16/01/23 14:48:05.72 CAP_USER*.net
夏の参院選を強く意識したのだろう。安倍晋三首相の施政方針演説。政権交代後の成果を誇り、
民主党など野党を無責任と批判したが、首相が自ら与野党対立をあおれば、不毛な議論を招くだけだ。
波乱の幕開けだった。甘利明経済再生担当相の金銭授受疑惑をめぐる与野党対立で、衆院本会議の
開会が一時間遅れ、甘利氏の経済演説に先立ち、野党議員が退席する異例の展開である。
甘利氏は演説冒頭「事実確認の上、説明責任を果たす」と述べたが、この問題を不問に付してはならない。
甘利氏には、進んで全容を明らかにするよう重ねて求めたい。
首相の施政方針演説は、冒頭と結びを野党批判に費やすという、異例の内容だった。
冒頭では幕末の勘定奉行、小栗上野介の「幕府が滅亡したるは、どうかなろうというひと言なり」
との言葉を引用し、「批判だけに明け暮れ、対案を示さず、後はどうにかなるという態度は、
国民に対して誠に無責任」と強調した。
演説終盤でも「ただ反対と唱える。政策の違いを棚上げする。それでは、国民への責任は果たせない」
と語気を強めた。
いずれも、民主党など、安倍政権との対決姿勢を強める野党に矛先を向けたものである。
また経済政策では「二〇一六年度の地方税収は政権交代前から五兆円以上増加し、過去最高」
「正社員の有効求人倍率は政権交代前より五割上昇」とも強調した。
政権交代後の成果を誇る一方、政権の座にあった民主党をおとしめることで、参院選に向けて
有権者の支持を集める狙いなのか。
安倍氏が政権に返り咲いて三年が過ぎた。選挙を勝ち抜き、長期政権に道を開くためにも、
政権の成果をアピールしたい気持ちは分からないわけではない。
しかし、一国を預かる首相が与野党対立をあおることは、不見識との誹(そし)りは免れまい。
国会は論戦の場だが、批判合戦に終始しては、その役割を果たしたとはとてもいえまい。
議論を通じて、国民にとってよりよい政策や法律をつくり出すことこそが責務のはずだ。
それは、いくら選挙前といっても変わらない。
政権与党の党首でもある首相には、建設的な与野党論戦をリードする重い責任がある。
野党の批判にも真摯(しんし)に耳を傾ける度量が必要だ。
野党側の挑発にやじで応じるような軽率な態度は、今後とも厳に慎むべきである。
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