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自民党は17日、農林水産戦略調査会と農林部会の合同会議を開き、環太平洋連携協定(TPP)の
農業対策を決めた。農家の不安払拭(ふっしょく)に向け、TPPで悪影響が予想される米や牛肉・
豚肉といった重要5品目の経営安定対策を拡充。コスト削減や輸出拡大など、農業の体質強化と成長
産業化に向けた「攻めの対策」も盛り込んだ。中長期的な課題は、来年秋までかけて検討する。
公明党も同日、政府に提言するTPP対策を取りまとめた。
自民党の対策は、農家や農業団体などからの意見聴取を踏まえてまとめた。同党は農業以外の分野と
合わせた対策を20日に決め、政府に申し入れる。公明党も同日に申し入れる。これを受け、政府は25日
にもTPP関連政策大綱を策定する。安倍晋三首相が近く編成を指示する2015年度補正予算案に、
一部の事業を盛り込む見通しだ。補正予算案は、来年1月4日に召集予定の通常国会の冒頭で審議される。
自民党の対策には、財源をめぐって、既存の農林水産予算を削減・抑制せずに「安定財源を確保する」
と明記した。現時点で見通せない影響を念頭に、弾力的に予算を支出できるよう、基金などの仕組みを構築
することも盛り込んだ。
だが、対策に具体的な規模や期間は示されていない。関税やマークアップ(輸入差益)の収入が減り、
影響が長期にわたる中、予算や制度設計を含めて実効性をどう確保するかが今後の課題となる。TPP承認の
是非や、重要品目の聖域確保を求めた国会決議との整合性と絡み、通常国会や来夏の参院選で
大きな争点となるのは必至だ。
自民党の対策は「農政新時代~努力が報われる農林水産業の実現に向けて」と題し、TPP対策による
農家や農業の支援について、国民に理解を呼び掛ける前文を付けた。この中で、同党として「現場の生産者の
努力や挑戦を全力で支える」との考えも示した。
合同会議で、西川公也農林水産戦略調査会長は「いかに自由化が進んでも再生産を可能にし、成長産業に
つなげていく狙いで取りまとめた」と強調。小泉進次郎農林部会長は「TPPで農林水産業がくじかれるような
ことが、決してあってはならないという覚悟を込めた」と述べた。
・全中会長 重要品目の対策評価
JA全中の奥野長衛会長は17日、自民党がまとめたTPPの農業対策について、「重要5品目でしっかりと
対応いただいた」と述べ、主食用米への影響を遮断するとしたことや肉牛や養豚の経営安定対策の充実・
法制化といった内容を評価した。実効性ある対策となるよう細部の詰めについて政府・与党に提言していく
考えを示した。飼料用米への長期支援を確約することも求めた。
奥野会長は同日に東京都内で講演した後、記者団の取材に応じた。「果樹も影響が出ればその時点で
しっかりした対策を打つという言葉をいただいている」と、重要5品目以外についても言及した。
飼料用米については「しっかりとした対策を求めていきたい」と強調。財務省の審議会が飼料用米など
転作作物への助成の削減を提言したことを警戒し、中長期的に支援するよう求め続ける考えを示した格好だ。
講演では、自身が掲げる政府・与党との"対話路線"を今後も貫くことを強調した。大規模集会を開いて
要請するのではなく、全国の意見の積み上げや全中の各委員会での議論を通じて政策提案をまとめ、要請
した経緯を説明。「(要請内容を)大筋で取り入れていただいた。対話していく姿勢を評価していただいたと
思っている」と述べた。
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