09/10/25 15:40:25 HM7Lzg+f
>>16の続き
しかし、淋しい人だったんだなとは思った。
ひとつは加藤氏自身がそうだったこと。
そして非難ではないが、病気がちの年老いた母を残しての自殺は、何か
引っかかるものがある。
親孝行しろとは言わない。
しかし、御自身の命が「自分だけのものだ」と考える戦後教育が、彼を
とても「淋しい人間」にさせていたような気がする。
先祖から親、今の自分、そして未来の子孫たちへと連なる「いのち」の
時間軸、これを実感できていなかった不幸が、その淋しい人にさせたような
気がする。
彼は才能ある音楽家だったから、年老いてきて、ついに、軽佻浮薄で偽善
だらけの戦後日本と一体になって生きた自分の虚しさ、哀しさに気付いた
のかもしれない。
晩秋の冷たい風のように、彼のこれまでの人生を冷え切らせたのかもしれ
ない。
彼は、昔、仲間の北山修や杉田次郎の作った「戦争を知らない子供たち」
をつまらぬ曲として、一刀両断したそうである。
しかし、晩年になって「戦争を知らない子供たち」である団塊の世代が、戦後
日本社会によって、共同体意識のないバラバラの諸個人に分解され、救い
ようのない「孤立」「孤独」地獄に墜ちていること、存在の「淋しさ」とも言う
べき恐るべき不幸に気づいてしまったのかもしれない。
彼は、死という人類共通の共同性に回帰したかったのかもしれない。