17/11/06 00:08:03.63 CAP_USER.net
20~30年後に、無年金や年金受給額が低い高齢者が激増するとの懸念が、年金制度に詳しい学者や社会保険労務士の間で広がっている。この十数年間で、アルバイトや派遣社員などの非正規労働者の割合が急上昇。低賃金の労働者が増え、国民年金の保険料を滞納するケースが目立つからだ。典型的なワーキングプア(働く貧困層)の男性の生活状況をもとに考えてみた。
「年金をあてにすることはありません。ずっと働くしかありません」。東海地方のアパートで一人暮らしをする四十五歳の派遣社員の男性に老後について尋ねると、顔を曇らせた。
老齢基礎年金は、保険料を納付した期間(免除期間を含む)が通算で十年に達しないと受給資格が得られない。自らの納付期間について、男性は「保険料を納めた記憶はない。納付期間も分からない」と投げやりな口調。公的年金保険料の納付済み期間などが記載された「ねんきん定期便」が毎年自宅に届くが、いつもすぐにごみ箱に捨てていたという。
男性を説得して、日本年金機構に問い合わせてもらったところ、納付期間は三年だった。年金を受給するためには今後七年間、公的年金の保険料を納める必要がある。
男性は東北地方の高校を卒業後、大学に進学。しかし家庭の事情で二年で中退し、製鉄所で働き始めた。その後、さまざまな工場を転々とし、現場作業員として働いてきた。雇用形態は主に派遣社員で、所属する派遣会社もいくつか変わった。雇用が安定する正社員を目指したこともあったが年齢がネックとなり、かなわなかった。
派遣社員の場合、契約内容によっては厚生年金に加入義務が生じる。男性によると、所属した派遣会社のうちの一社との契約がそれに該当した。その会社に所属した三年間は公的年金の保険料が給料から天引きされていた。
今の仕事は時給が約九百五十円で、月収は約十六万円。派遣先までの交通費は自腹になることが多く、一カ月当たりの負担は約二万円になるという。それに税金や国民健康保険料、介護保険料、家賃を差し引くと、手元に残るのは約七万六千円。月額約一万六千五百円の国民年金保険料は重く、「とても支払えない」と男性はこぼす。
現在所属している派遣会社から厚生年金への切り替えを勧められているが、負担が増えるという理由で断っているという。
食費などを切り詰めて節約生活を送る男性の楽しみは、週に一回、自宅近くの大衆居酒屋に顔を出すことだ。「楽しみはこのくらい。将来のことを考える余裕はありません」。そう話すと、コップについだビールをグイッと飲み干した。
この男性のような年収二百万円以下の労働者は大幅に増えている。国税庁による民間給与実態統計調査によると、年収二百万円以下の給与所得者は二〇一六年は千百三十二万人と、八百五万人だった一九九六年の約一・四倍。また、総務省統計局の労働力調査によると、役員を除く雇用者全体に占める非正規労働者の比率もこの二十年間で、約22%から約38%に上昇している。
収入が低いと、国民年金保険料の納付は大きな負担となり、滞納につながることが多い。厚生労働省が実施した一四年の国民年金被保険者実態調査によると、国民年金保険料の滞納者は全国で三百六十八万人。滞納理由については「経済的に支払うのが困難」が約72%で圧倒的に多かった=グラフ参照。
東京のファイナンシャルプランナーで社会保険労務士の高伊茂さんは「非正規労働者の正社員化を進めるなど、労働者の待遇を向上させることが不可欠。年金保険料を納められるような賃金底上げがないと、年金プア予備軍は減らせない」と指摘する。
URLリンク(www.tokyo-np.co.jp)
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