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産経新聞 6月30日(火)20時15分配信
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【北京=矢板明夫】欧州を訪問中の中国の李克強首相は29日、ブリュッセルで記者会見し、
ギリシャ財政危機について、「ギリシャがユーロ圏に留まることができるか否かは、
国際金融の安定と経済復興に関わる問題だ。中国は建設的な役割を果たす用意がある」と述べ、
ギリシャ問題に積極的に関与する姿勢を示した。
中国は、ギリシャを手がかりに欧州での存在感の拡大を狙っている。
中国は、ギリシャの財政問題が深刻化したこの数年間に同国に急接近した。2014年6月19日、
李克強首相がギリシャを訪問し、約50億ドル規模の貿易・投資協定を締結。
その約1カ月後の7月13日、習近平国家主席もギリシャを訪問し、観光、
金融分野などで協力を深めることで合意した。
中国の国家主席と首相が1カ月以内に同じ国を訪問するのは極めて異例だ。
さらに両国は15年を「海洋協力年」と決め、今春、北京とアテネで祝賀イベントを同時開催した。
緊縮財政に反対するギリシャのチプラス政権発足後の今年3月、ドラガサキス副首相と、
コジアス外相が中国を訪問した。中国からの投資と観光客の誘致が目的だが、
中国からの経済支援を得るのが真の狙いとみられる。中国側との会談の詳細は発表されていないが、
将来的にギリシャの国債購入などを中国側が約束したとの情報もある。
中国が対ギリシャ支援に動いているのは、欧州での中国の存在感と影響力の拡大に加え、
ギリシャの最大の港湾、ピレウス港の開発整備に中国企業を参加させ、
工事を主導したい思惑があると指摘される。中国が欧州への陸海路のインフラ整備を進める
「新シルクロード(一帯一路)構想」で、ピレウス港は欧州の関門といわれる。同港を確保すれば、
将来的に中国海軍が欧州に進出する際の足掛かりにもなるといわれる。
しかし、中国の対ギリシャ支援は、ほとんど「口約束」の段階にとどまっている。
ドイツやフランスなどの債権国への配慮と同時に、ギリシャのユーロ圏残留を望んでいるからだ。
欧州問題に詳しい中国人学者は「ギリシャとEU主要国の問題がうまく片付けば、
中国はすぐにギリシャへの本格支援に動く可能性がある」と話している。