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9/6(火) 17:40
気温など、気候変動に伴うさまざま環境の変化が農作物に与える影響を再現、解析することができる「ロボティクス人工気象室」を農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)が開発し、2日公開した。国内外で気候変動の影響は既に顕在化しているとされ、現在影響をいかに少なくするかという「適応策」が焦点になっている。開発した人工気象室は人工知能(AI)やスーパーコンピューター(スパコン)といった最先端技術を活用しているのが特徴。農研機構は気候変動に強い新たな品種や栽培方法の開発につなげたいとしている。
このロボティクス人工気象室は、「栽培環境エミュレータ」と呼ばれる人工気象室本体と、作物の大きさや色などの形質情報を収集できる「ロボット計測装置」で構成される。
農研機構によると、エミュレートとは作物を栽培する野外環境を人工的に模擬すること。人工気象室本体は縦横とも約1.7メートル、高さ約1.9メートル。上部に高出力のLEDを設置している。LEDライトで光や紫外線量を調節し、温度はセ氏5~35度、湿度も最大90%まで上げることが可能。さらに、気候変動をもたらす一方で作物の成長を促す二酸化炭素(CO2)濃度を高めることもできるという。
またロボット計測装置は、複数のカメラを作物に平行に移動させて撮影し、作物の形質情報を自動収集できる。遠隔操作でデータ取得や環境条件などが設定できるほか、観察のためにドアを開閉する必要がないために栽培環境を乱さずに頻繁に、かつ効率的な形質測定が可能という。
この装置で取得したデータは高速ネットワークを通じて農研機構が保有するスパコン「紫峰」に転送される。こうして得られたデータをAIがさまざまな気候変動による生育環境の変化が及ぼす熟成度や成長過程への影響を解析する仕組みだ。農研機構が蓄積する病害虫や気象、遺伝資源、各種ゲノム情報などのデータベースと照合する複合的な解析もできるという。
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