09/04/14 22:24:06 RcBVnGVr
次いで、>>899-900に関して。
>大きく違うのは「処方箋」のラストが、共犯者が死んだと思わせ
>るという、後のコロンボ的ではない手を使っていることと、さら
>に「自供させるのが犯人ではなく共犯者だ」ということ。つまり
>最も重要なところで対決が回避されてしまっており、こんな例は
>シリーズ化後にはない。
まず、表面的な細部に拘泥し過ぎ、全体を見失っていると言い得る。
これは、後におなじみとなるコロンボが犯人に仕掛けるトリックがあの形で顕在化
(共犯者死んだふり)したに過ぎず、この意味で何らの特殊性は無い。
「逆転の構図」等でも発揮されたコロンボ一流のおとぼけの先駆けとなるシーンと言い得よう。
>「金を使わせる」、などというのは単なる外側であり、
この部分は逆にポイント部分を軽視したものとなっている。
コロンボ自身が乗り気でないとおり、ここには結果的に犯人を追い詰めはしたものの、
後の作に見られるが如き、探偵が犯人に仕掛けるトリックの興趣も論理で落とす面白さも皆無。
>クライム物などではまったくない。こちら
>は、きっちりと本格倒叙ミステリのためのラストなのである。
意味不明なくだりと言い得る。
そもそも本格倒叙ミステリなるワードは存在しない。
意味的には、謎解きを主眼とした倒叙スタイルのミステリのことを言いたいのであろうか。
(最近では「容疑者Xの献身」がこれに該当する)
いずれにしろ、「死者の身代金」という作は、偽装誘拐の実行から破綻までを描いた
犯罪ドラマの要素が濃厚な作なのは間違いなく、この点で後の作のような細かい謎解きの興趣は
薄い作ではある。
ただし、もし「コロンボ」がこの方向性を選択していたとすれば、
刑事ドラマとしては、本邦の「太陽にほえろ」が如き多彩なテーストの作が製作された可能性は
ある。オリジナルシリーズの段階で「初夜に消えた花嫁」「だまされたコロンボ」のような作が
あったやもしれぬのだ。