09/10/25 15:08:54 HM7Lzg+f
>>14の続き
明治維新は、西郷の体現する日本「精神」と大久保が引き受けざるを得な
かった西欧近代主義的国民国家イデオロギーの「両輪」で推進されるのが
理想だった。
西郷の死は、明治維新の基となった日本「精神」が、西欧近代主義的イデ
オロギーに圧倒され、追い詰められ、滅ぼされていく姿だった。
西郷のイメージする「日本」は、西欧近代の知識を得て物質的な近代社会
と国民国家を成立させるよりも、まず天然自然を敬い、人を愛する「日本」
の保守であった。
西郷の「天」のイメージは、単なる空間的な自然概念ではない。
過去・現在・未来の時間を基軸とする時空一体の天然世界であり、空間の
拡大と充実を基とする西欧近代主義の世界観と真っ向から対立する。
この一種の時間的アニミズムの世界観は、日本人を含め、古モンゴロイド
各民族(南北ネイティブアメリカン・台湾高砂族等)特有の共通性があり、
これからの二十一世紀をリードする世界観たり得るものだと私は考えている。
しかし、現実世界は全く逆の方向に進んでいる。
江藤淳は大東亜戦争は世界に対する「西南の役」だったと述べたが、敗戦
後、保守合同で発足した自由民主党は、経済的に豊かな生活の実現と自主
憲法制定に象徴される「日本」復活の二本柱で出発した。
立党宣言がそれである。
まさに明治維新初期の二重構造である。
しかし、明治維新がそうだったように、戦後日本の経済発展の中で、「日本」
は自民党の中から次第に消え去っていく。
安倍内閣の誕生と崩壊が小さな最後の「西南の役」だったごとく、自民党内
にあった「日本」は終焉し、戦後六十数年にして、自由民主党は、民主党と
変わらぬ物質的「生活保護」政党に堕した。
それが今回の民主党政権を誕生させたのである。