16/05/30 10:48:45.13 CAP_USER9.net
伊勢志摩サミットは日本外交覚醒を印象づけた (大阪大教授・坂元一哉)
主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)は、テロなどの突発事件で混乱することもなく、無事終了した。
近年、新興国の台頭によって、サミットの重要性が薄れたといわれることがある。
だが新興国の台頭も基本的には、サミット参加諸国がリードしてきた自由世界の
平和と繁栄のなかでの台頭である。いまその自由世界の基盤を揺るがす事態が、
テロ、難民、ウクライナ問題、南シナ海問題など、次々に起こっていることを考えると、
それらに対応するサミットの重要性は、むしろ増していると考えるべきだろう。
日本外交にとってのサミットの重要性はあらためていうまでもない。
国連安保理の常任理事国ではない日本にとって、この首脳会議は、
日本が世界政治に継続的に発言力を持つための最も重要な場である。
(中略)
安倍首相は本来ならば、8年前の洞爺湖サミットでホストを務めるはずだった。
当時の日本を思い出すと、国民の政治に対する関心は、まずもって本格的な
政権交代の可否にあり、外交論議は、歴史認識問題や憲法9条の解釈問題に、
かなりのエネルギーをとられる状況がまだ続いていた。また日本を取り巻く安全保障環境も
いまほどは厳しくなかった。
だが国民の目を内向きにしていたそうした事情は大きく変化した。
安倍首相は、その変化を背景に、今回のサミットでは、世界経済を牽引するための
参加国間の政策協調や、自由世界の安全保障のための団結などで指導力を発揮し、
世界の日本に対する期待をまた一段、高めることができた。世界を飛び回る
その積極外交と合わせて、伊勢志摩サミットを、日本外交の覚醒を世界に
印象づけるサミットにしたのではなかろうか。
サミット終了後、オバマ大統領は米国大統領として初めて原爆ドームを訪れ、
広島、長崎の犠牲者を追悼した。日本政府も関係者も大統領に謝罪を求めなかったが、
賢明だったと思う。両都市への原爆投下は、残虐な方法で無辜(むこ)の市民を
大量虐殺する非人道行為であり、謝罪されても、誰も許すことができないからである。
その前提でだが、オバマ大統領と安倍首相が一緒に原爆犠牲者を追悼したのは
とてもよいことだった。核兵器が二度と使われないようにする世界の努力にとって望ましいし、
日米両国が、文明の相違や過去の問題にもかかわらず、サミット参加国として
自由世界の将来のために協力する。その姿勢を確認することにもなったからだ。
URLリンク(www.sankei.com)
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