16/04/27 23:53:40.45 CAP_USER*.net
パリに本部を置くNGO「国境なき記者団」が発表した「報道の自由ランキング」で、日本が180ヵ国中、72位とされたと伝えるテレビ朝日の報道ステーションで、ジャーナリストの後藤謙次さんが、「実感がない」とコメントしたことが、一部ではかなり批判をされていた。
だが、「実感がない」というのは、かなり控えめな言い方ではないか。
ピンとこないランキング
このランキングで47位のポーランドでは、昨年暮れに憲法裁判所の権限を大幅に制限する法律を作り、さらには今年1月、公共放送や通信社を国有化し、幹部人事を掌握するなど、報道機関の独立性を制限する法案が成立。
政府は直後に公共放送のトップを交代させた。これについて、EU欧州委員会が予備調査を始めると報じられている。
67位のハンガリーの現政権も、一足先に裁判官の退職年齢を早めたりメディア規制の法律を次々に行ってきた。70位の香港では、中国共産党に批判的な書籍の出版や販売を行っていた書店の関係者5人が失踪し、中国当局が強制的に連行した可能性が指摘されている。
71位の韓国では、産経新聞の記者が朴槿恵大統領の名誉を毀損したとして刑事裁判にかけられ、最終的には無罪となったものの、長期にわたって日本に帰国できず、検察は1年6月を求刑した。
そうした国々よりも、日本は「報道の自由」が低いと言われても、私もピンとこないのが本当のところである。
「国境なき……」によれば、ランキングのためのデータとして、メディア関係者や弁護士、学者などに87の質問に答えてもらっているというが、主観の入る問いが多いわりに、どういう人たちが選ばれ、どのように評価対象を割り振っているのかもよく分からない。
評価のために一定のものさしが各国に当てられているかどうかも不明だ。
海外との比較は、具体的な制度のあり方について、各国と比べて日本の状況を評価したり、外国のよい所を取り入れて日本の制度改善に役立てるためには大いにやるべきだと思うが、漠然とした「報道の自由」を比べた「国境なき…」のランキングからは、私自身は学ぶところがあまり感じられない。一海外NGOの評価として参考にするのはいいにしても、ランクの低さに衝撃を受ける必要もないのではないか。
安倍政権が萎縮の主要因なのか
ただし、だからといって、日本のメディア状況がよいと思っているわけではない。逆に、以前に比べて、非常に窮屈な感じがしているし、現場が萎縮しているというのも、その通りだと思う。
メディアの質、表現の自由のありよう、将来への展望も含めて、私は今、非常に危機感を深めている。
また、自民党がテレビ局幹部を呼びつけた事情聴取、1つの番組だけでもテレビ局に電波停止を命じる可能性に言及した高市総務大臣の発言など、現政権は報道の自由という観点から見て、問題のあるふるまいが多い、と思う。
高市総務相は、日本における「表現の自由」を調べるため来日していた国連特別報告者のデービッド・ケイ氏(米カリフォルニア大アーバイン校教授)の面会要請を拒んだことも、残念だ。
何かにつけ「国際社会と連携して」と語る安倍政権の閣僚としては、面会して説明を果たすべきだったろう。
首相の記者会見も、民主党政権時代には私のようなフリーランスにも質問の機会があったが、安倍政権になってからまったく無視されていて、質問者は記者クラブから数名と外国プレスから1人というのが今や定番だ。
ただ、果たして安倍政権が、今のメディアの萎縮を招いている主要因なのだろうか。あるいは、現政権が退陣すれば、状況は一挙に好転するのだろうか―。それを考えてみると、どうもそうではないような気がしてならない。
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