16/04/19 15:57:24.41 CAP_USER*.net
小型クジラやイルカの追い込み漁で知られる和歌山県内の自治体や施設に対し、海外からサイバー攻撃や不正アクセスが相次いでいる。
イルカ漁を批判してきた国際ハッカー集団「アノニマス」の犯行とみられ、大半はアクセス数を集中させ、
ホームページ(HP)を閲覧できないようにする手口。イルカ漁の地元・太地町役場では昨年、サイバー攻撃が約30件に上った。
こうした事態を受け、県は市町村と共同でセキュリティー強化に乗り出したが、拡大するイルカ・クジラ漁への陰湿な嫌がらせにどう対抗していくかが問われている。
連日の攻撃
3月中旬、太地町の「町立くじらの博物館」。施設の催しやクジラ、イルカの生態を紹介するHPが明け方から全く閲覧できなくなった。
「最近はずっとこんな調子だ」。同博物館の担当者はこう嘆く。
外部から大量のデータを送りつけて負荷をかけ、サーバーをダウンさせる「DDos(ディードス)攻撃」とみられ、
被害は午前4~8時の明け方に集中していた。博物館へのサイバー攻撃は以前から続いているが、同月は15日以降はほぼ毎日、HPが閲覧できなくなったという。
この時期は、反イルカ漁団体に所属するオーストラリア人女性が博物館への入館を拒まれたとの理由で町を相手取って起こした裁判の判決と重なる。
判決の前後を狙ったアノニマスの“示威攻撃”だったのかは定かではないが、担当者は、「今のところHPの改竄(かいざん)など深刻な被害はないが、
今後エスカレートしていくのが怖い」と打ち明けた。
アピールが狙いか
アノニマスが太地町などを名指しで批判し、サイバー攻撃を始めたのは数年前にさかのぼる。
内閣サイバーセキュリティセンターによると、平成25年11月、アノニマスを名乗る人物が匿名掲示板に
「イルカ漁の残酷さを認識せよ」「動物を故意に虐待してきた太地町への宣戦布告だ」などと批判。
同町や省庁にサイバー攻撃を仕掛けると表明した。その後、断続的ではあるが、町や省庁はサイバー攻撃を受け続けている。
イルカ漁や捕鯨に関係するサイバー攻撃は官公庁にとどまらず、今年に入ってからは多岐にわたっている。
1月には、イルカ漁を批判し、アカデミー賞を受賞したドキュメンタリー映画「ザ・コーヴ」(2009年、ルイ・シホヨス監督)への
反証映画「ビハインド・ザ・コーヴ 捕鯨問題の謎に迫る」の公式サイトが閲覧できない状態となった。
3月には、今年度に全国の大学で初めて鯨類の繁殖促進に向けた研究センターを設置する三重大のHPが同様の攻撃を受け、短文投稿サイト「ツイッター」には、アノニマスのメンバーとみられる人物の犯行声明も出された。
ネット犯罪に詳しい神戸大大学院の森井昌克教授は「アノニマスにはサイバー攻撃を通して自分たちをアピールする狙いがある。
今後、日本ではサミットが行われるが、その前後にかけて同種の攻撃が続くのではないか」とみる。
一丸となって対抗
悪質なサイバー攻撃に対抗していくため、和歌山県も対策を講じ始めた。今年度から、これまで県内全30市町村で
ばらばらに導入していた情報セキュリティーシステムを共同で導入することとした。
サイバー攻撃を防ぐには、高品質のセキュリティーシステムの導入が効果的だが、人口約3400人の太地町のような
小さな自治体では財政的に大きな負担となるため、簡易で安価なシステムしか導入できない。
しかし、情報セキュリティーシステムを共同で導入すれば、各市町村のサイバー攻撃に対する防御力の底上げにつながるという。
システムを手がける業者は、県と市町村とでつくる協議会が公募。サイバー攻撃などに対して24時間365日対応が可能なことや、
システムの問題発生時(インシデント)には遅くとも90分以内に各市町村に担当者を派遣できることなどを条件とし、
この結果、県内のIT企業が候補に決定した。森井教授は、こうした県や市町村の取り組みを
「アノニマスのサイバー攻撃だけではなく、情報漏洩(ろうえい)などにも有効で意義がある」と評価する。
市民に必要な情報を伝えるツールの一つである自治体のサイトを狙った悪質なサイバー攻撃。
日本の文化であるイルカ・クジラ漁への陰湿な嫌がらせが新たな段階に入ったともいえそうだが、
県情報政策課の担当者は「サイバー攻撃への対処は一度で終わりというものではない。アンテナを高くして情報収集を続け、今後もよりよい対策を考えていきたい」と話している。
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