09/11/05 01:18:53 t0SQdYb7O
程なく豊は戻って来た。何やら誇らしげに勝己に手渡す。
「こ、これは…。」
勝己が受け取ったのは『JRA有馬記念缶』。勝己&ダイワスカーレットがデザインされていた。
豊はベッドに腰掛けている勝己に寄り添うと、勝己をじっと見つめていた。
視線に気付かぬ振りをして勝己は、スカーレット麦酒を一口含む。
「やっぱり勝己さ…うっ…」
突然口を塞がれた豊は、勝己の柔らかな唇を愉しむ余裕がない。
麦酒が一気に豊の喉を通ると、感じた事のない甘美な世界が豊を包んだ。
禁断の口移し。これこそ豊が条件付きで望んだ行為だったようだが、こんなにも官能的とは…。
豊の想像を遥かに超える勝己のテクニック。豊は益々勝己の虜になっていった。
今にも蕩けそうな豊が満面に笑みを湛えて勝己に尋ねる。
「どうして? あの日、楯は獲れなかったのに…。」
勝己は再び缶麦酒を手にすると、描かれた相棒の勇姿をいとおしげに眺めて言った。
「スカーレットは、ウオッカの親友だから。」
豊は一瞬きょとんとしたが、勝己の言わんとする事が何となく分かった。
差し込む光が二人を照らした頃、傍らには数多の空き缶が転がっていた。
完。