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【経済コラム】政治不信、トヨタ減配、そしてゾンビ再び-ペセック
多くの日本人にとって自民党が意味するのは、善かれあしかれ安定だ。民主党
にとっての鍵は、政権を奪取し、責任政党として国民の信頼を勝ち取り、
日本経済をより進歩的な軌道に乗せることだ。
「失われた10年」
今は誰もが大きな問題の回避に終始している。巨額の財政赤字や歯止めの
かからない人口減少、起業家精神を育てるための税制改正、労働生産性の
向上。衆議院議員の任期が切れる9月までに行なわれる総選挙の前に、
こうした問題はいずれも真剣に議論されてはいない。
バブル崩壊に伴う「失われた10年」では、政府の救済策でかろうじて生き
延びているゾンビのような企業が増えた。墓場からよみがえったこうした
企業が90年代の日本経済を徘徊(はいかい)した。
権力への固執に忙しい政治家にこれから20年、日本がどこへ向かうべきか
考える余裕はない。こうしたことが、トヨタやソニーといった優良企業の
将来にさえ影を落としている。
トヨタは今月、初の減配を発表し、多くの人を驚かせた。10年前、ゾンビ
企業をめぐる懸念が日本経済を揺るがした。トヨタはゾンビとは程遠い
存在だが、そのトヨタの災難は沈滞した政治が企業の力さえも危うくする
ことを示している。
世界の危機と日本のリセッション(景気後退)にすべての注目が集まって
いるが、日本が戦後苦労して引き上げた生活水準を維持する措置を講じる
ことも極めて重要だ。中国やインド、東南アジアがアジア一の経済大国で
ある日本と競合し始める前なら、それはもっと容易だったはずだ。
今回の辞任劇が、麻生首相に地下室の扉を開いたことになるのかもしれない。
リスクは、自民党総裁である麻生首相が総選挙までゾンビのように自民党
を率いることだ。今こそ新鮮な血が必要な時だ。そうでなければ、
日本経済、それにトヨタのような優良企業も、自身がゾンビになるのを目
にすることになるだろう。(ウィリアム・ペセック)
URLリンク(www.bloomberg.com)