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チェルノブイリ原発 爆発事故30年 廃炉計画立たず
毎日新聞2016年4月2日 00時11分(最終更新 4月2日 08時35分)
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原子力発電所4号機での爆発事故から今月26日で30年となる。東京電力福島
第1原発事故と同じレベル7という事故の処理は今も続き、4号機を密封するための
新シェルターの建設工事が完成に近付く。
首都キエフから北へ約100キロ。今年2月に現場を訪れると、大型クレーンが並び、
工事の金属音が響いていた。4号機は現在、事故直後に建てられた「石棺」と呼ばれる
コンクリート製シェルターに覆われているが、傷みが激しい。崩落すれば内部に残った
大量の放射性物質が拡散する恐れがある。
11月下旬に新シェルターをレールで移動し、石棺ごと4号機を覆う。耐久年数は
100年。その間に廃炉作業を進める計画だが、内部に残された約190トンの核燃料を
どう取り出すかなど難題が山積している。
× ×
事故があった4号機の隣接地で4年前に始まった金属製の新シェルターの建設は
終盤に入った。高さ108メートル、幅257メートル、長さ162メートル。今年11月下旬
の移動後、1年間かけて密閉する。だが、これはまだ本格的な廃炉作業の入り口に
過ぎない。
今年2月に取材した新シェルター建設現場では、工事関係者の大半は線量管理を
受けながらも通常の作業着姿で働いていた。放射線量が毎時100マイクロシーベルト
という4号機近くに対し、約300メートル離れた建設現場は6マイクロシーベルト程度
まで除染されているためだ。野良犬も多数すみ着き、番犬のように振る舞っている。
2015年完成を目指した当初の予定通りには進まなかったが、昨年7月、二つに
分けて建造されたシェルターを合体し、外側が組み上がった。監理部門の担当者に
よると現在は内部のクレーン取り付けや、4号機周辺での準備工事が進められている。
技師や作業員はウクライナのほかロシア、トルコ、イタリアなどからも参加。
フランスの合弁企業が建設に当たり、15億ユーロ(約1900億円)の建設資金は
欧州各国や米国、日本など40カ国以上が拠出する国際プロジェクトだ。
原発事故では激しい爆発が起こり、建屋の一部が吹き飛ばされた。その後の
事故処理で4号機は「石棺」と呼ばれるコンクリート製シェルターで覆われた。
新シェルター完成後の作業見通しについて、同原発のノビコフ副技師長(安全担当)は
「内部のクレーンを使って23年までに不安定な石棺を解体する。大部分の作業は
遠隔操作で行うが、人が入っての作業も避けられない」と語る。石棺の解体後、
廃炉作業に本格着手することになるが、具体的なスケジュールは決まっていない。
汚染が激しい4号機から核燃料を取り出し、安全に地下保管する技術の開発も
今後の課題だ。これは福島第1原発にも共通する。ノビコフ氏は「仮に最初の1キロを
取り出せたとしても、どこに保管できるだろうか? 国内に適した土地はいくつかあるが、
地元住民は誰一人賛成しない。福島の事故を受け、原子力への不信感は再び
高まった」と首を横に振った。
事故直後に十数万人が強制避難させられたチェルノブイリ原発から半径30キロの
立ち入り禁止区域。今では森林が広がり、オオカミやイノシシ、シカといった野生動物が
暮らす。国立原発安全問題研究所の環境専門家によると、その体内から事故に
由来する放射性物質のストロンチウムやセシウムが検出されるという。ウクライナの
ポロシェンコ大統領は昨年12月、政府に対して今年7月までに居住制限区域の見直し
と一部の自然保護区化を検討するよう指示した。主な汚染物質であるセシウムの
半減期が30年であるため、汚染地の空間線量が下がったことが背景にある。