15/11/13 01:53:23.25 *.net
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2015.11.12
ようやく景気対策の動きが出てきた。経済財政諮問会議は、名目国内総生産(GDP)600兆円に向けた具体策の原案として、
約60兆円を潜在成長率の引き上げで、約50兆円を賃金上昇や原油安による交易条件の改善でまかなう方針。
安倍晋三首相は関係閣僚に対し、11月中に緊急経済対策をまとめるよう指示したと報じられた。
諮問会議の資料を見ると、600兆円実現に必要な名目GDP110兆円について、実質分60兆円、インフレ分50兆円でまかなうとしている。
これは実質成長率2%とインフレ率2%により、名目成長率4%を実現するということとほとんど同じである。これならば2020年度には目標達成できるだろう。
本コラムの読者であれば、すぐわかると思うが、このシナリオは筆者がこれまで書いてきたものと基本的な方向は同じだ。
これまでの内閣府の試算では、インフレ率を1%としてきたが、ついに2%を認めたことになる。インフレ目標2%からくる単純な計算だから、遅すぎたくらいで、当然である。
ただし、内閣府は実質2%の達成には種々の施策が必要としている。
潜在成長率(国内の生産要素を最大限に活用した場合の理論上の成長率)を1%より低いとみているからだ。これは低すぎる。
ちなみに00年度以降、リーマン・ショック時と消費増税による年度を除けば、平均して1・6%の実質経済成長率になっている。
政府のいうとおりに潜在成長率が低ければ、その間、インフレ率や賃金が高騰していたはずであるが、そうはなっていない。
なぜ政府が潜在成長率を低く見積もるかというと、実際のGDPとの差(GDPギャップ)が大きいと、
景気対策を迫られるので、財務省は潜在成長率を低くしたいからだ。
同時に、潜在成長率が低いとそれを高める政策が必要という理由で、経済産業省の成長戦略にも出番が回ってくる。
たしかに、潜在成長率を高めるのは長期的には必要であり、そのための規制緩和は景気にかかわらず必要な政策だ。
ただし、中短期での効果は期待できない。規制緩和を継続的に行うのは正しいが、それが景気対策になると思わないほうがいい。
中短期には、やはり有効需要創出が重要であり、そのために金融緩和と財政支出が必要である。
この意味で、政府の対策は、有効需要の創出が少ないので問題である。
何よりアベノミクスの円安によって外国為替資金特別会計の含み益20兆円、失業率が低下したことによって生じた労働保険特別会計の差益5兆円がある。
この25兆円を国民に還元して、有効需要を財政支出(保険料軽減と減税を含む)によって創出すべきである。
こうした財政支出は波及効果があるので、あと80兆円程度を民間経済で作ればいい。いわば財政支出が発射台になるわけだ。
実質分40兆円とインフレ分40兆円なので、諮問会議の案より実現の可能性はかなり高くなる。
この程度であれば、消費増税をやめ、さらに一層の金融緩和すれば4年程度で達成可能だ。