイスなんだな」
女『…』
男「嘘か」
女『ま、まだ発展途上だよ!!』
男「社会人がなに言ってんだ」
282:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/11 20:16:16.10 5dsozEwN
【20××.7.24 17:00】
女『マキさん、超巨乳だった…』
男「完敗か」
女『お、女の魅力はおっぱいだけじゃないよね!!』
男「…」
女『ね!!』
男「そ、そうだな」
女『スレンダーな方がいいって言う人もいるよね!!』
男「うん、確かにそういう人もいるよね」
女『…』
男「落ち込むなよ」
女『牛乳、いっぱい飲むことにする』
男「悪あがきはやめなさい」
283:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/11 20:23:30.46 5dsozEwN
【20××.7.30 22:00】
女『明日は夏祭りに行ってきます!!』
男「遊んでんなあ…」
女『たこ焼き!!リンゴ飴!!わたあめ!!』
男「祭と言えば金魚すくいだろ」
男「祭なんて久しく行ってないなあ」
女『今度は浴衣で勝負だよ!!』
男「またマキさんと張り合おうってのか」
女『ふふふ、浴衣はスレンダーな方が似合うんだよ!!』
男「頑張れー」
284:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/11 20:30:45.13 5dsozEwN
【20××.7.31 23:00】
女『私、認識を改めないといけないなって、思いました』
男「どうした」
女『…』
男「??」
女『巨乳でも浴衣が似合う人っているんだね』
男「…」
男「ドンマイ」
女『でもわたあめ美味しかった』
男「そっか」
285:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/11 20:41:44.57 5dsozEwN
女『あとね、私の部屋に金魚が来たよ』
男「大事にしろよ」
女『名前、どうしようかな』
男「金ちゃんでいいんじゃね」
女『ゴウちゃんでどうかな』
男「いかつすぎるだろ」
女『ゴールドのゴウ!!』
男「金ちゃんの方が可愛いって!!」
女『よろしくね、ゴウちゃん』
男「あああ…」
286:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/11 20:46:19.95 5dsozEwN
【20××.8.11 20:00】
女『暑すぎるんだよ!!』
男「こっちもだよ」
女『クーラーが唯一の友だちなんだよ!!』
男「お、おう」
男「??」
女『晩御飯作る気が起きないんだよ!!』
男「その『だよ』って言う語尾は何なんだ」
女『今日はもうお惣菜で我慢するんだよ!!』
男「なんか影響されたのか??」
女『だよ!!だよ!!』
男「??」
287:創る名無しに見る名無し
11/05/11 20:55:09.75 PynzH6/Z
④
(支援)
288:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/11 20:58:40.70 5dsozEwN
【20××.8.12 22:00】
女『昨日に引き続き、暑すぎるんだよ!!』
男「はいはい、クーラーが友だち」
女『クーラーが唯一の!!いや!!』
男「繰り返すのが好きなんだな、君は」
女『あなたの次の友だちなんだよ!!』
男「友だち少なすぎんだろ」
男「3番目は誰だよ」
女『3番目は…ゴウちゃんだよ』
男「寂しすぎんだろ」
男「今どきのOL寂しすぎんだろ」
女『寂しくなんてないんだよ…』
男「…ドンマイ」
289:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/11 21:09:00.25 5dsozEwN
男「職場で友だちいねえの」
女『マキさんは優しいけど、先輩だし』
男「…」
女『他に年の近い人がいないから…』
男「大学時代の友だちとか」
女『小学校から大学まではずっと地元だったからなあ』
男「離ればなれか」
女『…』
男「ってか、語尾がなくなってるぞ」
女『…』
男「何の影響だったんだよ」
290:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/11 21:19:59.92 5dsozEwN
【20××.8.21 18:00】
女『こんにちわー』
男「おう」
女『昨日マキさんに漫画を借りたので、今日は一日中読んでたの』
男「へえ」
女『だぴょん』
男「は??」
女『だぴょん!!』
男「…ま、まあ君が影響されやすい子だってのは良く分かった」
女『左手は添えるだけ!!』
男「はいはい」
291:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/11 21:29:45.71 5dsozEwN
女『そういえばさ、左手ってどうしてるの??男の人って』
男「ぐふっ」
女『あのときはやっぱりヒマしてるの??』
男「な、何の話かな」
女『それとも添えてるの??』
男「添えてませんけど」
女『働くのはやっぱり右手なの??』
男「ちょっと黙ろうか」
女『左手は添えるだけ!!』
男「うるさい」
292:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/11 21:34:43.80 5dsozEwN
【20××.9.17 23:00】
女『ういひひ、ただいま~』
男「おいおい、酔っ払ってんのかよ」
女『お酒美味しかったあ』
男「ったく、そんなに強くないくせに」
女『今日はね、一人だったの』
男「あ、マキさんとじゃないのか」
女『一人で寂しくお酒飲むのって、憧れだったの』
男「そんな憧れ捨ててしまえばよかったのに」
女『寂しかった…』
男「当たり前だろ」
293:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/11 21:40:35.64 5dsozEwN
男「最近悩みらしいこと言ってなかったのに、どうしたんだ」
女『寂しいよう…』
男「おれが聞いてるだろ」
女『…』
男「おれの声は、やっぱ届かない、よな」
女『…あなたに聞いてもらえるこの時間だけが、私の安らぎなんだ』
男「お、おう」
女『自分で決めたこととはいえ、もっと長い時間にすればよかったなあ』
男「でも、テープは10分しかないんだろ」
女『B面も使えばよかった…』
男「ああ、そうか」
294:創る名無しに見る名無し
11/05/11 21:43:50.31 ndBxnvbP
追いついた
先が気になる
295:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/11 21:46:13.16 5dsozEwN
男「でも10分だからこそ、ここまで続いてるんじゃないか」
女『あなたからの返事が聞きたいよう』
男「おれはずっと聞いてるから」
男「たった10分だって、毎日楽しみにしてるんだから」
女『寂しいよう』
男「おれだって、おれの声が届かないのは寂しいんだよ」
女『ごめん、愚痴っぽくなっちゃったね』
男「いいよ、ここはそういう場所だろ??」
女『ごめんね』
男「いいって」
296:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/11 21:51:56.63 5dsozEwN
【20××.9.18 11:00】
女『…おはよう』グス
男「おはよう。なんだ、泣いてんのか」
女『昨日の、お店にい…』グス
男「あん」
女『大事な時計、忘れちゃったあ』グス
男「おいおい」
女『取りに行ってくる…』
男「お、置いてくれてるといいな」
女『大事にしてたのに…』
男「大丈夫だって」
297:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/11 21:56:35.38 5dsozEwN
…
女『じゃあ、また明日ね』
男「おう」
ガチャリ
男「…」
男「おい、結果発表は明日かよ」
男「時計は結局あったのか、なかったのか」
男「…」
男「こういうとこ、ちょっと不便だよな」
298:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/11 22:05:23.04 5dsozEwN
【20××.9.19 13:00】
女『おいっす!!』
男「おう」
女『今日はオムライスをつくったよ!!』
男「へえ、今日はうまくいったのか」
女『…』
男「??」
女『オムライスっぽいものをつくったよ!!』
男「失敗なのか」
…
女『じゃあ、またね!!』
男「おーう」
ガチャリ
男「…ふう」
男「おれもそろそろ飯作るか」
男「…」
男「って、時計は!!」
299:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/11 22:10:58.69 5dsozEwN
【20××.10.17 20:00】
女『ふと町に出てみたら、お祭りやってたの』
男「へえ、秋祭りか」
女『御神輿担いでる人たちがいて、写メとっちゃった♪』
