17/01/20 14:42:53.13 CAP_USER9.net
AV女優の実態を描いた『名前のない女たち』シリーズ。最新刊『貧困AV譲の独白』では、「貧困」に焦点を当て、18人の女たちの壮絶な過去と現在を著している。本書のなかから一部を抜粋して公開する。
■突然の電話
「私さ、元AV女優だけど。取材してもらいたいんだけどさ。暇なんだよね」
井上沙耶(仮名)という元AV女優から突然電話があった。2004~2005年に企画AV女優をしていたそうで、年齢は37歳。とにかく暇なので取材して欲しいという。
神奈川県某市に向かった。駅から徒歩15分ほど。言われた住所は古い住宅街で、築40年以上と思われる老朽した木造アパートがあった。
一般的な所得があれば、決して住むことはない老朽住宅だ。
2004年といえばAV女優志願者が増え、スタート地点に立つまでの競争が始まっていた時期で、元AV女優ならばそれなりのスペックを持っているはず。
引退後も水商売や風俗に流れれば、それなりの稼ぎはあるはずで、老朽住宅に違和感があった。
住所を間違えたかと思い連絡すると、一番手前の部屋の扉がひらき、肥えた中年女性が現れた。彼女が井上沙耶だった。
現役時代から30キロ以上太り、とても同一人物には見えない。
「これ、男の家。居候。暑いから中入れば」
部屋の中は臭い。吠え続ける子犬がいて、ゴミだらけの部屋は埃や動物の糞尿やタバコの匂い、体臭が入り混じる。床は油っぽく、絨毯は湿っている。