16/01/22 03:03:44.80 CAP_USER*.net
全国各地で、行政の適切な支援を受けられず、親族や近隣住民に気付かれないまま孤立
死したとみられるケースが出ている。京都市右京区でも昨年、民家で40代の男女2人の
遺体が見つかった。生前の2人の足跡をたどると、高齢者にとどまらない孤立の現状と、
早期発見で福祉支援につなげることの難しさが浮かぶ。
滞納されていた水道料金の徴収に訪れた市職員が異臭に気付いた。酷暑だった昨年8月
6日夕。2階のベッドで姉=当時(48)=が、床で弟=同(46)=がパジャマ姿で死
亡していた。右京署によると、司法解剖したが死亡時期は不明。屋内に食料はなく、餓死
の可能性もあるが、死因も特定できなかったという。
近くの住民によると、2人は仲が良く、姉は薬局で働いていたことがあり、弟は地域の
自治会役員を務めていた。近所の男性(65)は「真面目な努力家」と振り返るが、住民
たちは「最後に姿を見たのは半年ほど前」と口をそろえた。
2人が最初に右京区保護課を訪れたのは2012年6月。生活保護について尋ね、職員
は姉の生命保険解約を提案し、就労の支援制度を紹介した。翌年4月、姉は右京保健セン
ターで就労や医療面の相談をした。
センターでは、通院歴を踏まえ、精神保健福祉相談員が対応したが、緊急性がある事案
との特記を残さず、具体的な支援や経過観察につながらなかった。木村和史健康づくり推
進課長は「衣服の汚れなど変わった様子や生活困窮の訴えはなかった。2人暮らしでもあ
り、生死に関わる状況と察することができなかった」と話す。
最後に2人が区保護課に姿を見せたのは昨年1月。保険解約金が底をつき始めた、と生
活保護の申請を打診した。課によると、当時の2人の収入は弟のアルバイト賃金と障害厚
生年金で月計約16万円。生活保護給付基準の収入額(1世帯12万8千円)を上回り、
担当者は「収入が減れば相談を」と呼び掛け、手続きなどを説明した。ただ、保護課とセ
ンターの間で情報は共有されなかった。
生活保護制度に詳しい花園大の吉永純教授は「行政は税や水道料金の滞納など、生活の
危機が感じられる情報を把握しているが、担当課の枠を超えた情報共有ができていない。
住民との連携を含めた支援策の構築が急務だ」と指摘する。
【 2016年01月21日 17時00分 】
京都新聞:URLリンク(www.kyoto-np.co.jp)