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2015年11月12日(木)付
きのうまで2日間、衆参両院で予算委員会が開かれた。山積する政策課題を議論するため、閉会中審査をすることで与野党が合意したものだ。
野党は10月に憲法53条に基づいて臨時国会の召集を安倍内閣に要求したが、政権側は応じようとしない。閉会中審査を開いたのだからそれで十分、とでも言いたいのだろうか。
だが、2日間の質疑を終えてはっきりしたのは、議論の時間が全く足りないことだ。安倍内閣に改めて求める。ただちに召集要求に応じるべきだ。
予算委で取り上げられたテーマは多岐にわたる。10月に大筋合意された環太平洋経済連携協定(TPP)、首相が第3次改造内閣で掲げた「1億総活躍社会」、
政府と沖縄県が対立する米軍普天間飛行場の移設問題、そして高木復興相の政治資金をめぐる疑惑……。
いずれも時間をかけて議論すべきテーマだが、野党の追及の甘さもあり、審議が拡散してしまった感は否めない。
最大の理由は審議時間が衆参あわせて14時間に限られたことだ。臨時国会の審議なら野党は政府答弁を分析し、日を改めて質問を重ねることもできる。だが、衆参1日ずつの閉会中審査ではそれもかなわない。
例えばTPP。民主党議員が牛肉と自動車の関税引き下げ時期の違いを取り上げ「米国に譲りすぎているのでは」とただした。何のためにTPPを結ぶのかという根幹にかかわる疑問なのに、明確な答弁はなかった。
高木復興相の選挙区内での香典や枕花(まくらばな)(供花)代の支出についても、別の民主党議員が遺族からの聞き取り調査と高木氏の説明との食い違いを指摘したが、十分な説明はなかった。
国会召集について首相は「外交日程、予算の策定、税制についての議論を勘案しつつ、様々な検討を行っている」と述べた。国民のくらしを左右する予算や税制にこそ、国会での議論を反映させるべきではないか。
首相は、野党の「どうして逃げるのか」との問いに、「私が逃げているのであれば、通常国会で過去最高の延長幅はとらない」と反論した。
だが、先の通常国会の大幅延長は安全保障関連法制の成立という狙いがあった。今回、臨時国会を開かない理由にはならない。
召集要求を拒むことは、少数派の意向も尊重すべきだとの憲法の趣旨に明確に反する。
戦後、臨時国会や特別国会が開かれていない年はない。国会軽視のあしき前例を残してはならない。