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残業180時間「事故死原因」遺族がパン店提訴へ
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兵庫県明石市の男性=当時(28)=が勤務後に車で帰宅中、居眠りで交通事故死したのは、長時間労働を放置し
安全配慮義務を怠ったためだとして、家族が近く、勤務先のパン製造販売店の経営会社「NAGASAWA」(姫路市)などに対し、
約1億1700万円の損害賠償を求めて神戸地裁姫路支部に提訴する。
NAGASAWAは兵庫県内を中心にパン製造販売店「ヤキタテイ」を展開している。
訴状によると、男性は2015年2月2日深夜、勤務を終えて単身赴任先の宝塚市から車で帰宅中、稲美町内で居眠りをして
ガードレールに衝突する事故を起こし、死亡した。
男性は、宝塚市内の店舗でパンの製造や材料の発注、売上管理など幅広く担当し、タイムカード上の就業時間は
1日当たり11~16時間。亡くなる前の1年間の時間外労働は毎月130時間を超え、最も多い月で180時間に達し、
疲労の蓄積が顕著だったとする。
店長に次ぐ役割を担い、売り上げのノルマにも苦悩。「忙しすぎる」「疲れた」と周囲に漏らし、約70キロあった体重は
事故直前には53キロだったという。
家族側は「一家の大黒柱を失い、残された幼い娘にとっても精神的な動揺は極めて甚大」とし、「会社は勤務状況を把握し、
社員を守る義務がある」と訴える。妻(26)は「娘に会うため赴任先から帰宅中だった。命と引き換えにしていい仕事なんてない」と話す。
会社側は「タイムカード上の時間全てが労働時間とは言えず、長時間労働を強制したこともない。事故との因果関係はない」としている。(宮本万里子)