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二〇二〇年東京五輪・パラリンピック大会の主会場になる新国立競技場(東京都新宿区)の建設で、
文部科学省などと施工予定のゼネコン二社が、総工費二千五百二十億円で契約する方針を決めたことが分かった。
基本設計時の千六百二十五億円から約九百億円膨らんだが、めどが立った財源は、国の税金(国費)など五百億円程度。
文科省が都に負担を求める五百億円やスポーツ振興くじの売り上げを活用しても、
当面見込めそうな財源は合計約千四百億円で、一千億円以上が不足する。 (山口哲人、沢田敦)
文科省と、所管する事業主体の日本スポーツ振興センター(JSC)は月内にも、
大成建設、竹中工務店と正式合意し、七月上旬までに契約する。
屋根を支える二本の巨大アーチなど基本のデザインは維持する。着工は予定通り今年十月の方針。
ラグビーワールドカップ(W杯)の開催半年前に当たる、一九年三月の完成を目指す。
デザインの実現性など見通しの甘さから大幅なコスト増となったことに、批判が高まるのは必至だ。
政府は財源として国費、スポーツ振興くじ「toto」の売り上げの5%、都の負担-を当て込む。
国費分は、総工費の枠外の解体費なども含め、計三百九十一億円を充当。
totoは一三年度に関連法が改正され、毎年度の売り上げの5%(年間五十数億円)を建設費に投入する。
一三、一四年度分で計百九億円で、これらを合わせ、現時点でめどが立っている財源は計約五百億円にすぎない。
財源が大幅に不足する中、文科省は都に五百億円の負担を要請。契約締結後、都との協議を本格化させる。
今月二十九日には東京五輪大会組織委員会の調整会議が都内で開かれ、
文科省はこの席上、総工費の増額について、組織委の森喜朗会長や東京都の舛添要一知事に報告する。
この他、JSCが選手強化などのために使う「スポーツ振興基金」の政府出資分の一部、百二十五億円の取り崩しも検討されている。
totoの売り上げを財源に充てる期間は、「当分の間」となっている。仮に今後二〇年度までの六年分を充てると、約三百億円強になる見込みだ。
文科省と財務省は「これ以上の経費は原則、国費以外で賄う」ことで合意している。
超党派の国会議員でつくるスポーツ議員連盟からは、売り上げの5%を10%に変えようという意見や、
くじを野球にも広げる案が出ているが、二千五百億円の捻出は容易ではない。
財源が不確実なまま見切り発車した巨大な事業のツケは、都民や国民に回される懸念が強まっている。
◆開閉屋根 別に100億円超
政府とゼネコンが合意した二千五百二十億円には、設置が五輪後に先送りされた開閉式屋根の費用は含まれない。
政府関係者によると、屋根の設置には別途、百数十億円が必要だが、どこが負担するかや財源は未定という。
他にも、消費税増税や物価上昇、東日本大震災の復興需要などによる資材費や人件費の高騰が続けば、費用はさらに膨らむ。
難工事が予想される巨大アーチでも追加費用が発生する可能性がある。
◆500億円負担要請 「話聞いてから」舛添都知事
東京都の舛添要一知事は二十四日午後、報道陣の取材に
「できるだけ広くみんなで議論した方がいい、など言いたいことは全部言って、ボールはもう投げている。
受け取って行動するのは国」と強調。「答えを正式にいただいてから、どういう協力をできるか考えたい」と話した。
◆懸案アーチ そのままに
新国立競技場の総工費は当初、千三百億円の見込みだった。
デザインは二〇一二年十一月の国際コンペで英国在住の建築家ザハ・ハディド氏の作品に決まったが、
JSCの試算で三千億円になることが判明。昨年五月の基本設計時には規模が縮小され、千六百二十五億円とされた。
だがゼネコン側は今年三月、三千億円超の見積もりを提示。アーチ構造がコストを押し上げた。
文科省は、開閉式屋根の設置を五輪後に先送りし、八万席の観客席の一部を五輪時は仮設にするよう計画を変更した。
建築家の槇文彦氏はアーチがコスト増大の原因だとして、見直しを訴えた。
政府関係者によると、見直すと一九年三月の完成予定に間に合わない恐れがあり、アーチの維持を決めた。
(東京新聞)
6月25日 07時04分
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