09/11/21 18:08:54
>>416
例えば、それは夏の夜。祭囃子を遠くに、縁側に腰かけ、花火に興じる。
じっと、線香花火を見つめる。そしてそれが消えたとき…
「はい、まだまだあるよ」
例えば、秋の夕暮れ。川縁を歩いて、家路を辿る。
とんぼがつがいで飛んでゆく。今日は終わりだけど、終わりじゃない。
「ねえ、明日はさあっ…」
例えば、凍てつく冬。白い町。つるつる滑って学校に向う。
はあはあ白い息吐いて、他愛ない話をする。
「それでね、それからねっ…」
「………」
「聞いてる…?」
「ああ、聞いてるよ」
「うんっ…あのね、それからねっ…」
例えば、春。緑萌ゆ春。
すべては陽光を受け、きらきらと輝き出す。まばゆく。
出会って、いろんな人と出会って。ひとつひとつが小さな幸せだ。
それを集めて、たくさん集めて。
「知ってる…?」
「ああ。知ってる」
中心にはいつも君がいる。