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【1月30日 AFP】
軍用ソナーの周波数にさらされたアカボウクジラが、浜辺に乗り上げて苦しんで死ぬという現象は、科学者たちの間で長年知られてきた。その理由は、ダイバーと同じような減圧症にかかるためだと説明する研究論文が30日、英学術専門誌「英国王立協会紀要(Proceedings of the Royal Society B)」に発表された。
クジラは過去数百万年の進化の過程で、水深数千メートルの深海を何時間も餌を探し求めて遊泳できる潜水能力を完璧に獲得してきた。
スペインのラス・パルマス・デ・グラン・カナリア(Las Palmas de Gran Canaria)大学で動物衛生学を研究する、同論文の主執筆者ヤラ・ベルナルドデキロス(Yara Bernaldo de Quiros)氏によると、ソナーの周波数にさらされたクジラはストレスを受け、必死にソナーの発信源から遠ざかろうとして潜水のパターンが乱れるという。
ベルナルドデキロス氏は、クジラのストレス反応が潜水機能を上回り、体内に窒素が蓄積してしまう現象が起きると説明。「アドレナリン注射を打つようなもの」だという。特にある種のソナーはクジラのバランスを損なわせるものだと指摘している。
■異常なクジラの大量座礁
潜水艦を探知するために1950年代に開発された中周波ソナー(MFAS)は現在、主に米国や北大西洋条約機構(NATO)加盟国の海軍が巡回や訓練の際に使用している。
それらの艦船は1960年ごろから、周波数約5キロヘルツのソナーの発信を海中で開始。同時期、特に地中海でクジラが大量に打ち上げられる現象が発生するようになった。
「異常な」クジラの大量座礁は1960~2004年の間に121件確認された。うち少なくとも40件において、海上での軍の活動時間と場所が、大量座礁と密接に関連していたことが明らかになった。
打ち上げられたクジラは外見上は病気やけがの兆候は見当たらず、体重は標準的で、皮膚病変や感染などもなかった。
しかし体内では、減圧症のように窒素が気泡となって血管内に蓄積され、脳内出血を引き起こしていた。死体解剖の結果、さらに他の内臓や脊髄、中枢神経系への損傷も発生していたことが明らかになった。(c)AFP
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