18/06/21 16:56:33.58 CAP_USER.net
シンガポールの合計特殊出生率は1.25。日本の1.42よりも低く、少子化が深刻な問題になっている。だが、国の将来は明るく、市民は老後に不安を抱いていない。なぜ日本とは状況が違うのだろうか。そのポイントは女性やシニアがいきいきと働ける仕組みづくりだ。共働き率9割、67歳まで賃金は減らない、というシンガポールの取り組みについて、現地に住むファイナンシャル・プランナーが解説する―。
ファイナンシャル・プランナーの花輪陽子です。私はテレビや雑誌でコメンテーターの仕事をしていますが、夫の転勤で、2015年に当時1歳の娘を連れてシンガポールに移住しました。シンガポールに住んでみると、日本よりも進んでいて快適で合理的なところが多く驚かされました。
何より驚いたのは、日本より深刻な少子高齢化社会なのに、労働力の確保、金融システムの発達、次世代の人材を作る教育などで、明るい未来を描けていたことです。拙著『少子高齢化でも老後不安ゼロ シンガポールで見た日本の未来理想図』(講談社+α新書)では、その賢くて合理的な小国の知恵を記しました。ポイントを絞って、その内容をご紹介したいと思います。
日本の2015年の総人口は1億2709万人、生産年齢人口(15~64歳)は7629万人ですが(平成27年国勢調査)、2060年には総人口は9284万人、生産年齢人口は4793万人にまで減少すると予測されています(国立社会保障・人口問題研究所の将来推計)。生産労働人口は実に約4割も減少することになります。「GDP=人口×一人当たりGDP」になるので、一人当たりGDPを向上させていくか、労働力となる人口を増やしていかないとGDPを維持することは厳しいのです。
厚生労働省によると、2018年4月発表の有効求人倍率は1.59倍で、この数年は仕事を探している人よりも、人を探している企業のほうが多い状態が続いています。高齢化社会に伴って労働力がますます不足することは目に見えています。日本人だけですべてをやりくりしようとするのには無理があり、シンガポールのように労働力の重要性をよく理解し、それに合わせた制度設計をする必要があります。具体的には労働力として、女性、高齢者、外国人労働者の活用をすすめることです。
シンガポールの合計特殊出生率は1.25(日本は1.42 2014年)と、日本より少子高齢化が深刻です。しかし女性やシニアが活躍でき、優秀な外国人労働者を確保することで、労働力人口減少の問題を解消しています。
たとえばシンガポールでは、女性が結婚・出産・育児のために労働市場からいったん退出する、いわゆる「M字カーブ」現象は見られません。保育所や外国人家事労働者の支えが充実しているからです。交通システムでは時間差で運賃が変動する混雑緩和政策をとっているため、ベビーカーでの通勤も苦になりません。
女性、高齢者、外国人労働者で労働力を確保
シンガポール女性の「年齢階級別労働力率」を見ると、25~29歳で88.6%、30~34歳で83.3%、35~39歳で80.9%、40~44歳で78.1%が労働市場にいることがわかります。これに対して、日本はそれぞれ79.3%、71%、70.8%、74.3%。全年齢を通してシンガポールよりも女性活用が遅れており、30~34歳の「M字カーブ」が依然として存在することがわかります(国際労働比較データブック2016)。
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その大きな要因は、シンガポールでは女性が働くインセンティブが大きいのに対し、日本では収入を扶養内に抑えようというインセンティブが働く制度設計になっているためです。
日本では2017年10月から育休の2年延長が施行されました。一方、シンガポールでは、出産の1カ月前まで働き、産後3カ月程度で復帰するのが一般的です。無痛分娩や産後ケア、オーガニックミルクが充実しており、保育園や外国人ヘルパーという受け皿が充実しているため、女性の早期職場復帰が当たり前になっています。
そもそもシンガポールには長期育休向けの給付がほとんどありません。このため育休期間が長期化すると収入が途絶えるため、生活が厳しくなってしまいます。さらに、CPF(Central Provident Fund:中央積立基金)という確定拠出年金のような仕組みがあり、育休が長引くと毎月の積立額が減るため、将来もらえる年金も減ってしまいます。その結果、おのずと早期復帰を選択するようになるのです。
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