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コラム:企業の内部留保3年で69兆円増加、尻込み体質鮮明に
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田巻 一彦
[東京 29日 ロイター] - 過去最高益を出している日本企業だが、昨年9月末の利益剰余金は343兆円まで積み上がり、安倍晋三内閣発足した直後の2012年12月から約69兆円増加した。
その一方で、ビッグデータ、人工知能(AI)など最先端分野で米企業に後れを取っている。また、従業員給与と賞与の総額は減少。貯め込むだけの企業の姿が浮き彫りだ。日本企業は今こそ、リスクを取って新分野に挑戦すべきだ。
<経済の拡大、一部に実感できないとの声>
アベノミクスがスタートした2012年12月以降、円安の進行と株高によって企業セクターの活力は急回復した。
民主党政権時代の円高や高い法人税率など「6重苦」が輸出系企業を中心に重荷になり、日本経済を停滞させているとの批判を経済界から受けていた。
そこから株価はV字回復し、確かに日本経済は明るさを取り戻してきたが、世の中には、どうも「景気回復を実感できない」という声が多い。
日本経済新聞とテレビ東京が29日に公表した世論調査では、アベノミクスを「評価しない」が50%、「評価する」が31%という結果になった。
アベノミクス前半の3本の矢では、大胆な金融緩和と積極的な財政政策、成長戦略によってデフレから脱却し、経済を拡大基調にすることを目指してきた。
実際、2012年から2015年までに国内総生産(GDP)は5%超の伸びとなっている。ところが、実質GDPの伸びは1.7%にとどまっている。
このギャップを解き明かすキーワードとして、企業の「内部留保」を挙げることができる。