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安全保障関連法案の審議が来週から参院で始まる見通しとなり、他国を武力で守る集団的自衛権行使に基づく
自衛隊派遣が現実味を帯びてきた。海外の現場で、隊員の安全は確保されるのか。国民の疑問が解消されない中、
本紙に寄せられた自衛隊員の妻のメールなどから、苦悩する家族の姿が浮かぶ。 (中山高志)
「夫に出会った時、集団的自衛権を行使するような自衛隊だったら、結婚しなかったかもしれません」。
夫が航空自衛隊員の関東地方の四十代の主婦は、メールに割り切れない思いを記した。
「夫が戦死するのも、人殺しに加担するのも嫌ですから」
衆院特別委員会で法案が可決された十五日。夫の職場では「とうとう戦死者が出るな」との声も上がった。
帰宅後にそう打ち明けた夫は「今までやってきた訓練が生かされる」と冷静を装った。
しかし、皮肉っぽい言い方からは、本音だとは思えなかった。
その前日夜には家族で法案について話し合った。「まずはソマリアに行かされるだろうな…」。淡々と語る夫に、
子どもたちは「行かされそうになったら、足の骨を折っても行かないようにして」と懇願した。
東京電力福島第一原発事故の直後、夫に事故現場への出動が持ち上がった。「なんであなたが」と泣きながら
反対したが、夫は「命令には従わないといけない」と冷静だった。
結局、出動命令は出なかったが、連れ添う伴侶の覚悟の重さをあらためて感じた。
海外への出動命令が下れば、夫は四年前と同様に粛々と従うと思う。
でも「人を殺す爆弾を運ぶために入隊したわけじゃない。本当は行きたくないはずだ」と心中を思いやる。
「本心から法案に賛成の方は、お子さんたちと新しい軍隊をつくり、戦地に行ってほしい」。
主婦はメールをこう締めくくった。「戦地に行くことがどんなことなのか。
いま一度、わが身に置き換えてよくよく判断してもらいたい」
◇
今春、長男(18)が陸上自衛隊に入ったばかりという中部地方の女性保育士(49)は、
本紙の取材に「息子のような底辺の隊員は、上層部の言うがままに海外に駆り出されてしまうのでは」
と電話口で不安を語った。
昨年夏、高校生だった長男が就職活動をしていたころ、安倍政権が集団的自衛権の行使容認を閣議決定した。
「自衛隊が今までより海外に行くようになるのでは」と漠然と感じた。
だから当初は入隊に反対した。「集団的自衛権って知ってる?」。
長男に聞くと「騒がれているのは知っている」とピンときている様子はない。
それでも、工業高校で学んだ物づくりの知識を自衛隊で生かしたいとの意志が固いことを知り、
最後は「自分で決めているのなら頑張って」と背中を押した。
集団生活で教育を受ける長男からの連絡はあまりない。
「いずれは海外で、武器を持って戦うようになってしまうのではないか。そうならないでほしい」
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★1の立った日時:2015/07/24(金) 10:07:32.21
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