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「明らかな犯罪」「殺人行為」-。東京電力福島第1原発が立地する福島県沿岸部の国道6号で10月、地元の中高生らが参加した一斉清掃活動の主催団体に対し、
約1千件にも上る誹謗(ひぼう)中傷の電話やメールなどが寄せられていたことが分かった。
地元の高校生が道路沿いに捨てられたごみの多さに見かねて声を上げ、5年ぶりに行ったボランティア活動。
必要以上に放射線被曝(ひばく)を恐れる人たちによる、子供たちの思いを踏みにじる中傷行為に地元の関係者は胸を痛めている。(野田佑介)
■「懐かしい」とほほ笑む中学生
「あったあった、ここにも」。10月10日、今は原発事故の収束拠点となっているサッカー施設「Jヴィレッジ」(広野町、楢葉町)にほど近い国道6号の歩道沿い。
マスクを着け軍手をはめた一団が草むらから火箸でごみを拾い上げ、ポリ袋に次々と入れた。ペットボトルに空き缶、菓子箱にビニールひも、さらには看板のようなものまで。
生い茂る雑草に隠れて見えづらいが、火箸で草をよけると次から次へと見つかった。開始から2時間余りで子供たちの袋はいっぱいになった。
震災前までJヴィレッジで活動していたサッカークラブに所属し、チームの仲間たちと参加した中学3年の男子生徒(15)=いわき市=は開口一番、「懐かしい」とほほ笑んだ。
原発事故以来、初めてJヴィレッジ近くまで来たといい「(施設の)環境がいい。ここで練習したい」と目を輝かせた。放射線量への不安はないかと尋ねると「自分の意思で来ました。気にはしません」と語った。
■高校生が再開を持ちかける
「みんなでやっぺ!! きれいな6国(ろっこく)」と題した清掃活動は、平成19年から毎年秋に行われてきたが、東日本大震災と原発事故のため22年を最後に中断していた。
今年3月、国道6号であった桜の植樹イベントに参加した地元の高校生が、道路沿いに捨てられたごみが多かったことに心を痛め、
「6国」の主催団体の1つ、NPO法人「ハッピーロードネット」の西本由美子理事長(62)に開催を持ちかけた。
高校生の思いに共感した西本理事長は「自分の考えを持って故郷のことを考えてくれている子供たちの思いを尊重したい」と活動再開へ奔走。その甲斐あって、国や県、沿線の自治体から後援を受けた。
ところが、活動の実施を告知した9月中旬ごろから、このNPOに誹謗中傷の電話やメール、ファクスが県内外から届き始める。
「若者を殺す行為」「美談にすり替えた子供への虐待」「狂気の沙汰だ」-。中には、主催団体の関係者に危害を加えることをほのめかしたものもあった。
10月末までに、こうした誹謗中傷のメールなどは、1千件にも上った。
故郷を思う子供たちの希望をなくすようなことはしてほしくない」と訴えた。
>>2以降につづく
2015.11.23 09:31
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