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※2023年5月11日 18:00
日本経済新聞
名古屋大学などは11日、新型コロナウイルスワクチンなどの成分になる「メッセンジャーRNA(mRNA)」を99%以上の高純度で製造する技術を開発したと発表した。純度が高まることで発熱などの副作用の抑制も期待できるという。設立したスタートアップを通じて、国産のmRNA製造技術として実用化を目指す。
名古屋大の阿部洋教授と東京医科歯科大学の内田智士教授らの成果で、英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに掲載された。mRNAワクチンはウイルスの目印となるたんぱく質の設計図が入ったmRNAを投与し、体内で目印のたんぱく質が合成されて、ウイルスへの免疫をつける。
ワクチンとして機能させるために鎖状のmRNA分子の端に、たんぱく質の合成に必要で炎症反応を抑える役割がある「キャップ」と呼ばれる構造を作る必要がある。しかし、既存技術ではキャップ付きのmRNAを製造しようとしても純度が60~90%程度にとどまっていた。
研究チームはキャップ付きのmRNAを精製する工夫で、純度を最大で99%以上に高めた。キャップの構造を一部変えて、たんぱく質の合成量を約5倍に増やすことにも成功した。純度の高い少量のmRNAから多くのたんぱく質が作れれば、ワクチンとして接種する量も少なくて済む。より多くの人に供給しやすくなるだけでなく、発熱などの副作用を減らせる可能性もあるという。
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