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パナマ文書と中国 習政権の「反腐敗」を疑う
主張2016.4.26 05:02
「反腐敗」を掲げる中国の習近平政権は、パナマ文書の問題を解明する気があるのか。
各国首脳らとタックスヘイブン(租税回避地)の関係などを暴露した文書からは、習国家主席ら中国共産党の中枢である政治局常務委員7人のうち3人の親族の名前が見つかっている。
故毛沢東主席ら元指導者の親族5人も含まれていた。
共産党の一党独裁下で、党のエリート層が特権的地位を利用し、巨額の蓄財を続けてきた。一般国民はそう思っている。
だからこそ、習主席は腐敗・汚職追放の名の下に、軍の元トップや地方の党の大物らを次々と摘発してきたのだろう。
ところが、最高レベルの現・元指導者らの周辺に疑惑が持ち上がるや、当局は国内で徹底的な情報統制を敷き、外務省報道官は「雲をつかむような話にはコメントしない」と外国メディアの質問を一蹴する。
これでは、腐敗を取り締まる側が腐敗していると指弾されても、仕方がない。
習主席に関しては、義兄が租税回避地の英領バージン諸島に3社を保有していた。1社は解散し、2社は総書記に就任した2012年から休眠状態だという。
ただちに不正と断じにくい形となっているが、腐敗でないというなら堂々と説明すればよい。
実際、文書に名前が挙がった民主主義国の指導者らは、事実関係について釈明したり、明らかに不適切な場合は辞任したり、説明責任を果たしている。
それができないのは、共産党独裁体制が都合よく資本主義を利用しようとした、いびつな国のありようが根底にあるからだろう。
中国の政治・経済体制は透明性に欠け、民主化を求める知識人らへの弾圧や党指導部批判の封殺が続く。一方で、世界第2の経済大国でありながら、経済統計の不確かさも指摘される。
先の20カ国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁会議では、情報開示の徹底など、不当な租税回避を封じる国際的な枠組みの整備を確認した。
今年9月に中国・杭州で開かれるG20首脳会議でも、主要な議題とすべきだ。
今の習政権の振る舞いは到底、議長国に値せず、国際社会の信用を得ることはできまい。
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