16/04/20 08:33:49.08 CAP_USER*.net
米国テスラが発表したモデル3に僅か2週間で40万台の予約が殺到しています。
私は、自称テスラ・シンドロームウオッチャーですが、その日本の経済・社会に対するインパクトは計り知れないと思い、皆様に私の考えをシェアさせていただきます。
日本では「若者の車離れ」と言われて久しいですが、かつて自動車が売れに売れた時代がありました。昭和40年代の高度成長期に始まり、
平成バブルで頂点に達しまた。売れた理由は2つあります。若者にとっては、「女の子にモテルためのマストアイテム」でした。
「車を買って彼女とドライブ」が動機で、セダンよりはスポーツタイプ、国産よりは外車がもてはやされま した。
一方、ニューファミリー(もはや死語ですが)にとってはカラーテレビと共に、多摩ニュータウンに象徴される新しいライフスタイルをもたらしてくれました。
ところが、「失われた20年」を経て、特に都会では、もはや車はモテアイテムでもないし新しいライフスタイルも提案してくれません。
下手に外車なんかに乗っていると「バブリー」「車おたく」という誹りを受けます。人々の価値観が「所有」から「共有」へとシフトしているなかで、
車はレンタカーで十分、無駄に車にお金をかけるのは格好悪いという風潮が芽生えてきています。「今の若者はお金がないから車が売れない」
という言説をよく聞きますが、価値をもたらせば売れるはずです。昭和40年代の若者は今よりもっと 貧しかったけれど、
年収以上の借金をしてカローラを買いました。
そこでテスラです。私はテスラは、「車(もの)」ではなくて「新しい価値観」を売っているのだと思います。日本ではあまり報道されていませんが、
イーロンマスクは、Wallという自宅設置型の蓄電池と太陽電池を車とセットにして、100%電気の自給自足生活をアピールしています。
太陽光で発電し、家の電池や車に蓄えて使う。究極のエコです。日本でこうしたことを言うと、原子力問題や気候変動などの
思想・信条と絡められて受け止められることが多いのですが、イーロン・マスクは「自動車でも家庭でもゼロエミッションってCoolじゃないか」
という消費者のエモーション(心情)をくすぐって、消費行動に繋げているので す。私は、このやり方に全面賛同するし、
私自身も「エコをクールにマネタイズ」というビジネスモデルを構築しようと、いろいろアクションを起こしていますので、
ご興味がある方はどうぞ私のブログに遊びにきてください。
さて、自分の宣伝はさておき、今、トヨタ自動車を震撼させる出来事がアメリカで起きています。鳴りもの入りで売り出した、
プリウス・プラグインハイブリッド車(PHV)が全然売れていないのです。先月、米国市場でテスラのモデルXが3,990台売れたのに対し
たったの7台しか売れていません。(ちなみに「老舗」日産リーフは1,246台)。
かつてハリウッドスターが「エコな自分」をブランディングするために競って乗った、あのプリウスをコンセントで充電できるようにした
次世代主力車が全米でたった7台です。ここに、テスラシンドロームがUberやAir B&Bといった
シェアリングエコノミー型のアプリケーションと相まって、日本の自動車・家電メーカーに破壊的打撃をもたらすリスクを私は見い出します。
今のトヨタ(あるいは日本の自動車・電機メーカー)って、AppleがiPodを売り出した頃のソニーの立ち位置に近いというのが私の直感です。
Walkmanで圧倒的優位にあったSonyがなぜ「新参者」のAppleにあっけなく破れ去ったのか、その原因はもはや定説化していますが、
一言でいうと、「いいもの(音)を作れば売れる」という供給サイドの傲慢な思い込みと、AppleはItuneという音楽配信システムを売っていたのに
(iPodはそのシステムの端末に過ぎない)、CDを販売するCBSを有するSonyは社内外の「しがらみ」や「規制」(音 楽業界とか)を打ち破れず
システム展開を果たせず、二重の意味で「日本のモノ作り神話」に固執したことにあるでしょう。
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