18/07/17 22:05:24.55 CAP_USER.net
【7月17日 AFP】経済学では、人は何かのプロジェクトなどに時間やお金を費やしている場合、たとえ成功の見込みが低くても、
なかなか手を引けない傾向にあることが知られている。マウスとラットも、
それと同じような「弱点」を備えているとみられること示す研究が12日、米科学誌サイエンス(Science)で発表された。
経済学者によれば、これには、「サンクコスト(埋没費用)」と呼ばれる要因が関係している。
例えば、ある国営事業がもはや国益にかなっていないにもかかわらず、
せっかく多額の資金をつぎ込んできたのだからという理由だけで資金を投入し続けるのは、意味がない。
長年、研究者らは、こうした問題で動物も人間と同じように行動するのかを研究してきた。
つまり、それまでに労力を費やしたというだけの理由で、対象物に執着心を抱くのかどうかという問題だ。
米ミネソタ大学(University of Minnesota)の神経科学、心理学などの三つの研究室で、マウスとラット、
そして人間についての共同実験が行われた。
論文の共著者、ミネソタ大学のデービッド・レディッシュ(David Redish)教授(神経科学)は結果について、
AFPの取材に「マウス、ラット、人間はいずれも、かなり似たような振る舞いを見せた」と話した。
■「せっかく」たどり着いた、「せっかく」待ったのだから…
マウスとラットは、迷路の四隅にある「餌場」で餌がもらえるよう訓練を受けている。
実験中、「オファーゾーン」と呼ばれる場所にたどり着くと、餌を与えられるまでの待機時間が音で知らされる。
「オファー」を受け入れる場合、マウスやラットは、待機エリアに移動する。そこではカウントダウンのサウンドが流れ、
1秒~30秒間待たなければならない。この実験を受けるまでに、サウンドが何を意味するかは訓練で教え込まれている。
一方、人間の場合は、餌の代わりに動画が用意され、子猫や風景、社交ダンス、バイク事故の様子などを見ることができる。
視聴できるまでの時間はダウンロードバーで示される。参加者は「オファー」を断り、そのまま次の部屋に進むこともできる。
実験では、マウスやラットは、人間と同じく、いったん待機状態が始まると、
その待ち時間が終わるまで待ち続ける傾向にあることが分かった。
「すでに待っていればいるほど、最後まで待ち続けようとする傾向が強くなる」とレディッシュ教授は指摘。
それは、行列に並んでいる人間によく似ている、と話した。
だが、待機にコストがかからないわけではない。実験全体の時間には限りがあるからだ。
つまり、マウスやラットがたどり着いた餌場で餌が出るのを待てば待つほど、実験中に食べられる餌の量自体は減ることになる。
だがこの研究には限界がある。参加したのは65人の人間(大学生)とマウス32匹、ラット32匹のみで、
それぞれに与えられたタスクも全く同じではない。とはいえ、さらなる実験への道を開いたといえる。(c)AFP
※埋没費用〈サンクコスト〉(まいぼつひよう、英: sunk cost 〈サンクコスト〉)とは、
事業や行為に投下した資金・労力のうち、事業や行為の撤退・縮小・中止をしても戻って来ない資金や労力のこと
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AFP
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