16/01/17 19:54:01.43 CAP_USER*.net
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奨学金なしには大学に行けない世帯は半数を超えた。15年後には、国立大学の授業料が年100万円近く
になるとの試算も。誰が払えるのか。(編集部・小林明子)
夕食は5分で終わる。おにぎりを頬張るだけだ。午後5時15分に金融機関の事務を定時で終えた女性(48)
は電車に飛び乗り、午後6時にコールセンターに着席する。金融機関派遣社員の年収270万円に、
週3日は午後10時まで働くことで50万円を生活費の足しにし、大学2年の長男(19)を一人で育てている。
ダブルワークを始めたのは、息子が高校3年の1月だった。ひとり親家庭の児童扶養手当は18歳の年度末で打ち切られる。
「ひとり親家庭の子どもは大学に行かず、働くのが当然だ」
と制度に突き放されたように感じた。元夫からの養育費はなく、かけていた学資保険は勝手に解約された。
両親も高齢になり、援助を期待できなくなった。
高校で学年トップの成績を修めていた息子が将来、この貧困状態から抜け出すためにも、
何としても大学には行かせてやりたかった。
●国立大は40年で15倍
私立の理系で、授業料は年間136万円。うち126万円を日本学生支援機構の奨学金でまかなう
貸与型で、一部は有利子のため、卒業時に息子本人が約500万円のローンを背負う。
半期分の授業料の一括納入を前に、住民税の支払いについて区役所に相談しようとしたら、担当者にこう言われた。
「大学に通っている息子さんがいるなら、贅沢ですよね」
ならば国立大に行かせればいいのに─そう感じた人は、上のチャートを見てほしい。
40年前に年間3万6千円だった国立大学の授業料は、15倍の約54万円。私立との差が縮まり、
国立ももはや「贅沢」な選択なのだ。
昨年末には文部科学省が、15年後の2031年度には国立大の授業料が年間93万円程度にまで
上がるという試算を示した。国立大の収入源である運営費交付金が財務省案どおりに減り、
授業料収入でまかなうという前提付きとはいえ、子育て中の親にとって、100万円近い授業料は衝撃的な数字だった
東京都内で3歳と1歳の姉妹を育てているITエンジニアの女性(36)も、20年後の家計を想像して頭を抱えた。
「年50万円なら何とか払えても、100万円となると相当キツそう。自宅外通学なんて絶対にさせられません」
共働きで世帯年収は2千万円近くあるが、安心感はまったくない。
「これまでは学歴による年収の差が明らかだったから、大卒資格のために教育投資をしても
リターンが期待できた。でも娘たちが働く頃には、投資に見合う収入が得られるのでしょうか」
最近はグローバル教育や留学など、より良い教育環境を海外に求める動きも加速する。
将来、何百万円程度の学費が必要になるのか。「出せなくはないはず」と思うしかない。
●奨学金は貸与型中心
そもそも日本は、教育に対する公的支出が先進国で最低水準だ。経済開発協力機構(OECD)の調査によると、
12年の国内総生産(GDP)に占める教育機関への公的支出の割合は、日本は3.5%で、34カ国のうち最下位だった。
教育格差をなくすため、教育困難校などに人材を紹介しているNPO法人ティーチ・フォー・ジャパンの松田悠介代表理事は、こう分析する。
「日本は公的支出が少なくても、進学率や識字率が高く、学力は世界に誇れる。実はそれは『塾文化』に代表される私費負担
による成果が大きいのですが、“費用対効果”が高いように見えてしまうため、教育政策として公的支出を増やす意義がわかりづらくなっているのです」
OECDの11年の調査では、教育機関への私費負担の割合は平均16%に対し、日本は30%で、そのうえ塾代も加わる。高等教育(大学)
では66%が私費負担だ。大学の授業料は先進国でも高いほうだが、他国とは対照的に奨学金制度が充実していないことも指摘されている。
国は給付型の奨学金を創設しておらず、機構の奨学金は返済が必要な貸与型で、有利子が多い。
12年度末の延滞者は33万人で、機構は債権回収業者による督促や信用情報機関への登録などで回収を強化。
返還訴訟にまで発展したケースは12年度で6193件と、04年度の100倍を超えた
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