09/06/07 23:29:14 fmP/tWiP
人は本能的に平均回帰を信じようとするが,しかしパーカーが指摘する通り、平均回帰に頼るのは
「トレーディングの戦略としては致命的」なのである。平均回帰を信奉するトレーダーに安らぎを
与える「百年に1一度の洪水」は、実際には2年か3年ごとに発生して彼らの財産を根こそぎ奪って
いくのである。
強かなトレーダーは失敗に動揺しない。失敗したからといってゲームを降りたりはしない。一心
不乱に勝利を追い求め、障害をものともしない。底なしの楽天家なのだ。勝者が獲物を追いかけ
るのは必ずそれを手に入れられると信じているからである。だからストライクゾーンに来たボー
ルは全て力いっぱいスイングし,例え空振りの三振に終わっても気にしない。
「僕は統計を重視する」と言うエイブラハムが、例を挙げて重要なポイントを示した。ある物理
学者が硬貨を手に入ってきて、こう言ったとする。「このコインの裏と表が出る確率は常に50対
50です」。ところが統計学者が入ってきてこう言い返す。「その通り、けれども私が実際にその
コインを100万回放り投げたところ、65%は表が出ました」。ハーバード卒の物理学者は反論する。
「それはあり得ない。表と裏が出る確率は常に50対50になるはずです」。エイブラハムは「どち
らを信じるかい?」と聞いてきた。自分なら終いまで聞かずにこう言う。「なぜこのコインの表
が出る確率が65%なのかはわからないけど、実際に100万回投げたら65%が表だった。その事実に僕
は賭けたい。論理的には誤りかもしれないけど」。エイブラハムはさらにこう付け加えた。「理解
できないからといって、それに賭けないわけじゃない」。結局の所エイブラハムが主張している
のはトム・ウィリスが何年も前に「単に“数字”を取引するんだ」と言っていたのと同じである。
エイブラハムの中の経験主義者が「予期しない大きな出来事が起きるかもしれない」ということを
暗示しているのだ。トレーディングで何度も利益を出すことが出来たのは、あくまで「価格」を
取引していたからだ。