20/07/09 18:17:11.81 CAP_USER.net
Tim O’Reilly(ティム・オライリー)氏には、投資家が投資額の何倍ものリターンを期待して初期段階のスタートアップに賭けるような従来型のVCモデルにダメ出しをするビジネス上の動機がある。アーリーステージのスタートアップに特化したVCであるO’Reilly AlphaTech Ventures(オライリー・アルファテック・ベンチャーズ、OATV)で長年にわたりオライリー氏の投資パートナーとして活動しているBryce Roberts(ブライス・ロバーツ)氏が今、OATVの投資先を選ぶ際にいわゆるハイリスクの企業を避け、すでに収益を上げているが必ずしもブリッツスケール(極めて短期間での爆発的な規模拡大)を目指してはいない会社を米国全土から探し出して投資する方向に意識的に舵を切っているのだ。
しかし、TechCrunchが先週実施したインタビューの中でオライリー氏が語った、純粋に持続可能なビジネスを築こうとする創業者が増える中でベンチャーキャピタルが今のまま投資を続ける意義が薄れ始めている理由は、非常に説得力があるものだった。オライリー氏によると、今のベンチャー業界は、いつか世界を変える可能性を秘めた中小企業を発掘することよりも、富裕層が資産を運用して増やすための金融商品のような感覚で投資を行うことに力を注ぐようになっており、この変化が実際に悪影響を及ぼし始めているという。
今回のインタビューの中から、新規でVC資金調達あるいは追加調達を検討している読者や、VCから出資を断られて綱渡りをするような危機を経験したことがある読者にとって興味深いと思われる部分を以下に抜粋してみた。いずれにしても、42年前に自身もO’Reilly Media(オライリー・メディア)を立ち上げ、今や年間収益が数億ドル規模の企業になるまで成長させた実績を持つオライリー氏の言葉は大いに参考になると思う。
TechCrunch:今年は多くの企業がジューンティーンス(奴隷解放日)を祝いました。これは大きな出来事です。これまでベンチャー業界におけるインクルージョンの推進について多くの議論がなされてきました。実際には、ベンチャー業界のインクルージョンはどの程度まで進んでいる(あるいは進んでいない)のでしょうか。
ティム・オライリー氏:VC、さらにはテック業界全体について言えるのは、この構造的な人種差別の概念は本当に問題だということです。人は「自分は良い価値観を持っているし、悪いことをしたいとも思わない。慈善団体に寄付もしている」、だからそれで十分だと思っていて、問題の根源となっているシステムを修正しようとはしません。
VCが起業家たちを探し出してくるネットワークは今も昔もあまり変わっていません。さらに重要なのは、VCモデルの目標も変わっていないという点です。VC業界には目標があり、それはある特定の財務状態の形をとるのですが、これが本質的に排他的なのです。
なぜそう言えるのですか。
典型的なVCモデルでは、大きく成長する可能性とイグジットできる見込みのある企業を探します。IPOや買収から得られる巨額の財務リターンを求めているからです。すると、創業者は特定のタイプに限定されてしまうのです。私の投資パートナーのブライスは前々回のファンドから、キャッシュフローと収益を確保して持続可能なビジネスを構築しようとするライフスタイル系企業のような、過小評価されている企業を探すことにしたようです。そのような中小企業も、それを創業する起業家も米国から消えてしまいました。VC業界がベンチャー投資を富裕層向けの金融商品のように扱ってきたことがその一因です。
ブライスはある種の「SAFE(将来株式取得略式契約)」を考案しました。ベンチャー企業が十分に収益を上げられるようになったら、創業者は事前に同意された額でそのベンチャー企業をバイアウト(企業売却)できるというものです。ただし、同時に他のオプションも用意されています。一部の創業者はロケットのように電撃的な大成功を収めることがあるからです。しかしこれは、創業者がひたすら走り続けたあげくに使い捨てにされるという意味ではありません。
以下ソース
URLリンク(jp.techcrunch.com)