男「見たいけど」
女『見たい??』
男「見れないしな、どうせ」
女『ね、御神輿って担いだことある??』
男「ないなあ」
女『私、担いでみたかった…』
男「女の人は無理だろ」
300:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/11 22:20:27.04 5dsozEwN
女『女の人の御神輿もあったのよ』
男「へえ」
女『高校生くらいの子も担いでたなあ』
男「そういうのもあるのか」
女『あと、フランクフルト美味しかった』
男「また食ったのか」
男「なんか君は食べ物の話が多くないかね」
女『太っちゃう』
男「ほいほい買い食いするからです」
301:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/11 22:30:09.22 5dsozEwN
女『ときに』
男「ん」
女『小説は進んでる??』
男「ぼちぼち」
女『早く読みたいなあ』
男「出版されたらあげるよ」
男「と、言いたいんだけどなあ」
女『最近読んだ本で面白かったのはね…』
302:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/11 22:37:49.28 5dsozEwN
…
男「小説、進めなきゃ、な」
女『じゃあ、おやすみ』
男「おう、おやすみ」
ガチャリ
男「…どうしたら、いいんだろう」
女『早く読みたいなあ』
男「…読んでくれるかな」
303:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/11 22:44:15.50 5dsozEwN
【20××.11.11 22:00】
女『やあ』
男「おす」
女『今日地震あったんだ』
男「あれ、そうだっけ」
女『あんまり大きな地震じゃなかったけど、仕事中でびっくりしちゃった』
男「そりゃあ、災難だったな」
男「まあ、無事そうでよかったよ」
女『電気とか揺れてたし』
男「机の下に隠れたか??」
女『小学校のときの避難訓練思い出したの』
男「机の脚は対角線で持つといいんだぜ」
女『いやあ、なんにしても怖かった』
304:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/11 22:50:14.80 5dsozEwN
男「仕事は??」
女『仕事の方は特に問題はなかったんだけど、ちょっと書類が散乱しちゃったのがねえ』
男「ああ」
女『うち、もともと整理された職場じゃないし…』
男「ははは」
女『家に帰ってきたらマグカップ一つ割れてたしい』
男「あらら」
女『まあ、この程度で済んでるんだからよかったのかなあ』
男「そうそう」
305:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/12 21:44:40.24 ry0k1tlb
【20××.12.1 21:00】
女『もうすでに世間はクリスマス一色ですよう』
男「おお、もうそんな時期ですか」
女『寂しいよう』
男「おれはもっと寂しいよ」
女『駅前でおっきなツリーの準備が始まってたよ』
男「まだ結構先なのになあ」
女『クスマスの日は家で一人パーティするからね!!』
男「どうせおれは10分しか参加できないんだよなあ」
女『チキン食べるから!!』
女『シャンパンも買っちゃうんだから!!』
男「酒はほどほどにしとけよ」
306:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/12 21:53:45.16 ry0k1tlb
【20××.12.10 22:00】
女『クリスマスにみんなでパーティすることになったよー』
男「おお、よかったじゃん」
女『先輩もマキさんも二人で過ごせばいいのにねえ』
男「大人になったな」
女『まあ他の部署の人もいるみたいだけど』
男「男前がいるといいな」
女『私のコミュニケーション能力でイケメンひっかけちゃうぞ!!』
男「はは、頑張れ」
女『嘘』
男「…」
女『無理無理、そんなの』
男「だよねー」
307:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/12 22:12:26.32 ry0k1tlb
【20××.12.17 20:00】
女『やあ』
男「やあ」
女『クリスマスにね、みんなでプレゼント交換することになったんだけど』
男「へえ、面白そうだね」
女『なにがいいかな』
男「おれのアドバイスは聞こえないだろ」
女『男の人も女の人も喜ぶものって限られてるよねえ』
男「ああ」
男「結局無難なものになっちゃうよな」
女『こけしとかどうだろ』
男「それはやめとけ」
308:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/12 22:17:43.57 ry0k1tlb
女『ちょっとエッチなパーティグッズもありってネットで見たんだけど』
男「それもやめとけ」
女『ちょっと買うのが恥ずかしいなあ』
男「やめとけええ!!」
女『あのねえ、見た目は可愛めのやつがあってね…』
男「ダメ!!ダメ!!絶対!!」
309:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/12 22:21:57.45 ry0k1tlb
【20××.12.19 14:00】
女『結局マグカップにしたよ』
男「ふぅ、安心したよ」
女『やっぱり無難なのが一番だよね』
男「そうそう」
男「エログッズ買わなくてほんとよかった」
女『そういえばプレゼント買いに行った店にね、面白いものが売ってたの』
男「ほう」
女『何だと思う??』
男「…」
男「エログッズでなければ何でもいいです」
310:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/12 22:29:12.52 ry0k1tlb
女『答えは!!ジャジャーン!!』
男「古っ」
女『頭痛持ちのあなたに!!ズキンシップ!!』
男「名前が嘘くさいwww」
女『首周りにペタっと巻くだけで、頭痛が和らぐんだって』
男「へえ、いいじゃん」
男「でもやっぱ名前が酷いな」
女『今夜からこれ巻いて寝ることにする♪』
男「それで頭痛がひくといいな」
女『ていうか、早速巻いてみる』
男「…ガッカリグッズじゃありませんように」
311:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/12 22:35:43.26 ry0k1tlb
女『冷たい!!なにコレ!!』
男「湿布なのか??」
女『うひゃああああああ』
女『痛い!!首筋が痛い!!』
男「おおお、悶絶してるな」
女『ひゃあああああああ』
男「ガッカリグッズだったか…」
女『あれ??ちょ、気持ちいい…??』
男「あれ??」
312:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/12 22:44:37.61 ry0k1tlb
女『やったー快調だよ!!』
男「あれ…意外」
女『最近あんまり頭痛は出てなかったけど、万一ってことがあるからね』
女『予防もかかさないのさ!!』
男「おう、それがいい」
女『あなたも頭痛に悩まされたら、ズキンシップ!!』
男「いやーおれは遠慮しておくよ」
女『ズキンズキン!!』
男「それ痛いときの効果音だろ」
313:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/12 22:51:28.09 ry0k1tlb
【20××.12.25 20:00】
女『先輩からマフラーもらったああああ』
男「おお、おめでと」
男「ふっ切ったんじゃなかったのか」
女『暖かいよう』
男「ていうか今までマフラーなしで生活してたのか」
男「バイクじゃ寒いだろうに」
女『あとねえ、別の部署の男の人から、アピールされたよう』
男「お」
314:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/12 22:55:56.08 ry0k1tlb
女『メアド渡されてーよかったらメールくださいっみたいな』
男「へ、へえ」
男「モテるんだなあ」
女『まあ、まだメール送ってないんだけど』
男「…」
女『どうすればいいかなあ』
男「ん、どうすればって」
男「好きなようにしてみれば??」
女『思い切って送ってみようかなあ』
女『でもなあ、どうしようかなあ』
男「悩むんだったら、やめとけば」
男「…」
315:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/12 23:02:09.42 ry0k1tlb
女『まあ、明日考えよ』
男「…」
女『おやすみ!!』
男「ん、おやすみ」
ガチャリ
男「なんだおれ、妬いてんのか??」
男「みっともねえ」
男「男だったらさ、応援してやれよ」
男「…くそ」
316:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/12 23:10:20.83 ry0k1tlb
