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高橋紘『天皇家の仕事』から抜粋
八九年九月十二日、文仁親王(秋篠宮)と川嶋紀子との婚約について皇室会議が
開かれたときには、衆院副議長の代理として予備議員の衆院議員が出席したが、参
院議長の代理は予備議員が出張していたため出る人がなく、九人で開かれた。
皇太子婚約に関する皇室会議は、まず宮沢議長が午前八時半開会を宣言―、続い
て冒頭のように「議決を求める」と促した。宮内庁長官が相手の人柄や家族構成、学
歴、選考経過などを説明、写真なども添えられた。
最後に質問の時間があったが、今回はとくになく、直ちに採決に移り、様子をみて議
長が、「本件を可とする方はご起立を願います」と延べ、一同が起立して「可決」が宣せ
られた。この間約三十分だった。
いまの天皇の婚約を決めた皇室会議は、五八年十一月二十七日午前十時から開か
れた。このとき、議長の岸信介が、本人はキリスト教系の学校の出身で宗教上の問題
はないか、と質した。
これに対して宮内庁長官宇佐美毅は、「美智子嬢の学校はカトリックだが、本人は洗
礼を受けておらず宮中祭祀との関係は問題ない」と答えた。宇佐美の述懐では、「民間
出身の美智子さんが宮中に上がることに反対する人たちが、神道とキリスト教の関係を
衝いた。そこであえて会議の場で岸さんに質問を願い、私が公の席で否定した」という。
皇室会議の決定は直ちに天皇夫妻、皇太子、各宮家などに伝えられる。いまの天皇
の婚約のときは、決定の日の午後、正田美智子が両親と一緒に、初めて昭和天皇と会
った。その後両親と揃って記者会見に臨み、皇太子の魅力を「とてもご誠実で、心からご
信頼申し上げ、ご尊敬申し上げていかれる方だというところに魅力を感じました」と語った。