16/12/26 10:46:47.17 CAP_USER9.net
12月15日、山口県長門市で、翌16日は東京で行われた安倍晋三首相とロシアのウラジーミル・プーチン大統領の首脳会談については、マスコミの評価は「北方領土問題で何の前進もなかった」「経済協力だけ食い逃げされた」という手厳しい論調が多い。
しかし、外務省で長年、北方領土交渉を最前線で担っていた筆者から見れば、今回の日露首脳会談は、大成功だった。北方領土問題の解決に結びつく道筋を整える歴史的意義を持つ。外交における成功や失敗は、当初に設定していた目標をどの程度達成したかによって評価される。日本政府は今回の首脳会談で形式だけでなく、実質的に領土問題、経済協力を含む重要事項について交渉できる環境が整えられることを目標にしていた。この目標は十分に達成された。
16日に東京で行われた共同記者会見でプーチン大統領は、「(安倍)首相の提案を実現していけば、この島は日露間の争いの種ではなく、日本とロシアをつなぐ存在になり得る可能性がある。(中略)首相の提案とは、島での経済活動のための特別な組織を作り上げ、合意を締結し、協力のメカニズムを作り、それをベースにして平和条約問題を解決する条件を作り上げていく。われわれは、経済関係の確立にしか興味がなく、平和条約は二次的なものと考えている人がいれば、これは違うと断言したい。私の意見では、平和条約の締結が一番大事だ」と述べた。わかりやすく言い換えると、歯舞群島、色丹島、国後島、択捉島で日露双方の法的立場を毀損(きそん)しない形態で経済協力を行うことで信頼関係を強化し、1956年の日ソ共同宣言で合意された平和条約締結後の歯舞群島、色丹島の日本への引き渡しの環境整備をしていくという考えだ。
安倍首相もロシアに対して譲歩し、「四島の帰属に関する問題を解決して平和条約を解決する」という1993年10月の東京宣言の内容を一度も述べなかったことだ。これは、四島の帰属問題に焦点をあてた「東京宣言至上主義」から、日本政府が離脱したことを示す重要なシグナルだ。
日露両国は、領土問題をまず解決するという「入口論」から、包括的かつ戦略的な関係を発展させて、その結果として近未来に領土問題の妥協的解決を実現するという「出口論」に交渉方針を転換したのである。北方四島における共同経済活動が来年前半に始まれば、歯舞群島と色丹島が数年以内に日本に引き渡される可能性が十分ある。(作家・元外務省主任分析官)
【佐藤優コラム】北方領土問題解決へ「大成功」日露首脳会談
2016年12月25日15時0分 スポーツ報知
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