17/06/22 10:06:51.69 CAP_USER.net
東芝は原発事業の失敗のツケを払うため、半導体事業の売却交渉を本格化させる。同時に、会社本体の再建に必要な主力事業を失うことにもなる。中堅・若手社員は迷走が続きそうな会社の将来をどうみているのか。 (伊藤弘喜)
「福島の事故が起きたのだから、原発は造らない方がいい。廃炉を除き事業から撤退すべきだ」。原発設備の溶接を手掛ける四十代男性は強調する。事故前は定期点検で東京電力福島第一原発を訪れ、事故後も汚染水タンクの据え付け工事に半年ほど取り組んだ。今では「東芝で原発を造っていると周りに言えない」。
「この半年で『原発に将来性はないから』と辞める若い人が増えた」が、自分は会社を辞めない。「私より上の世代は転職先がない。二人の子どもはまだ幼く、会社にしがみつくしかない」のが理由だ。「一生かけて廃炉に関わる」という使命もある。
IT部門の三十代男性も「損失の影響で新規事業が中断し、転職を一時考えた」と原発事業に恨み節だ。それでも会社に残るのは「仲間たちと挑む人工知能(AI)の新規事業がある」からだ。
入社動機となった「技術の会社」という印象は今でも変わらない。だが、経営危機のため、新しい主力事業の開発資金は乏しい。「一本の柱で支えるのではなく、十億円の事業を百個つくるような挑戦あふれる会社にしたい」と願う。
「職場の雰囲気は前向き」と明かすのは、売却に向け優先交渉相手が決まった半導体子会社「東芝メモリ」で働く四十代の男性技術者だ。半導体のフラッシュメモリーはスマートフォンなどのデータ処理を担い、未来は明るい。
「十分な投資をしてくれればまだまだ成長できるので、不安はない。どこに買われてもいい。もう東芝に未練はない」
◆半導体売却 日米韓連合優先
経営再建中の東芝は二十一日、半導体子会社「東芝メモリ」の売却で政府系ファンド産業革新機構や米ファンドなどの連合と優先的な交渉に入ると発表した。韓国半導体大手SKハイニックスも実質的に加わる「日米韓連合」は買収金額約二兆円を提示。株主総会を開く二十八日までに合意し、来年三月までの売却完了を目指す。
連合は革新機構、日本政策投資銀行、米ファンドのベインキャピタルからなる。SKハイニックスと三菱東京UFJ銀行は融資という形で参画する。連合の提案によると、東芝メモリ株の議決権の66・6%を日本勢が握る。
東芝は日米韓連合案が「技術流出の懸念、雇用の確保などの観点から最も優位性が高いと評価した」と説明。米原発事業による巨額損失で資産より借金が多い債務超過に陥ったため売却を急ぐが、三重県四日市市の半導体工場を共同運営する米ウエスタン・デジタルが売却に反対している。
URLリンク(www.tokyo-np.co.jp)