【20××.12.29 19:00】
女『今日は仕事納め!!』
男「お、おつかれ」
女『今年もあと少しだね!!』
男「そうだな」
男「あんまり実感ないけどなあ」
女『年賀状はもう出した??』
男「いや、出さない派」
女『私は可愛いイラスト描いてもう出したよ♪』
男「へえ、絵描くのか」
男「今までそんな話出なかったのに」
317:創る名無しに見る名無し
11/05/12 23:11:59.34 h1mGDDCL
318:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/12 23:15:15.10 ry0k1tlb
女『あ、そういえばね、前メアドくれたって言ってた人いるじゃん』
男「お、おう」
女『やっぱりメールしなかったの』
男「…」ホッ
男「いやいや、なんでホッとするんだよ、おれ」
女『あの人ねえ、他にもいっぱいメアド渡してたんだって』
男「そっか」ホッ
男「悪い男にひっからなくって、よかった」
男「っていう安心だ、うん、おれおかしくないぞ」
319:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/14 19:53:58.65 R/RosYiF
【20××.12.31 23:55】
女『こんばんわー』
女『今年も残すところあと僅かですね!!』
男「おう、今日だけなんか時間が違うな」
女『今日だけはね、年越しをあなたとしたいなって思って』
女『いつもちょうどの時間に録音してたんだけど、今日だけ特別!!』
男「いやあ、今日は朝からヒマでヒマでね」
女『年越すぞー』
男「おおー」
320:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/14 19:59:12.31 R/RosYiF
…
女『あと5秒!!』
女『せーのお』
男「ハッピーニューイヤー!!」
女『新年明けましておめでとうございます!!』
男「ハモらなかった…」
女『いやあ、今年もどうぞよろしくお願いします!!』
男「はあい、こちらこそ」
女『でも一緒に新年を迎えてるってのに、年号が違う、干支が違うって変な気分』
男「んー」
321:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/14 20:08:06.63 R/RosYiF
…
女『ズバリ!!今年の目標は!!』
男「おお」
女『ああ、時間がない』
女『今年の目標は、CMの後で!!』
ガチャリ
男「…」
男「引っ張るねえ」
男「1月1日のテープは、と」
カチャカチャ
男「昼じゃねえか!!」
322:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/14 20:24:30.04 R/RosYiF
【20××.1.1 12:00】
女『おはよう!!』
男「寝てたのか」
女『朝寝は最高ですね!!』
女『しかもコタツで!!』
男「ちくしょう、羨ましい」
女『今からおせちを食べるよ』
男「おお、作ったのか」
女『作ったのはちょっとだけ』
女『ほとんどお惣菜です』
男「なんだ、そっか」
323:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/14 20:28:57.92 R/RosYiF
女『でも年末に買いこんでおいて正解だったわ』
女『しばらく外出しないだろうし』
男「まあ閉まってるしな、店も」
女『太っちゃうう』
男「運動しなさい」
男「って、おれも偉そうに言えないけども」
女『でもね、正月くらいはね、いいよね』
女『さあさあ、熱燗もいっちゃうよ~』
男「おおおい、大丈夫かよ」
女『うひょ~』
男「早いよ、酔うのが」
324:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/14 20:35:58.81 R/RosYiF
女『という訳で、今年の目標は、太らず!!楽しく!!おいしく!!』
男「地味に語呂が悪いぞ」
女『お酒ももう少し飲めるようになりたいし』
男「うんうん」
女『頭痛も最近やわらいできてるみたいで調子いいし』
男「…うんうん」
女『料理もうまくなりたいし!!』
男「そこ重要だね」
女『いい一年にするぞ!!』
男「頑張れよ」
325:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/14 20:41:47.72 R/RosYiF
【20××.1.10 14:00】
女『今日、町の方で成人式やってたよ』
男「ああ、ニュースでも、どこもかしこも成人式だな」
女『ああ、懐かしいなあ』
男「ほんの数年前だろ」
女『あなたは成人式、行った??』
男「ああ、退屈だった記憶しかないけどな」
女『私ね、成人式行けなかったんだあ』
男「どうして」
326:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/14 20:46:29.79 R/RosYiF
女『インフルエンザにかかっちゃってね』
男「ああ~」
女『昔から体は弱い方だったからなあ』
女『着物も予約してたのに、あ~あって感じ』
男「そりゃあ残念だったなあ」
男「やっぱ女の子にとっては大イベントなんだろうか」
女『大きくなって、初めて泣いちゃった』
男「ん…」
男「残念だったな」
女『結婚式では絶対キレイな着物着るんだから!!』
男「おお、着物派か」
女『ドレスも可!!』
男「どっちでもいいのか」
327:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/14 20:54:51.72 R/RosYiF
【20××.2.11 13:00】
女『先輩にバレンタインチョコをあげるべきか否か!!』
男「ううーん」
女『あなたなら、どっち!?』
男「懐かしいな」
女『どっち!?』
男「義理であげとけば??」
女『…』
女『義理じゃないの…複雑なの…』
男「なんで俺の言ったことがわかるんだよ」
女『あなたにあげたいなあ』
男「もらえるもんならもらいたいよ…」
328:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/14 21:00:14.34 R/RosYiF
女『手作りって、重いかなあ』
男「別に、いいんじゃね」
男「手作りで義理チョコ作る人だっているだろ」
女『…』
男「あ、手作りはやめとけ、わりとマジで」
女『頑張ってみようかな!!』
男「やめとけって」
女『よし、材料買ってくる!!』
男「あああ、もうオチが見えちゃう…」
329:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/14 21:06:18.42 R/RosYiF
【20××.2.12 16:00】
女『手作りチョコってどうやって作るの!!』
男「…」
女『なんでレンジの中がチョコまみれになるの!!』
男「…」
女『湯せんってなに!!』
男「…」
女『もうやだ!!』
男「ど、ドンマイ」
女『買ってきたチョコ配るもん!!』
330:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/14 21:18:51.29 R/RosYiF
―20××.2.14―
編集「先生、なかなか反応いいですよ」
男「あ、本当ですか??」
編集「ええ、次の週が楽しみだってファンレターが、去年の倍届きました」
男「へえーえ」
男「なんか実感わかないですね」
編集「あはは、これから実感することになりますって」
男「だといいんですけど」
編集「あ、先生、これ」
男「え??」
編集「バレンタインですので、ね」
編集「チョコレートです」
男「あ、ありがとうございます」
331:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/14 21:25:32.25 R/RosYiF
編集「ふ、深い意味はないので…」
男「そうですか…」
男「…」
編集「…」
編集「あ、すみません、迷惑だったら」
男「いや、頂きます」
男「嬉しいです、ほんとに」
編集「え、えへへ」
男「甘いもの、好きですし」
編集「よかったです♪」
332:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/14 21:31:21.42 R/RosYiF
【20××.2.14 20:00】
女『おいっす』
男「おいっす」
女『チョコ配ったら、みんな喜んでくれたよー』
男「おれも一個もらったぜー」
女『お返し楽しみ♪』
男「…」
男「お返しか…考えてなかった」
女『ま、こういうものは気持ちよ、気持ち』
男「そうだよな」
333:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/14 21:37:39.29 R/RosYiF
女『あなたはいくつもらった??』
男「一個だよ」
女『ファンの人からもらったりしないの??』
男「んーそういうのは届いてんのかなあ」
男「男か女かわからないようなペンネーム使ってるしね」
女『お返しはしっかりしなきゃダメだよ!!』
