18/01/19 17:24:09.98 CAP_USER.net
我々の身体の表面から内側まで約1000兆個も存在すると考えられる多種多様な在住細菌叢、
つまりヒトのマイクロバイオーム(microbiome)が話題だが、細菌を生かす技術は医薬の世界だけではない。
土木建築の分野でも、細菌を使った研究が行われている。
〈致命的なコンクリートのヒビ割れ〉
例えば、建設大手の鹿島の研究所にもバイオ部門があったりするし、
大成建設も好気性細菌の研究をしたりサッポロビールとバイオ燃料の共同研究をしたりしている。
ただ、これらはバイオマス利用や環境負荷の低い建材の開発などで、
細菌を実際の土木建築技術に応用するといったものではない。
一方、19世紀からの「コンクリートの時代」もすでに100年以上が経つようになり、
いわゆるインフラの老朽化が問題になっている。
橋やトンネル、道路といったインフラ構造物が耐久年数を超え始め、
さらに温暖化などの気候変動がこれら構造物に予測不可能な事態も起こすようになった。
(中略)
コンクリート構造物の劣化対策としては、
高速道路やトンネルなどの耐震補強工事などで行われているような維持管理や補修補強といったメンテナンスがある。
また、コンクリート構造物には、原発などのようにメンテナンスが難しいものもあり、
また高速道路などのように長大で管理コストが莫大になるものもある。
できてしまった構造物はメンテナンスするしかないが、
今後のことを考えれば耐久性の高いコンクリートの研究開発が重要になってくるだろう。
例えば、ヒビ割れの起きにくいコンクリートができれば、コンクリート構造物の寿命は飛躍的に伸びるはずだ。
コンクリート自体が自分でヒビ割れを治癒したり修復したりする、という研究は以前から多く、
建築系の学会や研究者らが集まって国内でも研究会を立ち上げたりしている。
例えば、自然界の雨や空気中の二酸化炭素などを利用する研究(※1)、
コンクリート中にファイバー繊維を混在させる研究(※2)などがある。
ただ、雨を利用するものは日本などのように軟水の地域では難しかったり、
コストの面で引き合わなかったりする。
また、コンクリート中にポリマーなどを埋め込む技術は、コンクリート素材との相性や環境によって予測できない変化を引き起こす可能性も指摘されている。
これらの技術では、特に水や空気中の成分、気温変化などの環境面のハードルが高い。
雨や空気中の二酸化炭素を利用する技術では、修復できるのは0.2ミリまでの小さなヒビに限られ、大量の水が必要となるなど技術的な限界があるようだ。
〈細菌をコンクリートに混ぜる〉
そこで細菌を利用したコンクリートの自己治癒や補修の研究が、にわかに注目を集めるようになってきた(※3)。
これは雨や空気中の二酸化炭素を利用する技術に似ているが、
比較的大きなヒビにも対応が可能で充填能力や結合力も強く、熱による影響を受けにくくコンクリートとの相性もいい。
我々ヒトにも多くの在住細菌叢があるように、
自然界には無数の種類(まだ完全に把握されていない)の細菌が存在する。もちろん岩石の中にもいて、
乾燥や高熱、強酸強アルカリなどの厳しい地球環境の中で生き抜いてきた。
これらの細菌にはタイムカプセルのような胞子を形成し、200年以上も生きることのできるものも知られている。
コンクリートの自己治癒や修復に使える細菌の研究はいくつかあり、
耐アルカリの好気性芽胞形成菌(spore-forming bacteria)を使ったオランダのデルフト工科大のものが有名だ(※4)。
芽胞形成菌は、ストレス環境下で芽胞(固い外皮)を作って土中などで休眠し、環境が回復するのを待つ。
熱や乾燥に強く、炭疽菌やボツリヌス菌などのように病原菌になったり食中毒を起こしたりする。
オランダの研究で使われている芽胞形成菌は、安全性が確認されている種類のもので産業用バクテリア
(Bacillus属、実験モデル生物の枯草菌と同じ種類)として一般的に使われているものだ。
この細菌を休眠させ、餌になる乳酸カルシウムと一緒に微小なマイクロカプセルに封じ込めてコンクリートに混ぜる。
最大幅1ミリまでのヒビを自己治癒できるというこの技術は、
すでに実用化され、日本でも北海道のコンクリート会社と共同開発している。
※は参考文献詳細はソースで
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Y!ニュース
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