18/07/31 23:32:16.60 CAP_USER.net
火星の環境を変化させ、気温を上げて人類がより住みやすい環境に変えるテラフォーミングの構想は、現代の技術力では実現性に乏しいことが研究者の調査により明らかにされました。
Inventory of CO 2 available for terraforming Mars | Nature Astronomy
URLリンク(www.nature.com)
Mars cannot be terraformed so that we can live there because there is not enough carbon dioxide, scientists reveal | The Independent
URLリンク(www.independent.co.uk)
人類が移住を目指している火星は、平均気温がマイナス43度と非常に低く、大気圧も地球の1%未満という環境です。そんな火星の環境を変化させるために考えられているのが、火星の土壌に含まれる二酸化炭素を大気に放出させ、温室効果によって火星の大気を温めることで氷を溶かし、生活に必要な水を得るというテラフォーミングの方法です。この方法は非常に長い時間がかかることが既に指摘されてきたのですが、今回はさらにその実効性に疑問を投げかける論文が発表されました。
By Kevin Gill
論文を発表したのは、コロラド大学ボルダー校Laboratory for Atmospheric and Space Physics(大気宇宙物理学研究所)のブルース・ジャコスキー氏と、北アリゾナ大学Department of Physics and Astronomy(物理天文学部)のクリストファー・エドワーズ氏の2人。両氏は、NASAの火星探査計画「MAVEN」とESA(欧州宇宙機関)の探査機「マーズ・エクスプレス」などから得られたデータをもとに分析を行いました。なお、ジャコスキー氏はMAVENプロジェクトの主要計画者に名を連ねています。
これまでに得られたデータをもとに火星の土壌に含まれる物質の成分を分析したところ、テラフォーミングに重要な役割を果たす二酸化炭素が必要な量の50分の1程度しか生成できないという計算結果が導き出されたとのこと。また、土壌に取り込まれている二酸化炭素はアクセス性が低い(=取り出しにくい)ために、やはりテラフォーミングのために大気に放出させることは容易ではないことも明らかになっています。
By European Space Agency
この状態でも火星の大気中に二酸化炭素を放出することは可能であり、温室効果は生じるものの、気温の上昇幅は10度程度にとどまるために氷の状態で存在している水を液体に変えることは不可能であると論文では述べられています。
このような状況を踏まえ、論文は「現代の技術では火星をテラフォーミングすることは不可能である」と結論付けています。もちろんこれは1つの科学的見地であるために、絶対的な答えというわけではありませんが、人類が火星に住むことが容易ではないことをまた新たに裏付ける内容といえそうです。
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GIGAZINE
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