男「へいへい」
女『真心!!』
男「はいはい、真心ね」
女『ままごとじゃないよ!!』
男「はいはい」
334:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/14 21:47:17.16 R/RosYiF
…
男「はあーあ」
編集「どうしたんですか、先生」
男「ああ、ちょっと煮詰まっちゃってね」
編集「はあ…」
編集「でも、まだストックはあるんですから、そんなに焦らなくても」
男「ねえ、これ面白い??」
編集「え」
男「これ、面白いかな」
編集「ええ、私は面白いと思いますよ」
男「僕も、この世界観はとても気に入ってるんだ」
編集「ええ、いいことですね」
335:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/14 21:55:21.35 R/RosYiF
男「じゃあさ、読者は何を求めてるのかな」
男「この小説に」
編集「え…」
男「ハッピーエンド??どんでん返し??鬱な展開??」
男「それとも思いっきりSF方面に進んじゃう??」
編集「あ、ええと、鬱な展開は先生のカラーではないかと」
男「僕のカラーの話じゃなくてさ、この小説はどう終わるべきか、って話」
編集「ええと、私のような意見が参考になるとは思えませんが…」
男「いいんです、言ってください」
336:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/14 21:59:06.71 R/RosYiF
編集「これ、読者は主人公の男性に感情移入して読むわけですよね」
男「多分ね」
編集「となると、相手の女性がとても気になるわけですよね」
男「うん、そうだね」
男「僕も、そうだ」
編集「え??」
男「ああいや、気にしないで」
編集「ですから、相手の女性はもともと知っている人間のうちにいるってのはどうでしょう」
男「つまり、どんでん返し系だね??」
編集「ええまあ、私の個人的な好みの問題なんですが」
男「でも、そうなると声で気づかなかったってことだよね」
編集「うう、やっぱり苦しいですかね」
337:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/14 22:04:06.50 R/RosYiF
男「僕の頭から離れないバッドエンドがあるんだけど、一応聞いてくれる??」
編集「え、ええ」
男「男は毎日テープを聞いているうちに、自分の生活と彼女の話に違和感を感じ始める」
編集「…」
男「彼女が話す内容と現実に少しずつずれが生じるというか」
編集「…」
男「そこで確かめてみると、彼女はずっと病院にいたことがわかる」
男「テープはずっと病室で録音され続けていたんだ」
編集「…」
男「っていうものなんだけど、どうだろう」
編集「…」
338:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/14 22:09:10.76 R/RosYiF
編集「先生らしくありません」
男「いや、僕らしさはこの際どうでもいい」
男「この終わり方は、受け入れられるだろうか」
編集「そうですね、面白いと思います」
男「そうか…」
編集「でも、先生は書きたくないんでしょう??」
男「ん」
編集「書きたくないものは、書かなくていいんじゃないでしょうか」
男「ありがとう」
編集「でも先生が選んだストーリーなら、私はいいと思いますよ、なんでも」
339:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/14 22:14:12.58 R/RosYiF
男「もう一つあるんだけど」
編集「それも、バッドエンドですか??」
男「ええまあ、そうですね」
編集「どんな??」
男「途中まではちゃんと家での録音で、タイムカプセルは正常に作動しているわけですが」
編集「正常に作動…面白い表現ですね」
男「いつからか、彼女の未来日記になってしまうんです」
編集「つまり…書いてある日付が嘘、ということですか」
男「うん」
編集「それで、彼女は」
男「最後のテープを録音した後、死んでしまうんです」
編集「…」
340:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/14 22:22:03.32 R/RosYiF
男「だめですよね、やっぱり」
編集「だめってことはありませんよ」
編集「先生はご自分の好きなように書いてください」
男「んん…」
編集「無理やりハッピーエンドにしたい理由でもあるんですか??」
男「いや、別に…」
編集「確かに先生はほのぼのとしたハッピーエンドがカラーかもしれませんが…」
男「うん、その路線で行くつもりだったよ」
編集「いろいろなカラーを早く試してみてもいいんじゃないでしょうか」
編集「まだまだ新米ですからね」
男「ははww」
編集「嫌味じゃないですよ」
男「わかってるって」
341:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/14 22:27:09.82 R/RosYiF
…
男「あれから、試行錯誤して、なんとか形になりそうだ」
女『でねー』
男「君に、おれの言葉が届いたら、本当にいいんだけどなあ」
女『あはは』
男「小説のことも、君に対する気持ちも、話してしまえればいいのに」
女『そしたらマキさんがねー』
男「なんで…」
女『www』
男「聞いてくれないんだろうね、君は…」
女『そういえば最近ゴウちゃんが元気ないの…』
男「おれの話も、聞いてくれよ…」
342:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/14 22:38:05.60 R/RosYiF
男「これが…最後のテープか…」
【20××.3.19 18:00】
女『こんばんは』
男「おう」
女『今日でこのテープも、ちょうど一年だね』
男「ああ、そうか」
女『あなたは、全部、聞いてくれた??』
男「ああ、全部聞いたよ」
女『えへへ、楽しかったよ』
男「…おれもだよ」
女『私謝らないといけないことがあるの』
男「え」
女『ごめんね』
男「どういうこと??」
343:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/14 22:43:39.09 R/RosYiF
女『私、ひとつだけ、あなたに嘘をついたの』
男「嘘??」
女『私、どうかしてたんだわ』
女『あなたがこのテープを聞いてくれなかったら、タイムカプセルは永久に地面の中』
女『それは、嫌だったの』
女『だから、あなたが私の声を聞いてくれますようにって、嘘をついたの』
女『単なる私のわがままなんだけど…ね』
女『結局嘘でしたって、言ってなかったのよね』
男「どういうことだ??」
女『でもきっとあなたは、もうわかってるんじゃないかしら』
女『許してくれる??』
男「許すもなにも、嘘って何なんだ」
344:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/14 22:49:29.45 R/RosYiF
男「嘘…」
男「まさか…やっぱり君は日付を…」
男「いや、それとも、毎日の出来事は全部ただの妄想だったのか??」
男「やめてくれ…君は…元気で…このテープに言葉を吹き込んでいてくれなきゃ…」
女『本当にごめんなさい』
男「嫌だ、そんなの」
男「君はどこにいるんだ」
男「病院なんかにいないでくれ」
男「いや、元気で、生きていてくれよ!!」
男「じゃなきゃ僕は…」
345:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/14 22:55:13.78 R/RosYiF
女『あともう一つ、謝らなきゃ』
男「え」
女『今日、あなたの世界では「土曜日」よね??』
男「あ、ああ、確かに今日は土曜日だ」
女『ということは、あなたの世界にいる私も、土曜日なわけ』
男「君の、1年後の、君か」
女『私のわがままに付き合ってくれる??』
男「わがままって、何の」
女『ずっと私の言葉を受け止めてくれていたあなたに、正面からぶつかってみたくなったの』
女『このテープが終わったら、あなたに会いに行くわ』
346:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/14 23:04:06.91 R/RosYiF
男「…」
男「は??」
女『ごめんね』
女『もし嫌だったら、居留守でも使ってね』
女『チャイムを鳴らして、あなたが出なかったら、諦めるから』
男「お、おいおい、マジか」
女『この家にいるあなたがテープを聞いていなかったら、すぐに帰るから』
女『じゃあ、1年間、楽しかった』
女『ありがとう』
男「お、おい」
女『じゃあね』
ガチャリ
男「…」
男「じゃあ、君の言った嘘っていうのは…」
そういえばもうすぐ4月だな、と、なぜかふとカレンダーに目がいった。
男「4月…嘘…4月…嘘…」
チャイムが鳴った、気がした。
★おしまい★
347:創る名無しに見る名無し
11/05/14 23:45:22.35 xhu+HdKi
四月…まさか!
