16/03/31 17:11:34.88 CAP_USER*.net
原子力発電所の再稼働が思うように進んでいない関西電力だが、この冬の需給状況にまったく問題は生じなかった。需要がピークになる平日18時台の最大電力は前年から100万kW下がり、4%以上も少なくて済んだ。気温にさほどの違いはなく、関西電力は節電による効果とみている。
[石田雅也,スマートジャパン]
関西電力がまとめた今冬の電力需給状況によると、需要がピークになって最大電力を記録したのは1月25日(月)の18時台だった(図1)。当日は大阪の朝の最低気温がマイナス3.5度まで下がったが、夕方の18時には4.4度まで上昇した。それでも暖房と照明に加えて夕食時の需要が加わり、18時台に2291万kW(キロワット)の最大電力に達した。
・図1 関西電力の管内における最大電力と気温。出典:関西電力
URLリンク(image.itmedia.co.jp)
とはいえ電力の供給状態は安定していた。関西電力は1月の供給力を2604万kWと想定して、300万kW以上の余裕があった。実際に当日の供給力は想定を上回る2615万kWを確保していたために、需給率は88%に収まっている。需要に対する供給力の余裕を表す予備率(1-最大電力需要÷供給力)は12%だ。予備率が3%まで低下すると、広範囲に停電が発生する危険性が生じるが、十二分に余裕があった。
当初は1月と2月の最大電力を2496万kWと見込み、供給力が減少する2月には予備率が3.3%まで下がると予測していた。その後は2月4日に原子力の高浜発電所3号機(87万kW)が再稼働したことで、予備率を6.9%まで引き上げた(図2)。しかし再稼働に関係なく予備率は10%以上を維持し続けて、関西電力の需給見通しが現実性に欠けることを示す結果になったわけだ。
・図2 高浜発電所3号機の稼働による2月の需給見通し修正(2月5日時点、画像をクリックすると9地域すべてを表示)。出典:資源エネルギー庁
URLリンク(image.itmedia.co.jp)
震災前と比べると300万kW以上も減少
冬の電力需要が最も大きくなる夕方18時台の状況を見ると、東日本大震災の直前にあたる2011年の冬と比べて300万kW以上も減少している(図3)。気温の分布にさほどの違いは見られず、家庭や企業による節電効果が大きく影響していることは間違いない。
・図3 18時~19時の電力需要(震災前の2010年と比較)。出典:関西電力
URLリンク(image.itmedia.co.jp)
前年の冬と比べても電力需要は100万kW減っている。家庭用が20~25万kW、企業の業務用が30万kW、さらに産業用が45~50万kWの減少である(図4)。業務用と産業用では他社に契約を切り替えた減少分も含まれる。この4月からは家庭を含めて小売の全面自由化が始まるため、今後は家庭用の減少量が拡大することは確実だ。
・図4 電力需要の減少量(震災前の2010年と比較)。出典:関西電力
URLリンク(image.itmedia.co.jp)
当面は原子力発電所の再稼働が見込めない状況にある。電力需要が減り続けている中で、関西電力が次の夏と冬の需給見通しをどのような数字で出すのか注目だ。これまで3%台で予測し続けてきた九州電力は川内原子力発電所の1・2号機が再稼働したために、今冬の予備率を8%台に引き上げた。
政府は毎年4月に夏の需給見通しを電力会社からまとめて公表する。現状のままだと関西電力は原子力発電所の運転を織り込まずに需給見通しを出さなくてはならない。いつものように需要を過大に見積もる手法を使いながら予備率を3%台で予測して、原子力発電所を再稼働する必要性をアピールするのだろうか。
ITmedia 2016年03月31日 07時00分 UPDATE
URLリンク(www.itmedia.co.jp)
依頼222