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県が自殺予防の施策として2014年度にインターネット上に開設した相談窓口の利用が低調だ。スタートから1年2カ月で、わずか18件。一方、民間団体が運営する「山形いのちの電話」への相談件数は年々増えており、潜在的な必要性は高まっている。県の担当者は「一層の周知が今後の課題」と改善の余地があるとの認識を示す。14年の本県自殺死亡率は全国ワースト9位と深刻な状況で、対策が急務となっている。
県地域福祉推進課によると、ネットを活用した県の施策のうち、14年10月に庄内地方の民間非営利団体(NPO)と協力して開設したのが「こころげんきサイト」だ。心の健康に関する情報や民間団体などが運営する県内の悩み相談ダイヤルを掲載している。悩み別に10回線以上の番号が記載されているが、ほとんどは午後5時まで。
さらにホームページを通して24時間、相談を受け付けるシステムを構築しているが、医師や保健師など6人の合議で回答まで10~14日かかる。「緊急を要する相談には応じられない」との注意書きがあり、担当者は「ネットの即時性を生かせていないのは事実」と対応が十分でないことを認める。
実際に相談電話を受け付ける現場はどのような状況になっているのだろうか。民間団体が運営する「山形いのちの電話」の事務所を訪ねてみた。
「はい、山形いのちの電話です」。相談員の女性がゆっくりと相づちを打つ。語り口から、じんわりとした温かみが伝わってくる。「いのちの電話」は年中無休でボランティアが午後10時まで相談に乗っている。15年に自殺傾向の相談者からの電話は533件あった。「電車のホームに立っている」。中にはすぐにでも命を絶ってしまいそうな緊急を要する相談もある。
事務局長の佐藤藤雄さんは「相談員の数が少なく常に切迫している」と現状を吐露する。自殺傾向者の多くはぎりぎりまで悩み、助けを求めてくる。その場での答え、アドバイスが必要なこともある。民間だけでは限界があるとし、「官民でうまく連携していく必要がある」と訴える。
3月22日には改正自殺対策基本法が成立した。改正のポイントとして、自殺予防に向けた具体的な計画を作ることが「自治体の責務」と明記された。
16年度からの施策について、県の担当者は「何が必要で何が足りないか、まずは現状把握」と話す。対応を一本化するため地域自殺対策推進センター(仮称)を設ける計画だが、具体策はこれから検討するとしている。命をつなぎ留める一刻も早い態勢づくりが待たれる。
山形新聞 2016年03月30日 08:40
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