18/04/03 02:17:44.66 CAP_USER.net
私たちは苦いコーヒーを甘くしたり、お菓子を作るために砂糖を使っています。
ところが、アフリカの発展途上国には「砂糖で傷口を治す」という民間療法が存在し、
砂糖による傷口治療には医学界も知らなかった有効性があると明らかにされつつあります。
Use of granulated sugar therapy in the management of sloughy or necrotic wounds: a pilot study. - PubMed - NCBI
URLリンク(www.ncbi.nlm.nih.gov)
BBC - Future - The hidden healing power of sugar
URLリンク(www.bbc.com)
URLリンク(i.gzn.jp)
ジンバブエの貧困世帯で育ったモーゼス・ムランドゥ氏は、擦り傷や切り傷を作ったときに、
昔から「傷口に塩を塗る」という民間療法を行っていました。
父親の手元にお金があるときは、塗り込むと非常に痛い塩の代わりに、
塗り込んでも塩ほど痛くならない「砂糖」を使うこともありました。
ムランドゥ氏は常々「塩を塗ったときよりも砂糖を塗ったときのほうが、
早く傷が治る」ということに気づいていたとのこと。
その後、1997年からイギリスの国民保健サービスの看護師として働き出したムランドゥ氏は
「イギリスでは傷の治療に砂糖が使われていない」ということに驚きました。
それ以来、ムランドゥ氏は砂糖で傷口を治療する方法についてウルヴァーハンプトン大学で研究を続け、
砂糖による傷口治療に関するパイロットスタディを成功させたのです。
砂糖による傷口の治療は非常に簡単で、傷口の上に砂糖を塗りたくり、
砂糖の上から包帯やバンドエイドで押さえるだけ。顆粒状の砂糖が傷口付近の湿気を全て吸収し、
細菌が繁殖しづらい環境を保ってくれるのだそうです。
世界には、傷口からの感染を防ぐ抗生物質を容易に手に入れることができない地域がまだまだ残されています。
砂糖による傷口治療が普及すれば、貧困により抗生物質が手に入らない地域でも、
抗生物質の投与と似た治療を行うことができるとのこと。
ムランドゥ氏が行った試験の他、世界各地から砂糖による傷口治療の成功事例が報告されており、
中には抗生物質に耐性を持つ細菌に対しても効果があるという報告もなされています。
長年にわたってひどい足の傷を放置していたため医師に「切断するしかない」と宣告されたジンバブエの首都ハラレに住む女性は、ムランドゥ氏から砂糖での治療法について聞き実践しました。「彼女の足はまだつながっています」とムランドゥ氏は述べています。治療に使う砂糖は低濃度のものよりも高濃度の砂糖が効果的だそうです。
現在、ムランドゥ氏はイギリスで41件の臨床研究を行っている最中で、
国内外の会議で砂糖治療法に関してプレゼンを行っています。
会議の中で「砂糖の摂取を控える必要がある、
糖尿病患者にも使用できるのか?」という質問が寄せられたこともあったそうですが、
ムランドゥ氏によれば糖尿病患者に対しても問題なく使用できるとのこと。
「糖尿病患者は血液中のグルコースを抑制する必要がありますが、
砂糖自体はスクロースです。スクロースをグルコースに変換するには消化酵素であるスクラーゼが必要ですが、
スクラーゼは体内にしか存在しません。
体外にある傷口に砂糖を塗ってもスクロースがグルコースに変換されることはないため、
血液中のグルコース濃度が上昇する心配もないのです」とムランドゥ氏は述べています。
砂糖で傷口を治療する方法に関する数々の成功例が報告されているものの、
ムランドゥ氏は研究資金不足という問題に直面しています。
多くの製薬会社が抗生物質を開発するための医療研究を行っていますが、砂糖による治療法が確立されても、
砂糖を製造していない製薬会社の利益になるわけではないため、
それらの企業から資金提供を受ける望みがほぼないとのこと。
ムランドゥ氏が研究を行っている砂糖による治療法は、
発展途上国の貧しい人々によって非公式に使われているもの。
「ジンバブエからもたらされた砂糖治療の知識が、イギリスの近代医療の現場で医学会に影響を与え、
そしてまたアフリカの人々を助けるために戻っていく。
私がしているのはそれだけのことなのです」とムランドゥ氏は述べています。
GIGAZINE
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