乙でした!楽しかったのです!
348:創る名無しに見る名無し
11/05/15 02:03:03.79 P9/EKPd1
乙!
しかしオチの意味が解らない
349:創る名無しに見る名無し
11/05/15 08:21:32.72 8r1eoFru
乙
350:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/15 10:51:37.30 JCrdI0c1
楽しんでいただけてよかったです
よかったらこちらも見てみてね
URLリンク(hamham278.blog76.fc2.com)
>>348
女『私、ひとつだけ、あなたに嘘をついたの』
↓
嘘をつくと言えば何月何日??
↓
その日のテープで言ったことは嘘だった
↓
なんだうそか
351:創る名無しに見る名無し
11/05/15 11:00:04.96 Z0Z1jjuh
なんだうそか
352:創る名無しに見る名無し
11/05/15 22:02:07.61 P9/EKPd1
>>350
解説ありがとうございます。
全然関係ない深読みしてた自分が恥ずかしい・・・
353:創る名無しに見る名無し
11/05/15 23:26:08.67 q1NPUozJ
>>352
kwsk
354:創る名無しに見る名無し
11/05/16 00:37:13.78 6CF6FNWe
>>353
普通に去年まで住んでたのが編集で去年のは途中までしかなくてこっそり編集が今年のを置いてったとかそういうのを妄想してた・・・
355:創る名無しに見る名無し
11/05/16 01:02:00.19 GJuPhmqb
>>354
だいたい一緒で焦った。
356:創る名無しに見る名無し
11/05/16 18:58:11.92 lAgwsTHp
>>354-355
終盤だけど>>336
357:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/16 22:15:50.10 kUtoqd0S
若干ミスリードのつもりでその辺書いていましたが、
今後の参考にさせてもらいます
色んな読み方があるっていう方が面白いですもんね
358:創る名無しに見る名無し
11/05/18 16:58:11.10 2M2Yzecb
久々にいいもん読んだわ
359:創る名無しに見る名無し
11/05/19 04:15:16.15 v4Bxt3j/
乙でした!
すごく面白かった。引き込まれた
途中からメタ展開をほのめかせるのも、いいスパイスだったし
何より、作家とテープの彼女のキャラがとてもいい。セリフが秀逸!
エンディングを描ききらないってのもニクいですw
GJでした! よかったら、また書いてくださいな♪
360:HAM ◆HAM/FeZ/c2
11/05/19 21:39:37.66 cgAuz6xJ
ありがとうございます
褒められるってのは嬉しいもんですね
落ちるのを気にせずのんびり投下できたってのは新鮮でした
またここでなにか書きたいと思います
361:U
11/05/22 00:03:22.43 L8om4mfN
次投下していい?
362:創る名無しに見る名無し
11/05/22 00:42:16.63 EVpfe82Z
どうぞ
363:創る名無しに見る名無し
11/05/22 01:10:15.62 EVpfe82Z
むしろ書いてください
364:U
11/05/22 01:23:16.72 L8om4mfN
では失礼して。遅筆だがすまん。
新ジャンル「似非ビッチ」
○早朝の通学路にて
男「今日から新学期。心機一転、頑張るか!」
ドンッ
女「痛っ!」
男「あっ、すみません」
女「っ……。『あっ、すみません』じゃねえよ。ぶつかっておいてふざけんなよコラ」
男「え……ちょっと。元々そっちが当たってきたんじゃないか」
女「あ? なぁお前、もしかして今あたしになんか言った?」
男「いえ、何でもないです……。(何このビッチ怖い……)」
365:U
11/05/22 01:24:02.09 L8om4mfN
○退屈という名のありふれた日常が支配するはずの教室で
男「はぁ、朝から変な女に絡まれちゃったな。思わず逃げ出しちゃったけど大丈夫かな」
友「よう、なんか朝っぱらからお疲れだな」
男「友か、おはよう。それがさぁ、今日学校来る途中で女にぶつかっちゃって、なんか因縁つけられたんだよね」
友「へぇ、それは災難だったな。女といえば今日このクラスに転校生が来るらしいぞ」
男「ふーん、良く知っているな」
友「ばか、今クラスの連中はその話でもちきりだぞ。知らんのはお前だけじゃねーの」
男「そうか、まあ正直あんまし興味ないからね」
友「けっ、つまんねーやつだな。人生損してんぞ」
男「余計なお世話。それよりそろそろ先生が来る時間だぞ、席に戻った方がいいんじゃないか?」
友「あ、ああ、そうだったな。そうするか」
ガラッ
男「(チャイムが鳴るのと同時に扉が開いたな。まるで計ったかのようだ)」
先生「皆さんおはようございます。転校生を紹介しますね。今日から皆さんのクラスメートとなる女さんです。仲良くしてあげてください」
女「……よろしく。ただの人間には興味ねぇ。以上」
男「げ……。(さっきの女、だと……?)」
先生「女さんの席は男くんの隣です」
男「げ……。(よりにもよって隣とかないわ……)」
女「ん、お前……また会ったな。せいぜい仲良くしようじゃねぇか?」
男「はい……(なんという邪悪な笑顔……)」
366:U
11/05/22 01:26:06.76 L8om4mfN
○お昼休みのチャイムが鳴る
男「はぁ……(あの女、授業中たびたびこっち見てきやがって、何のつもりだよ……。まあ昼休みは購買で何か買って、どっかに隠れてやり過ごすか……)」
女「おい、お前」
男「ぅ、僕に何かご用でしょうか……。(俺なんでこんな下手に出てるんだろ……)」
女「は? 用があるから声かけたに決まってんだろ。実は今日さぁ、あたし昼食持ってきてないんだわ」
男「はい? あの、すみません……。女さんが何を言いたいのか分かりかねます……」
女「あぁ?! かねますとか分かりにくい言葉使ってんじゃねーよ、男!」
男「ひぃっ……(怖っ! つか会った初日から呼び捨てかよ!)」
女「まあいい。とにかくあたしの分の昼食買ってこい」
男「(ははん……分かったぞ。このビッチ、これから俺をパシリとして良いように使おうって訳だ。冗談じゃない。ここは強気な態度でもって、俺の厳然たる意思を示さなくてはならない
な……)」
女「どうした? 早く買ってこいよ」
男「えっ……あ、そういうのは、その、困ります……」
女「あ?」
男「行ってきまーす」
367:U
11/05/22 01:30:33.98 L8om4mfN
○購買部へパシリ→教室に帰還
男「はぁ、疲れた……。(あんまり使わないから知らなかったけど、購買って学食より混んでるのな……)」
女「おせぇし。ちゃんと買ってきた?」
男「ああ……いえ、ハイ……」
女「悪かったな。無理やり頼んだみたいで」
男「いえ……。(無理やり頼んだ”みたいで”? いや、何も言うまい……)それで、お代の方なんですけど……」
女「お代?」
男「いえ、あの、500円で良いですので。(ホントは800円したんだけど)」
女「ああ……。悪い、今あたし日本円持ってないんだよね。また今度でいい、よなぁ?」
男「え、あ、はい……全然大丈夫、です……(値引きしてやったのに踏み倒す気満々、と……)」
368:U
11/05/22 01:33:45.43 L8om4mfN
今日はここまでで失礼します。
369:創る名無しに見る名無し
11/05/22 01:38:16.58 OXLR4s7B
乙
370:U
11/05/22 08:37:59.12 L8om4mfN
○放課後ふわふわタイム
女「おい、男」
男「はい、女さん。なんでしょう?(たった一日でこの上下関係が板についてしまうとは……我ながら情けない)」
女「お前んちってあたしの家と方向同じみたいなんだよ。だから一緒に帰るぞ」
男「あ、はい。(放課後、女の子と二人きりで下校。一見して誰もがうらやむシチュエーション……だが)」
女「おい、さっさとあたしの鞄持てよ。もたもたすんな」
男「……はい。(ち、畜生……)」
371:U
11/05/22 08:39:11.26 L8om4mfN
○下校中、唐突に
女「おい、男」
男「はい。(さっきまで無言だったのに、突然なんだろ?)」
女「もうここでいい。付いてくんな」
男「え、どうしてですか?(まあ、そろそろお暇しようと思ってたとこだけど)」
女「いいから鞄返せ! 付いてくんなよ!!」
男「ちっ、なんだよ一体……。(あ……生徒手帳落としていったみたいだ。……しかたない、追いかけて渡してやるか)」
372:U
11/05/22 08:40:18.14 L8om4mfN
○手帳を返そうと
男「女さーん!」
女「男?! ざけんな、付いてくるなって言っただろが!」
ダッ
男「えっ! なんで走るんですか?!」
女「走ってなんかいねーよ! これはいわゆる競歩ってやつだ!!」
男「あ、それどうでもいいんで! とにかく逃げるの止めてください!(傍から見たらストーカーしてるようにしかねーんだよ!)」
373:U
11/05/22 08:52:53.86 L8om4mfN
○女、転ぶ
女「あぅっ!!」
男「あ、女さん! 大丈夫ですか?!」
パンッ
男「(……手を払いのけられた……。)」
女「勝手にさわんじゃねーよ!! 穢れんだろうが!!!
