19/04/03 13:54:36.24 CAP_USER.net
■「石を使って貝を割る」はいつから、どのように広がった?「痕跡」から読み解く
考古学者は先史時代のゴミを見るだけで多くのことを言い当てられる。太古の昔、腹を空かせた人々が砕いた貝殻の山から、私たちヒトがどこで、どのように、どれくらいの間、暮らしていたのかを読み解くのだ。
科学者たちは現在、同じ考古学的手法を用いることで、ある絶滅危惧動物の新たな側面を解き明かそうとしている。(参考記事:「乱獲で激減、絶滅危惧のラッコ」)
その動物とは、ラッコ。野生のラッコは普段から、貝を石に叩きつけて開けている。道具を使用する数少ない動物の一種だ。研究者たちは、カリフォルニア沿岸で貝を割るカリフォルニアラッコを観察し、石の摩耗具合や捨てられた貝殻の割れ具合を分析して、意外な結論を導き出した。
■貝殻の同じ側に割れが集中していた
例えば、捨てられた貝殻の同じ側に割れが集中していたことから、ここに暮らすラッコの多くは右利きであることが示唆された。かつては類人猿とヒトだけが「利き手」を持つと考えられてきたが、カンガルー、シロナガスクジラ、そして今回のラッコでの調査によって、「利き手」を持つとされる動物の範囲は広がるばかりだ。
3月14日付け学術誌「Scientific Reports」に発表された研究によって、捨てられた貝殻の堆積量や石の摩耗具合から、ラッコたちがいつからこの地で採食を行ってきたのかを推測できることが示された。こうした考古学的方法の有用性を証明できれば、今後、ほかの研究にも使えるようになる。
「ラッコがどれくらいの期間にわたって道具を使ってきたのか、そしてどれくらい道具使用が広がっているのかについて調べられるようになります」と、研究を率いた米国モントレーベイ水族館のジェシカ・フジイ氏は話す。
また、太平洋岸北西部からアラスカにかけて生息するアラスカラッコよりも、このカリフォルニアラッコという亜種の方が道具を使用することが多いことがわかっている。今回の手法を使えば、なぜそうした地域差が見られるのか、という問いに対する答えも見つかるかもしれない。
■ラッコ研究者と霊長類考古学者がタッグ
考古学をヒト以外の動物に応用することはこれまでもあったが、対象は主にチンパンジーをはじめとする霊長類だった。2016年、霊長類考古学者たちは、ヒゲオマキザルが700年も前から石の台を使ってナッツ割りをしてきたことを発見している。
実は、今回の研究は、ラッコ研究者と霊長類考古学者がタッグを組んで行われたものだ。
「ラッコ研究者たちは、ラッコの道具使用について何十年も調査をしてきました」と説明するのは、ドイツ、ミュンヘンのマックスプランク人類史科学研究所のシニア研究者、ナタリー・ウオミニ氏だ。「彼らはこうした行動がどれほど前から行われてきたのかということに関心があり、私たちは、それとは全く別に、考古学をヒト以外の動物にどう応用するかということに関心がありました」
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