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G20閉幕 アベノミクスに疑念 米もけん制、狭まる政策余地
2016年4月17日 朝刊
URLリンク(www.tokyo-np.co.jp)
十五日に閉幕した二十カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は、不安定な世界経済を
成長軌道に乗せるため、政策総動員で臨む方針で一致した。安倍晋三首相が議長を務める
五月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)の前哨戦に位置付けられる会議だったが、米国など
からは「アベノミクス」が十分な効果を上げていないことに厳しい目が向けられ、円安に向けた
市場介入もけん制された。今後、日本は難しい経済政策運営を迫られそうだ。 (ワシントン・東條仁史、石川智規)
「財政と金融、構造改革をすべて一体的に進めないといけない。増税の時期も含め、景気の
悪化を防ぐために注意深く政策運営する必要がある」。ルー米財務長官はG20後の記者会見で、
世界経済を安定軌道に乗せるため、もたつく日本にハッパを掛けた。
これまで日本は日銀による金融の大幅緩和による円安で、企業に収益を上げさせ、投資や
賃上げにつなげようとしてきた。そのシナリオは最近の円高傾向で崩れつつある。
このため麻生太郎財務相はルー長官との会談で、「一方的に偏った為替相場の動きに強い
懸念がある」と主張。だが、長官は会見で「円高にもかかわらず為替相場は秩序を保っている」
ときっぱり反論。日本が模索する円高是正に向けた円売りドル買い介入は封じ込められてしまった。
日銀はマイナス金利の拡大による一段の金融緩和も視野に入れる。だが、米国が円安を
受け入れない以上、「円安頼み」の景気回復は困難であることは変わりない。
残るは財政政策による対応となる。麻生財務相は、G20の会合で二〇一六年度予算の
公共事業予算の前倒し執行など財政面の取り組みを説明。伊勢志摩サミットでは、議長国として、
率先して内需拡大につながる経済政策を打ち出す圧力がかかりそうだ。
ただ、一過性のばらまきにつながる懸念は強く、財政負担の増加を懸念するドイツなどが
慎重といわれる中、各国の足並みがそろうかにも不安が残る。
安倍首相は来年四月に予定される消費税率引き上げの再延期も検討しているといわれるが、
その場合は「アベノミクスの失敗」と批判される可能性があり、日本の大きな課題である財政
健全化の道もさらに遠のく。安倍首相にとって「ひのき舞台」になるサミットを前に、経済政策の
選択肢は狭まりつつある。