男「(むっ……。)ああ、そうかよ……勝手にしろ。せっかく助け起こそうとしてやってんのになんだよその態度。女だと思って下手に出てやればつけあがりやがって、もう知らねぇ」
女「え……」
男「ほらよ、お前の生徒手帳だ。さっき落したんだよ」
女「あ……」
男「そうか、汚らわしい俺が触ったもんなんていらねぇよな。まあそれについては処分するなり好きにしろ。だがな……俺たちはもう教室で会ってもお互い空気だから。じゃあな、女さん」
女「ま、待てよ……」
374:創る名無しに見る名無し
11/05/22 10:28:31.55 OXLR4s7B
似非要素きた
375:U
11/05/22 15:33:57.02 L8om4mfN
○女なんか知らないから無視して帰る
女「待てってば! あたしがなんかしたんなら謝ってあげてもいいから!」
男「……。(どこまでも上から目線。救えないビッチだな。どうせ謝る理由も、便利なパシリがいなくなるのが嫌なだけだろ)」
女「おい男! こっち見ろよ!!」
男「……ベタベタ触んじゃねーよ」
ドンッ
女「きゃっ」
男「あ……ごめ……(いや、何を助け起こそうとしてんだ俺……。自業自得だろ)」
女「待ってよ、男……」
男「……。(帰ろう……)」
女「待って……違うんだよ……」
男「…………。」
376:U
11/05/22 15:44:34.62 L8om4mfN
○女≠ビッチ
女「待っ……Otoko! Please……! Please wait for me!!」
男「……え?(英語……?)」
女「I'm sorry!! I'm sorry!! Please forgive me!! っ……わぁぁぁん!!!」
男「え? ちょ、はい?!(なんで急に流暢な英語で涙ながら謝罪すんの? うわ、人集まってきてるし、どうすんのこれ……?)」
女「わああああああん!! I'm sorry!! Excuse me……Please!! Please!!」
男「ちょ、ちょっと女さん! こっち来て!!」
377:創る名無しに見る名無し
11/05/23 18:07:20.45 /I+19iBr
なん…だと…
378:U
11/05/23 22:15:35.81 73HvVKbQ
遅筆ですみません。
○野次馬から退避、事情を聴く
男「ふぅ、ここまで来れば大丈夫か」
女「…………」
男「……色々聞きたいが、まずこれに答えてくれないか?」
女「Ok……」
男「あのさ……勘違いかもしれないけど、女ってもしかして日本人じゃないの?」
女「No. Half of my blood is a ********……」
男「や、英語はやめて日本語で。学校で英語を習ってるからって皆が皆、英会話が出来ると思うなよ?」
女「…………」
男「どうして黙ってる?」
女「男……。あたしが日本語で話してもブチギレない?」
男「(ブチギレ……?)ああ、怒らないよ。だから日本語で話してくれ」
女「分かった、今日だけだぞ」
男「なんでだよ……(何故か急に女が元気になったような……?)」
379:U
11/05/23 22:16:13.87 73HvVKbQ
○女は語る
女「……実は、あたしには半分しか日本人の血が流れてないんだよ」
男「つまり、ハーフってことだな?(だとしたら妙な日本語も納得がいくが……。)」
女「…………」
男「あ、すまん。喋りたくない事情があるなら無理に言わなくても……」
女「いや、ちょっと某クイズミリオネアの某ミノさんみたいに答えを渋ってただけだが」
男「じゃあファイナルアンサーって聞けよ。つか某の意味ねぇ!」
女「OH、ナイスボケ!」
男「ツッコミだっつーの!(疲れる……)」
380:U
11/05/23 22:18:15.53 73HvVKbQ
○女は語る2
女「そう……なんと、あたしはハーフだったんだわ」
男「そうだったのか」
女「反応薄い。それじゃあ芸人として失格と言わざるを得ない。やり直せ」
男「うるせぇよ。じゃあお前、そのてっきり染めてると思ってたブロンドの髪も地毛なのか?」
女「地毛? ああ、本物の髪の毛ってことな。あたぼーよ」
男「あたぼーって。お前、誰に日本語習ったんだよ」
女「日本語は人から教わるものじゃねぇ……自分で覚えるものなんだよ」
男「ドヤ顔で語ってる所悪いが、お前に日本語の何が分かるんだと俺は言いたい」
381:U
11/05/25 22:13:18.63 M2ZYU7VY
○男、感想を言う
男「しっかし、日本語のイントネーションは日本人と遜色はないんだよなあ」
女「ばっきゃろ、褒めても何もでねーっつの」
男「何もいらねぇ。つか勘違いすんな、お前の日本語はかなり致命的な問題があるんだからな」
女「地名的? ああ、方言ってやつだろ。知ってる知ってる」
男「(駄目だこいつ、早く何とかしないと……)」
382:U
11/05/25 22:13:50.49 M2ZYU7VY
○男、話をまとめる
男「えーと、それじゃあ何か? 全て誤解だったってことか?」
女「ゴカイ? おいおい、ここは地上だから一階だろ」
男「鼻で笑ってるのはこの際許すが、間違ってるのはお前の方だからな?」
女「何、だと?」
男「まあ、それはいい。本当はよくないけど。とにかく、俺は今までのやり取りでお前の日本語を大体理解した」
女「発言を許可する。申してみよ」
男「…………。まず言葉遣いが男らしすぎ。続いて用法間違えすぎ。おまけに発音が良いのが逆にたちが悪い」
女「つまりあたしは……」
男「そうだ、お前は……」
女「賞賛されている?」
男「もうやだこの子」
383:創る名無しに見る名無し
11/05/25 23:09:27.19 /1HRJKxp
この女は萌えた
384:創る名無しに見る名無し
11/05/26 22:34:38.83 /7I4vtp0
続きを
385:U
11/05/26 23:33:33.29 xeui1Ejl
>>383,384
読んでくれてありがとう
書きため分が思いのほか早く尽きて新たに書いてるので遅れます。
申し訳ないですがしばらくお待ちくださいませ。
386:創る名無しに見る名無し
11/05/27 19:51:24.56 Hk+59Z9r
待ってる
387:U
11/05/27 21:42:16.91 8OAMFBzK
○初めての友人?
