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毎日新聞 5月23日(月)7時32分配信
リビアが核兵器開発のため租税回避地などを経由して行った送金(2000~03年)
【ワシントン会川晴之】極秘裏に核兵器の開発を進めていたカダフィ政権時代のリビアが、世界各地のタックスヘイブン(租税回避地)を隠れみのにして関連機器の代金を支払っていたことが、毎日新聞が入手した資料で22日判明した。送金回数は57回、当時の為替レートで総額1億1000万ドル(約130億円)に及ぶ。この情報は米英の情報機関も把握している模様だ。匿名性が極めて高い取引が可能な租税回避地が、国際安全保障上の重大な脅威である違法な核開発にも悪用されていたことが明らかになった。
租税回避地を使ったテロ・犯罪組織や国家関連の秘密取引や資金洗浄の疑惑は「パナマ文書」に基づく報道でも暴露されており、26日に開幕する主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)でも対応策が打ち出される。
リビアは核兵器の製造や取得を禁じる核拡散防止条約(NPT)に加入していたが、1997年、極秘裏に核兵器開発計画の実施を決定した。米国との交渉力を増し、事実上の核保有国とされ敵対関係にあるイスラエルに対抗するなどの理由だった。
核開発に必要な機器を調達するため、リビアはパキスタンの「原爆の父」と呼ばれるA・Q・カーン博士が築いた「核の闇市場」に接触。原爆に使用する高濃縮ウランを製造する遠心分離機や、核兵器の設計図などを次々に入手した。毎日新聞が入手した送金記録は、この当時のものだ。
記録はリビアと「闇市場」との取引が本格化した2000年3月から03年9月までの3年半に及ぶ。それによると、送金は中東の金融センターであるレバノンの金融機関など複数の銀行から行われた。振込先の多くは、租税回避地だったスイス、リヒテンシュタイン、ラトビアやアラブ首長国連邦のドバイなどの金融機関に開設された、偽名口座や実体のないペーパーカンパニーの口座だった。実質的な受取人は、カーン博士の「右腕」と呼ばれたスリランカ出身のタヒア氏や、ドイツや英国出身者とされる。
一方、資料には、リビアが北朝鮮から入手した原爆用核物質の代金と見られる送金記録も含まれている。02年7月にドバイ、9月にはマカオに口座を持つ北朝鮮のフロント企業に、約400万ユーロ(約5億円)が振り込まれた。送金には、米ドル、ユーロ、スイスフランなど複数の通貨が使われている。この年、北朝鮮は核の闇市場の仲介で、高濃縮ウランの原料である六フッ化ウランを輸出しており、送金はその代金と見られる。
その後、米英の情報機関がリビアの核兵器開発を察知。03年10月にイタリア当局がリビア向けの遠心分離機を満載した貨物船を臨検して積み荷を没収し、米英が開発阻止の圧力を高めた。このため当時のリビアの最高指導者カダフィ大佐は同年12月、核兵器を含む大量破壊兵器計画の断念表明に追い込まれている。
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