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縄文人とオホーツク人:発掘された遺伝子
松村博文(札幌医科大学医学部解剖学第二講座准教授)
耳垢とABO式血液型遺伝子
核DNAは、従来は古人骨試料では断片化が著しく解析が困難であったが、
北海道大学理学研究院の増田隆一准教授や佐藤丈寛(現:名城大助教)らとの共同研究により、
縄文人やオホーツク人の人骨試料からも、その一部の検出に成功している(Sato et al. 2009)。
その一つが耳垢遺伝子である。ヒトの耳垢には乾型と湿型の2タイプがあり、
それらの表現型はABCC11遺伝子上のSNPによって決定される。
耳垢の表現型の頻度分布は集団により異なるため、古くから集団の特徴を示す人類遺伝学的指標として用いられてきた。
北東アジア集団では乾型耳あかの頻度が他地域に比べ圧倒的に高い(80-95%)傾向にある。
そのため、乾型の対立遺伝子は北東アジアに起源をもつと考えられている。
北海道の縄文人14体とオホーツク人30体のABCC11遺伝子を分析したところ、
縄文人の50%が湿型であるのに対し、オホーツク人は84%が乾型であった。
耳垢タイプからも、縄文人の南北両要素の混在とオホーツク人の北東アジア由来が支持される。
同じく増田・佐藤らとの共同研究では(Sato et al. 2010)、ABO式血液型の対立遺伝子頻度の分析も行っている。
縄文人14検体のSNP解析で検出された対立遺伝子は、A(含A101、A102、A201)が32%、Bが23%、Oが45%、
オホーツク人15検体からはAが8%、Bが15%、Oが77%というデータが示され、両集団の頻度構成が大きく異なっており興味深い。
現状ではサンプル数はまだ十分とはいえないが、先史時代の人骨から血液型が解明できたことは画期的であり、
今後の発展が大いに期待できる研究となっている。
>縄文人14検体のSNP解析で検出された対立遺伝子は、A(含A101、A102、A201)が32%、Bが23%、Oが45%
>縄文人14検体のSNP解析で検出された対立遺伝子は、A(含A101、A102、A201)が32%、Bが23%、Oが45%
>縄文人14検体のSNP解析で検出された対立遺伝子は、A(含A101、A102、A201)が32%、Bが23%、Oが45%