男「まったく……。昨日転校して来たばかりで酷なようだが、俺はお前に友人が出来るか心配だよ」
女「馬鹿、余裕だっつーの。もう初日で友達が一人出来たしな」
男「おお、やるな! うちのクラスのやつか?」
女「……まあ、そうだな。で、その友達ってのが目の前のおm、」
男「それじゃあ俺は晴れてお役御免だな! 明日からはそいつに面倒見てもらえよな」
女「…………。あー……男、今のは嘘だ」
男「なんだよ? 見栄張ったのか?」
女「うるせぇ黙れ。いいから俺とお前は今から友達、そうだろう? なぁ?」
男「まず恐喝はやめろ。話はそれからだ」
388:U
11/05/27 21:43:57.06 8OAMFBzK
○また今日も学校へ
男「はぁ……身体がだるい……。(昨日はなんだかんだでアイツに付き合ってて疲れたな……)」
友「よう、男。おはよう」
男「友か、おはよう。珍しいな、こんな時間に教室に来てるなんて」
友「おう、今日は早めに目が覚めたからな。それよりお前、元気ないぞ」
男「そう見えるか? 確かに疲れてはいるが、元気がないという訳じゃないんだが」
友「転校生……女の件か?」
男「……どうしてそれを知ってるんだよ」
友「まあ、な。ここだけの話……あの女には気をつけろよ、男」
男「ん? そいつはどういう意味だ?」
友「女って転校して来る前は色んな親父と寝てたらしいぜ」
男「は? なんだって?」
友「だから、縁交だって。やだよなぁ、うちの学校でも何人かやってそうなやついるけど、実際に身近にいるとなると嫌悪感が半端ないよな」
男「おい、ただの噂だろ。そんなの本気にするなよ。(とはいえ、アイツのことを良く知らないうちに聞いたらそう思うのも無理ないか……)」
友「だってよ、クラスの女子が言うには本人から聞いたって話だぜ?」
男「(女のやつ、また誤解を招くような発言を……。)友、それは何かの間違いだから鵜呑みにするなよ」
友「やけに女を庇うんだな……。お前、まさか……」
男「何を言おうとしてるのか分からないが、それを俺は全力で否定する」
友「本当かねぇ。……あーっと、しまった! 数学の課題やってなかったんだった、急いでやらないと!」
男「え、今日は課題なんて……」
389:U
11/05/27 21:45:47.06 8OAMFBzK
○知らぬが仏というが
女「おい、男。てめぇ、今何を話してたんだ」
男「うおっ、びっくりした! べ、別に聞いて面白い話でもないよ。(流石にこれは言えねーよな……)」
女「ふーん……このあたしに隠し事とはいい度胸だなぁ、おい」
男「いやいや、隠し事なんてしてないって。それよりおはよう」
女「おう。ところで昨日の約束は覚えてるか? 忘れてたらねじり殺す」
男「ちゃんと覚えてるからそれはやめてね」
390:創る名無しに見る名無し
11/05/27 22:07:17.94 Hk+59Z9r
続きを期待
391:創る名無しに見る名無し
11/05/29 02:53:14.87 6kOlJWzv
書き溜め中かな?
392:U
11/05/29 14:41:57.38 iDFXL6cB
てすと
393:U
11/05/29 14:46:15.79 iDFXL6cB
○昨日の話
男「約束って、友達作りと日本語指南の話だろ?」
女「そうだ、よく覚えていたな。特別に褒めてやんよ」
男「そいつはありがとよ。だが具体的に何をすればいいんだ?」
女「そうだな、今は特にねぇよ。指示はまあ、逐一出してやるからせいぜい首を洗って待ってろよ」
男「えーっと……それは『必要ならお願いするので待っててね(はぁと)』って言ってると考えて良いんだよな?」
女「いや、お前はただ犬のように飼い主であるこのあたしの命令をバカみたいに待っていろってことだけど」
男「無自覚なんだろうが、お前は人を怒らせる天才だな」
394:U
11/05/29 14:48:46.11 iDFXL6cB
○午前の授業終了、お昼休みへ
女「あ、男。今日もあたし、昼飯持ってきてねぇんだけどちょっとひとっ走り買って来い」
男「なんでだよ。友達とか言っておいてパシリに使うのかよ?」
女「ちげーし。転校してきたばかりで購買部ってのがどこにあるのか分かんねぇんだよ」
男「なら最初から言え。それ、お前の最大かつ最悪の悪癖だぞ」
女「あ? うるせぇよ。いいから早く買って来いや」
男「ほら、それが駄目なんだよ。人に物を頼む時はお願いします、だろ? まったく……」
女「オネガイ、シマス」
男「なんで丁寧語はカタコトなんだよ……」
395:U
11/05/29 14:51:05.13 iDFXL6cB
○そして購買部へ……
男「つか、これからずっとそうやって人に買いに行かせてたら、パシリさせてるのと何も変わらないっつの」
女「なんと、男は友達じゃなくてパシリだったのか……」
男「パシリじゃねぇよ……って、こんなアホなやり取りしてたら昼休み終わっちまうぞ」
女「ようやくパシリする気になったようだな」
男「そんな気はさらさらねーよ。購買部の場所を教えてやるから一緒に買いに行くぞ」
女「仕方ねぇな、一緒に行って教えられてやるよ!」
男「だからそこはお願いしますだろ……」
女「オネガイ、シマス」
男「……前途多難だな」
396:創る名無しに見る名無し
11/05/29 16:03:32.72 6kOlJWzv
投下乙!
