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→FRBはランオフ本格化、外国政府や米商業銀行の大半が身を引く
→買い手に乏しく、債券投資家にはさらなる痛みが待ち構える可能性
23兆7000億ドル(約3450兆円)規模の米国債市場のどこを見回しても、最大規模の買い手は退却姿勢にある。
日本の年金基金・生命保険会社、外国政府、米商業銀行などはかつて米国債を手に入れようと待ち構えていたが、今やその大半は身を引いている。そして忘れてならないのはパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長率いる米金融当局だ。9月からバランスシート圧縮を本格化し、米国債のランオフ(償還に伴う保有証券の減少)額を月間最大600億ドルに引き上げたばかりだ。
米国債購入の常連の一つか二つが退却しているのであれば、目立った動きであっても警戒の理由にはほとんどならないだろう。しかし、皆が一斉に身を引くとなれば、懸念材料であることは否定できず、特に異例の高ボラティリティーや流動性低下、過去数カ月の米国債入札の低調などを踏まえれば、特に心配の種となる。
米国債相場が今年に入り、少なくとも1970年代初め以来の大幅下落に見舞われているとはいえ、途切れることのない新たな需要が登場するまで、さらなる痛みが待ち構えているというのが、複数の市場ウオッチャーが指摘する結論だ。借り入れコスト上昇を負担しなければならない米国の納税者にとっても、これは悪いニュースだ。
ウォール街のトレーディングデスクで30年余りにわたり債券取引に携わり、現在はミシュラー・ファイナンシャルのマネジングディレクター、グレン・カペロ氏は「中央銀行や銀行全般が舞台を去る状況にあって、米国債の新たな買い手を見つける必要がある。それが誰かはまだはっきりしないが、価格にもっと敏感であろうことは分かる」と話した。
Hardly Risk-Free/Treasuries suffer steepest losses on record and spiking volatility/Source:ICE,Bloomberg
URLリンク(assets.bwbx.io)
過去十年間、米国債相場の大幅な落ち込みを多くの人々が予想するたびに、各国・地域の中銀を含む買い手が現れて市場を支えてきたのは確かだ。一部が賭けているように、米金融当局がタカ派姿勢から転換すれば、先週見られた米国債の短期的な相場上昇は始まりに過ぎないものとなる可能性がある。
だが、インフレ率が過去数十年ぶりの高水準にあって、金融当局が当面は緩和姿勢に転じることはできず、今回は過去の状況と大いに異なる公算が大きいというのがアナリストや投資家の見方だ。
米国債需要の落ち込みの最も大きな部分を占めるのは当然、連邦準備制度だ。米金融当局の債券ポートフォリオは2022年初めまでの2年間に2倍余りに膨らみ、8兆ドルを上回った。当局推計によれば、住宅ローン担保証券(MBS)を含むバランスシートは、現行のランオフ計画に変更がなければ、25年半ばまでに5兆9000億ドルに圧縮される。
市場をゆがめるような米金融当局の影響が後退するのは長期的に健全であるというのが大勢の見方であるものの、当局の並外れた存在感に慣れた投資家にとって状況の逆転は先鋭だ。
>>2 へ続く
原題:The Most Powerful Buyers in Treasuries Are All Bailing at Once(抜粋)
URLリンク(www.bloomberg.com)
2022年10月11日 9:44 JST
Bloomberg
URLリンク(www.bloomberg.co.jp)