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昨年１０月の就任後、初めて死刑を執行した上川陽子法相は、２５日午前の記者会見で
「身勝手な理由で尊い人命を奪った残忍な事件で、被害者や遺族にとって無念このうえない。
慎重な検討を加えたうえで執行を命令した」と説明した。２０１２年１２月の自民党の政権復帰後、
２～６カ月程度の間隔で死刑が執行されていたが、今回は約１０カ月ぶりだった。
刑事施設に収容されている確定死刑囚は１２９人となった。
上川法相は就任時の会見で死刑執行について「制度と厳正に向き合う」と述べていた。
身代金目的の誘拐殺人などを除くと、殺害された被害者が１人の事件での死刑確定は異例だが、
２５日の会見では対象者や執行時期を選んだ理由は説明しなかった。執行に対する今後の姿勢についても
「私が発言すること自体、執行を待つ確定死刑囚の心情の安定を害する恐れがある」としてコメントしなかった。
一方、東京都内で記者会見した人権団体「アムネスティ・インターナショナル日本」の
若林秀樹・事務局長は「死刑を廃止している国は１４０カ国にのぼっている。
米国でも半数に近い州が廃止か執行を停止して、数年後には廃止国になる可能性がある」と指摘。
「東京五輪・パラリンピック開催に向け人権問題に向き合うべきなのに、その大きな流れに反する」と訴えた。【和田武士】