397:U
11/06/04 09:40:06.21 XlX46CNo
○へぇー……っていう
男「ここが購買部だ、場所は覚えたか?」
女「バカにすんな。物の見事に覚えたっつの」
男「そいつはよかった。じゃあ買うぞ」
女「ああ。だがすごいヒトゴミだ……。まさに人がごみのようだな」
男「お前は購買部の前にいるのだ……ってこのネタが分かるかどうかはさておき、正しくは人混みだからな?」
女「人混み?」
男「そ、人が混んでるから人混み。人がゴミみたいにいっぱいいるって訳じゃないからな……ってなんで俺の頭をペシペシ叩く?」
女「《4ヘぇ》。テレビでやってた」
398:U
11/06/04 09:42:53.30 XlX46CNo
○昼食
男「あー、腹減った。もうほとんど時間もない事だし急いで食べよう」
女「金払ってないけどいいのか?」
男「そういやそうだった。今日はお金持ってきたのか」
女「いや、日本のお金は相も変わらず1ゴールドも持ってねぇ」
男「日本の通貨は円だ。一応確認するが、払う気はあるんだよな?」
女「馬鹿にすんな。払う気はありかねない」
男「その言い方だと踏み倒す可能性の方が高く聞こえるんだけど」
399:U
11/06/04 09:54:42.18 XlX46CNo
○放課後
男「ふぅ、やっと一日も終わりか。帰ったら何しようかなぁ」
女「おい、男。ついにお前が役に立つ時が来たぞ」
男「あれ? お前、帰ったんじゃなかったんだな。で、何だよ?」
女「日本のことわざに《塁(ベース)は友を呼ぶ》というものがあるらしいな」
男「得意顔で突然何言ってんだか」
女「つーわけで……磯野、野球やろうぜ」
男「俺は磯野じゃねぇ。(だが友達を作る方法としては間違ってはいないか……。)いいぞ、人数の方は集めたのか?」
女「あたぼーよ、クラスの何人かには声をかけた。皆来るって言ってたぞ」
男「お前にしては手際が良いな。ちなみになんて声をかけたんだ?」
女「放課後になったら体育館裏へ来い、だが何か?」
400:U
11/06/04 09:58:21.37 XlX46CNo
○そして誰もいなかった
男「誰も来ないな……」
女「落ち着け、おそらく日直の仕事やってて遅れてんだよ」
男「そうか……。日直って基本二人でやるものだけど時には十人ぐらいでやる事もあるかもしれないよな……」
女「……なわけねーだろ」
男「だよな……。帰るか」
女「おう……」
401:創る名無しに見る名無し
11/06/05 04:52:25.04 3RyhjtNO
乙です!
これ笑えるなあw 会話のリズムもいいし
続きも楽しみにしてるよ!
402:U
11/06/05 08:41:22.88 5kbiMpYv
>>401
ありがとう。需要ないかもしれないと思ってやってるけどレスもらえるとやっぱ嬉しいね。
書くの遅いけど頑張る。
403:創る名無しに見る名無し
11/06/05 22:59:02.59 5NgX5IR3
面白いよー
404:創る名無しに見る名無し
11/06/08 15:22:29.24 rcvxZ3bU
男は俺妹の京介なイメージだが
女のほうは想像できんな
絵師様の降臨を所望する
405:U
11/06/11 10:42:04.18 8mhkgony
>>403
ありがとう、その一言だけでも頑張れる
>>404
そこまで言ってくれてありがとう
男はまさにそう。お節介やきなところとか
女はまあ新ジャンルだからイメージわかなくても当然と言えば当然かと
ちなみに女のキャラ設定は以下の通り。
背は女子高生の平均的な身長よりも高く、髪はウェーブのかかったブロンド。日本人と白人のハーフなので地毛なのだが染めていると誤解されている。
容姿端麗だが、世間知らずなお嬢様なのが玉に傷。
海外で生活していたため日本語は得意ではなく、盛大に誤って使っている。
箱入り娘であり、俗世間の全てを娯楽媒体や家庭教師による歪んだ知識から吸収したので世間一般の常識を誤解している所がある。
コミュ力も怪しい所があり、勘違いされる事が数々ある。
406:U
11/06/11 10:43:25.10 8mhkgony
○下校
女「あ、そうだ。男、早くあたしの鞄持てや」
男「なんでだよ。自分で持てよ」
女「じゃあ自分で持つからお前の鞄持たせろや」
男「……はい? いやいいって、女に鞄持ちさせてたら傍から見て印象悪いだろ?」
女「鞄持ちは印象悪いのか?」
男「当たり前だろ。お前、鞄持ちを何だと思ってたの」
女「ああ? 友情を確かめるための儀式に決まってんだろ。言わせんな恥ずかしい」
男「俺はまずお前が恥を知るべきだと思うよ」
407:U
11/06/11 10:46:23.35 8mhkgony
○下校2
男「そういえばお前、昨日なんで逃げたんだよ?」
女「に、逃げてなんかいねーし」
男「いや、明らか逃げてただろ」
女「は? いつ? 何時何分? 地球が何回周った時?」
男「お前は小学生か。いいから何か理由があるなら話してみろよ」
女「…………話すと長くなるぞ?」
男「(ん? 女の表情に影が……。何か事情があるのか……?)ああ……俺から聞きたいって言ったんだ。別に構わないよ」
女「昨日は……………。……お前に家を見られるのが恥ずかしくてな」
男「……それで?」
女「だから、お前に家を見られるのがな?」
男「あれ? 話すと長くなるって聞いたんだけど」
408:U
11/06/11 10:49:17.55 8mhkgony
○下校3
女「おい、男。今日あたしんちに来いよ」
男「ん、恥ずかしいとか言ってたのにいいのか?」
女「おう、話したらふっきれた」
男「だけど、男の俺なんかがお邪魔してなんか言われない?」
女「ああ、ノープロノープロ。ただ、手土産は持って来いや」
男「分かったよ。だが土産は催促するものじゃないぞ」
409:U
11/06/11 10:51:10.27 8mhkgony
○手土産を携え、女宅へ
男「で、でかい……」
女「ん? 何がだ?」
男「何がだってお前……。このバカでかい豪邸が本当にお前の家なのか?」
女「バカだと? テメエ、今私の家を侮辱したな」
男「してないからね? ……というかマジなの? お前、すごいお嬢様じゃねーか」
女「…………うるせぇ。早く入れ」
男「あ、ああ……(あれ、なんか怒ってる?)」
410:創る名無しに見る名無し
11/06/13 23:36:48.99 FMv+HngY
続きを
411:U
11/06/19 10:55:41.10 EaoNZIJM
○メイド
男「いやしかし、日本にも本物のメイドさんっているんだな。今までメイド喫茶にしかメイドってやつはいないと思ってたよ」
女「メイド喫茶ってなんだよ?」
男「んー、そうだな。喫茶店の店員がメイドの恰好をしてお客さんをもてなす所だよ」
女「は? 使用人が店で働くとか意味分からん。まさか主人から満足に給金がもらえずに副業でもしてるのか?」
男「違う違う。だから、メイドの恰好しているだけで本物のメイドじゃないんだって。いわゆる偽物のメイドさん」
女「偽物だと? 許すまじ職業詐称……」
男「お客さんは自ら騙されに行ってるんだからいいんだよ」
412:U
11/06/19 10:56:36.07 EaoNZIJM
○天然
女「今帰った」
?「あら、今日は早いのね?」
男「……お邪魔してます」
?「えっとぉ、どちら様かしら?」
女「クラスのやつだ」
男「どうも……同じクラスの男と言います」
女「あら? あらあら! 転校早々お友達が出来たのね? 良かったわねぇ、女」
男「女、この人は?(女のお姉さんだろうか。女と違って随分と物腰が柔らかいな……)」
女「母だ」
男「……お母さん?!(若っ!!)」
母「そうなの。男くんよろしくねぇ」
男「あ、はい、よろしくです……。(女の天然ボケは母譲りか……)」
413:U
11/06/19 10:57:30.11 EaoNZIJM
○母と娘
女「部屋に行く。邪魔しに来んなよ、ババア」
男「ババアって、こんな若いお母さん掴まえて……(振り向かず行っちまった……)」
母「男くん、いいのよぉ」
男「でも、いくらなんでも……」
母「『部屋で男くんとお遊びます。あまり意地悪なさらないでくださいね、お母様』」
男「はい?」
母「あの子はー、そう言ってるつもりなの。日本語下手な娘でごめんなさいねぇ」
男「ああ、なるほど……。(娘ときちんと意思疎通は取れている訳だな……)」
母「娘をお願いねぇ。私に似てお淑やかないい子だから」
男「はい……(お淑やか? いやそもそも私に似てって……)」