09/11/01 15:26:32 vdHckVpcO
スピリタスをあおってほろ酔い気分で抱き合う二人。勝己はこんなときでも右手に煙草を燻らせていた。
旨そうに酒と煙を交互に呑む勝己の顔に暫し見惚れていた豊だったが、いい加減痺れを切らし唇をせがんだ。
「しょうがないなぁ。」苦笑しながらも嬉しい勝己は豊の唇に自分の唇を押し当てると、口に含んだ煙草の煙を思い切り豊の体へ流し込んだ。
「タバコキャットの味はいかがかニャ?」勝己がおどけてみせる。
負けじと豊が言い返す。「それはタバスコでしょ(笑)。もの凄く美味いよ。」
少し噎せた豊だが、勝己から直接貰う煙草の味は格別だった。
「勝己さん、お願いがあるんだけど。」
「何だい改まって。」
「さっきのスピリタスを今みたく口移ししてくれないかな。まだ残ってるでしょ?」
「え、スピリタス!? ・・・駄目だよぉ豊ちゃん。一着期待してたんだからぁ。」
「・・・!!」
「いや、冗談だよ冗談。君も馬も無事ならそれでいいんだ。悪かった。でも何で俺の口から欲しいんだい?」
「だって勝己さんの口から酒を貰えたら、どんなにキストゥヘヴンかなって。」
「ははは。じゃあ、楯を獲ったらな。」
聞いて豊の瞳は少年のように輝いた。「本当? 約束だよ。ここから酒を僕に・・・。」
豊が勝己の口元に手をやろうとした瞬間、反射神経の鋭い勝己は豊の手をぎゅっと掴んでこう言った。
「ああ。ウオッカで乾杯しよう。」勝己は豊の手に口付けた。
果たして二人は乾杯できるか。